ジルド(元)公爵領へ向かうぞ!04

「うひゃ-! これはなかなかに鋭い攻撃じゃのう。これに当たったら身体強化をしているワシもただではすまんかもな。


 良い良い! 良いではないか! どんどんと掛かって参れ!」


 パールはそう言ってギジ公爵を煽った。パールもとても楽しそうである。



「承知しました。引き続き全力で挑ませていただきます。」


 そう言ってギジ公爵は格闘術と魔法を織り交ぜながらパールに対して激しく攻撃を繰り出していく。



 一方、パールは攻撃を避けたりはじいたりして防戦に徹していた。そして防戦しながらパールは言った。


「ギジよ。なかなか強力で鋭い攻撃ではあるが、この程度ではまだワシには届かぬみたいだぞ?」



 そんな魔王のわかりやすい挑発には目もくれず、ひたすら攻撃を続けるギジ公爵であった。




 そして、ある地点まで追い込むギジ公爵。



「なっ!? しまったわい!」


 ある地点を踏んだパールて、ギジ公爵があらかじめ仕込んでおいたであろうトラップが発動した。



 メキメキッ!

 バキバキバキッ!!!



 地面から氷や土が盛り上がり、パールを固定化して動きを封じ込めることに成功した。


 パールは力ずくで脱出を試みるが、ギジ公爵の特大魔法を打ち込むには充分過ぎる時間であった。



 当然この展開を狙っていたギジ公爵である。特大のファイアーボールをパールに向かって打ち込むのであった。





 ド―――――――ン!!!






 避けることもできずに直撃を受けてしまったパールであった。




「や、やったか?」


 もくもくと攻撃を繰り広げていたギジ公爵であったが思わず声を上げた。しかしながら、この言葉は全世界共通のフラグ言語である。




 派手に砂煙が舞っていたが、ようやくあたりが確認できるようになってきてパールの姿がわかるようになってきた。




「あちちちちっ! 少しやけどを負ってしまったわい。身体強化魔法を使っておらんかったらかなり大怪我だったかもしれんな。」


 煙から現れるパール。身体のあちこちをやけどしたみたいであるが、特段ダメージは受けていないようであった。それどころかすでに自己修復スキルにより身体が治り始めていた。




「いやはや、さすがはギジであるな。武闘派公爵じゃわい! ワシが魔王になってからこんな傷を負ったのは初めてじゃぞ!


 それにこんな単純な罠を仕掛けてくるとも思っていなかったわい。おぬし的にこんな姑息なことをするはずがないと思っておったワシの油断じゃな。


 見事じゃ! あっぱれじゃのう!」


 大した傷も負っておらず、ピンピンして余裕のセリフをかましているパールを見て愕然とするギジ公爵。さらに周りのギャラリーたちも愕然としていたことであろう。




「まっ、参りました。」


 突如、ギジ公爵はそう言って膝を折った。



「え? なんじゃ? どうしてなんじゃよ? せっかく身体も温まってきてこれからもっと面白くなるとワクワクしておったのじゃぞ?」


「いえ、魔王様。お言葉を返すようですが申し上げます。


 戦略、戦術的ともに魔王様が本気を出す前にこちらが奇襲まがいなことを行えば、一矢報いるではありませんが、一撃を入れることは可能ではないかと考えておりました。


 それは成功して嬉しく思いますが、この攻撃には私の魔力の半分を込めて打ち込んだ一撃。


 それでそのような火傷程度しかダメージを与えることができないのであれば、この後の攻撃もそれ以上ダメージを負わせることはどうやっても無理です。


 そもそも魔王様は身体強化魔法と格闘術しか無くてこの強さ。これに魔法も加えた戦闘となると、もはや私ごときでは魔王様の全体の力量は図ることができません。


 このような無様な戦いしかできなかったことをお詫びいたします。申し訳ありませんでした。」



 ギジ公爵はそう言って、さらに深く頭を下げたのであった。目からはうっすら涙も見えた。相当悔しかったことが伺える。




「え? あっと、そこまで自分を卑下にしなくても良いと思うぞ! さきほども言ったがワシに傷を負わせたのじゃし凄いと思うんじゃ。


 それに父上や、先ほどの軍司令長官よりは確実に強いと思うぞ?」


 フォローするパール。逆に気を遣う羽目になってしまったようである。






「さて、我はおぬしたちに武を示したのじゃが、ワシのことを認めて忠誠を誓ってくれるじゃろうか?」


 今度はギャラリーに向かって言葉を発するパールである。観客席からは大きな拍手が沸き上がった。


 拍手の中、さらにパールは皆に向かって言った。



「バンパイア、獣人・獣魔の諸君聞いてくれ!


 これは他の公爵各位にも言ったことなのじゃが、確かにワシは強い。今、示した通りである。さらに本気を出せばこの地を焦土に化すこともできよう。


 しかし、そんなことはどうでも良いのじゃ。ワシひとりが強くとも国を治めることは叶わぬのじゃよ。


 国を治めるためにはワシに忠誠を誓ってくれる皆の力が必要じゃ。ワシに力を与えてはくれぬじゃろうか?」


 この言葉に、観客席にいたみんなは立ち上がり大歓声を挙げていたのであった。



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 跪いてイベントを無事にこなし、公爵をひとり失ったが、

 なんとか他の公爵の人心掌握に成功した魔王様。

 バンパイア領へギジと向かうのだが、これもお約束の展開が待っている!

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!




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