…Shall Reap The Whirlwind
2-1
クリスのいるところが俺の群れだ、と言いたいとこだけど、ホント言うと、まだそうじゃない。
クリスはガンコに俺のことを
いつでも帰れるって思ってたときはしょっちゅう思い出すこともなかったけど、そうじゃないとなると、そのことばっかり考えるようになる。ちょっと注意をそらした瞬間にひとの皿からきれいに食い物をくすねる(そして絶対尻尾をつかませない)バートとバーニーの兄貴のことも、夜中に俺をたたき起こしてあれやこれやと自分の欲しいものを万引きしてこさせるギルの兄貴も、サツの手を逃れるために時速四〇マイル〔約64km/h〕で走ってる車から俺を蹴り落としたロジャーの兄貴も……そして、俺のことをべつの群れだっていったアルフレッドの兄貴のことも。
俺はほんとに一匹狼になっちまった。
群れの
けど正直そんなことこれまで考えたこともなかったから、どうすりゃいいのかよくわからない。ほかの
そう思うと、あのムスっとしたギルの兄貴の顔でさえ、ものすごくなつかしく思えてきた。尻尾の先がちらっとでも目に入ろうもんならブッ殺されるだろうけど、離れたところから家の様子を見るだけなら大丈夫かもしれない。そんでちょっとでも、兄貴たちがいつもどおりに……文句言いながらステアリングロックを
木曜日にその考えがうかんで、金曜は俺はずっとうわの空だった。シルヴェストルの野郎が渋い顔でなんか言ったが、全然耳に入ってこなかった。
金曜の夜は九九パーセント、誰も家にいない。
ギルバートは朝五時まで飲み明かして、ほろ酔い加減で戦利品を運転して帰ってくると、夕方までゼッタイ起きてこないから、俺は土曜日の退屈な時間が過ぎ去るのを指折り数えて待った。
日曜、俺は(たぶん)教会へ来てはじめて、午前中のクリスのミサをすっぽかした。
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