No.1 女体化過程 後編
前編の続き、病院にて女体化の検査をします。
田中薫(主人公)
高校2年生、サッカー部。最近身長が伸びないのが悩み。
山田大樹
主人公の中学生からの親友。美術部。
佐藤先生
病院の先生、女の人。
俺は××病院で検査入院することになった。問診、触診、身体計測、血液検査、尿検査などを行い、一週間後経過を見るらしい。
「担当の佐藤です。初めまして、田中さん」
「どうも」
担当の佐藤先生は結構綺麗な女の人。俺よりも背が高い。
「先生、俺の身体はどうなってるんですか、何か最近、ずっと変で……」
「まだ分かってないことが多いから、これから検査をします。不安にさせてごめんなさい」
「......はい」
「触診から始めますね。まず服を上げて......」
俺は膨らんだ胸を見られるのが恥ずかしかった。でも、先生は躊躇なく触ってくる。
「んっ///」
「ごめんね、くすぐったかった?」
「......す、すいません」
「少しだけ、我慢してね」
「はっ、はい。んあっ///」
先生の指が胸の先の方に触れると、頭がビリビリするような感覚に襲われる。その度に身体がビクビク震える。先生はお構いなしに触診を続けた。
「胸が膨らんできたのに気付いたのはいつ頃?」
「ゴールデンウィーク明けぐらいに、風邪ひいて運動してなかったから最近太ってきたなって感じて。でも、その後は部活して、走ったり筋トレもしてたし、食べ過ぎなハズはないんですけど......太って来て。筋肉も付かなくて」
「その時期に、膨らんでるのを感じたと......」
「はい」
「4月に学校で測ってもらった身体計測の記録が、身長173cm 70kg。スポーツやってるから結構がっしりした体型なんですね。それで、今日測ったのが、170cm 64kg 。身長は測ってる人が違うから正確には分からないけど。体重は、太ってはいないけど、筋肉が落ちて来てるのかな」
やっぱり身長が縮んでる。一体俺の身体に何が起きてるんだ。
「それと、4月からよく発熱を繰り返してますよね。主に喉の調子が悪いと」
「そうなんです。熱は下がっても声が変なままなんです。前はもっと低くて」
「喉、見せてもらいますね?」
そう言って、先生は口の中を診る。
「腫れてはいない、みたいね。熱が出てる時は腫れていました?」
「多分、喉痛かったので」
「なるほど」
先生はカルテに何かを書いているけど、俺には読めない。
「分かりました、では1週間ほど経過を見ます。身体計測は一週間後、血液検査と尿検査は毎日行います。念の為退院予定は2週間後に」
「分かりました」
「ありがとうございました。お疲れ様です」
1週間、何もすることが無くて暇だった。マネージャーがインハイの予選の結果を報告してくれている。順調に勝ち上がってるみたいだ。でも、このよくわからない病気が進行したら。俺はもう必要ないんじゃ。そんな不安に駆られていた。
勉強するにしても、1日おきに高熱が出るもんだから、全然出来なかった。
5日目に大樹から電話が来た。
「もしもし」
「あっ、薫君のお母さんですか?」
「は?何ふざけてんだよ、俺のスマホなんだから、俺だろ」
「えっ......あぁ、ごめんごめん」
何だよ、変なの。
「今どんな感じなんだ?2週間も入院だなんて、クラスのみんな心配してるぞ」
「いや、俺にもわかんねえよ、けど命の心配は無いって。ただ、熱が上がったり下がったりしてるから退院はまだっぽい」
「見舞いには行けないんだって?」
「なんかそうみたい」
「まぁ、早く元気になれよ、それじゃ」
「あぁ、ありがとう」
家族以外はお見舞いに来れないらしく、妹と母だけが来ていた。
「お兄ちゃん、髪伸びたね」
「ん?あぁ、この前切ったばっかなのにな」
「パパ忙しいみたいで来れないって」
「別にいいよ、来なくて」
父さんは関西に単身赴任中だ。その日、父さんから電話がかかってきた。やっぱり最初、妹と間違えられた。自分では慣れてたけど、俺の声は高くなっているみたいだ。
1週間後、検査が終わった。
「検査が終わりました。......田中くん、落ち着いて聞いてね」
「......はい」
「貴方の身体は今、だんだん女の子になっています」
「はい?」
「女性化が進行しています」
「女性化って......そんな......」
最近の身体に起こった変化、膨らんだ胸、高くなった声、伸びた髪。思い当たるフシはあるけど、到底理解出来なかった。どういうことだよ、女の子になるって。
「遺伝子の異常で起こる先天性の疾患です。ホルモンのバランスが乱れて身体が女性化してしまうの」
「......」
「まだ症例が少なく、世界でも174人、日本でも10人しか発症してないんです。なので研究があまり進んでなくて」
「これ......治るんですか?」
「......残念ながら、この病気は不可逆性、元には戻りません」
「そう......ですか」
「これが今朝の身体計測値です。身長が167cm 体重が59kg、胸囲も前回より
大きくなってますね。これは女性化が進行している途中です。」
改めて数字で突きつけられると、ショックが大きい。本当に女になってんだ。
「まだ進行中だからもう少し入院が必要です。それと......」
まだ何かあるのか?
「この時期から生殖器も女性器に作り替えられていきます」
「えっ......」
「1週間前と今朝出して貰った精子検査の結果によると、精子が少なくなってるんです。また、泌尿器系の萎縮も始まっていて......最終的には、妊娠可能な子宮が作られていきます」
そういや、4月から全然性欲が湧かなくて、オナニーもほとんどしてなかった。風邪のせいだと思ってたけど。
「子宮が出来るとホルモン分泌が亢進して、女性化の進行も早くなってきます。あと2週間もすれば完了期に入ります。それまでは発熱が続くので、安静にする必要があります」
「......分かりました」
「戸惑うのも無理はありません。私達も出来るだけサポートします。明日、ご家族とも一緒にもう一度詳しい説明をさせていただきますね」
その夜はなかなか寝付けなかった。なんで俺が......
ふと、俺は自分の膨らんでいる胸に触れた。俺が女になる。受け入れ難い現実がそこにはあった。股間に手を当てる。小さくなっていたが、なんだか触っていると安心した。俺はそれを扱いた。膨らんでいるそれを見て、俺は男だと強く感じられた。でも、胸の先に指を当てるとビリビリと快感が伝う。これが......女の......
俺は誰だ、何者なんだ。
ベッドの軋む音がする。
その後の事は覚えて無かった。
翌朝、シーツがびっしょり濡れていた。
何をしていたんだろう。何で濡らしたんだろう。
でも何故か気持ちは昨日の夜よりすっきりしていた。
もう、治らないって分かった。
受け入れるしか無い。みんなは受け入れてくれるかな。
家族はなんて言うだろう。
サッカー部も、クラスのみんなも。
大樹も。
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