ジルド(元)公爵領へ向かうぞ!03

 そしてさらにパールが煽りながら言った。


「じゃあ、そろそろワシも攻撃させてもらうかのう。ちなみに一撃必殺とはこういうことを言うんじゃぞ!」




 ボォ―――ン!!!




 鈍い音が聞こえたかと思ったら一瞬パールが消えたように見えた。しかし、パールは軍司令長官の後ろに立っていた。





 プシュ――――――――!





 その後、軍司令長官の左手の5本の指の爪だけが綺麗に弾け飛んだ。さらにそれなりに血しぶきも舞ってなかなか派手な演出となっていた。


「えっと、必殺とは少なくともこんな感じじゃろうて? 次は首でも落とせば良いじゃろうかのう?


 さて、身体もだいぶ温まってきたところじゃし、そろそろおぬしも本気を出したらどうかのう?


 先ほどとは違う、ちゃんとした必殺技みたいなものはあるんじゃろう? そういうのがあるんじゃったら遠慮なく出してみよ。


 それを受けてさらに反撃しての魔王じゃからな。」



『うわ―――! これ異世界転生もの特有の「オレつえぇぇ」の展開じゃね? 確かに自分も異世界に来たけどまさか自分でやるとは思ってもみなかったよ。


 アニメで見てるときは正直またこの展開かよ! なんてバカにしてたこともあったけど、実際にやってみると超楽しい!


 これが鉄板展開なのが理解したわ!』




「まっ、参りました………。」


 そう言って軍司令長官は膝を折り、頭を垂れた。



「なっ、なんじゃとー!? もう終わりなのか? ぜんぜん戦ってもないし、そもそも張り合いが無いではないか!?」


 パールは思わず嫌味たっぷりに返してしまった。



「も、申し訳ございません。正直、ここまで戦力差があるとは思っておりませんでした。このハンデ戦に関しては余裕で勝てると思っておりました。


 私の思い上がりについて、心よりお詫びいたします。また、私は今後魔王様への忠誠を再度誓うことをお約束します。」


「なっ、そんな詫びなんぞいらんわ! 許す許す。まあ、ワシへの忠義を示してくれるのならそれで良い。


 さて、この際じゃ! ほかにワシに挑みたいものはおるかのう? せっかくの機会じゃし相手になるぞい!」




 このパールの呼びかけに対して意外な人物から声が掛かる。


「魔王様。私めにそのお力を試させていただけませんでしょうか?」


 そう。ギジである



「なんじゃと!? ギジ! おぬしか!?」


「はい。もちろん今のルールであっても私が魔王様に勝てる見込みは0となります。


 実は私の固有スキルで身体能力・魔力保有量を数値として視る(みる)ことができるのですが、私も研鑽を重ねていき、なんとか先代魔王様を超える数値まで行った時のことです。


 いよいよ私も台頭してやろうと野心に火が付いたときにちょうどパール様が現れたのです。パール様が魔王を戴冠したときは私との能力差は約2倍あり愕然としました。


 私もさらなる研鑽を積んで数値を伸ばしてパール様に追いつこうとしました。


 しましたが、残念ながら差は縮まるところかさらに一方的に開いていくばかり。今となっては、身体能力で5倍、魔力保有量においては8倍ほど開いてしまいました。


 こんな方がこの世界にいらっしゃるのかと思いましたよ。そして台頭することは諦めて魔王様の配下として生きていくことを選択したのです。


 この数値の差がいかほど戦闘時に働くのかということも興味がありますし、そもそもとして私も武人の端くれ。機会があるのならパール様と一戦交えてみたいと思っておりました。


 綺麗ごとを並べてしまいましたが、絶対的強者と戦ってみたいという鬼族の血がざわついていたのです。」


 思わず熱弁を奮ってしまうギジであった。



「ほほう。面白いことを言うではないか。普段はもの静かであるのにその熱量! ギャップもしっかりと伝わってきたぞ!


 ワシは具体的な数値として戦闘能力がわかるわけではないが、しかし、おぬしがめちゃくちゃ強いことは肌でわかるぞ。


 そうじゃな、どちらにしてもここの領主になる予定の者じゃ。おぬしの力をバンパイアや獣人たちに見てもらうのにちょうど良いかもしれぬな。


 うむ。こちらからも手合わせしたいところじゃ!」



「ありがとうございます。この名誉は我が領民にもしかとお伝えする所存です。領民に恥じることない戦いをご覧にいれる所存です。」


「ハハハ。そんなにも畏まらずともよい! 存分に掛かって参れ! そこの長官よ。今度はおぬしが立ち合いを頼むぞ。」





 そして対峙する魔王パールとギジ公爵である。そしてまずは魔王様が声を掛けた。


「うむ。いつでもかかってくるが良いぞ!」


「承知しました。それでは行かせてもらいます!」


 そしてギジ公爵はパールに向かって突きを出した。とても鋭い攻撃である。ギジもまた格闘術の使い手である。


 この時のギジの顔が若干笑っていた。普段は礼儀正しくどちらかといえば卑屈っぽいところがあるが、根っからの戦闘ジャンキーであることがわかる。




 パールは先ほどの軍司令長官との戦闘とは違って、ギジの攻撃に対して後ろに飛んで避けたのであった。



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 跪いてイベントを無事にこなし、公爵をひとり失ったが、

 なんとか他の公爵の人心掌握に成功した魔王様。

 バンパイア領へギジと向かうのだが、これもお約束の展開が待っている!

 これはもうブクマも☆も付けるしかありませんね!

 いや、付けるでしょ?☆もブクマも?

 いえ、ぜひともめちゃくちゃお願います。ほんとにお願いします!☆とブクマ!


 この後の展開もぜひとも楽しんでいってくださいね!




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