第3話『準備と友人』
次の日、授業を終えて放課後、週の中間だけあって中々に週末が長く感じる。
とは言え、今日は天文部としてやる事があった。
天体観測の準備をしなければならない……
現実はそこまで用意する物はない、望遠鏡などの機材は部室にあるからだ。
昔は本格的に部活動をしていたとかなんとか……
だが、機材があるだけで必要な物がない訳ではないので三人で担当を分けた。
舞ねえはお弁当担当、未央は食材の買い物担当、俺は雑貨の買い物の担当に割り振られた。
ちなみに舞ねえは弁当担当だけなのか……それは舞ねえが料理上手なだけではなく、放課後は補習する事が決まったみたいでその影響である。
そういや、リストは舞ねえが個別でメッセージを送ると言っていたが……?
そう思った矢先、スマホの通知音が鳴り、俺は差出人を見ると舞ねえからだった。
リストが来たようだ。
俺は画面を開き舞ねえからのメッセージを開いた。
『紙コップ』『割りばし』『カイロ』『レジャーシート』『別冊トキメキ』『私は恋しているのでしょうか?12巻』
「‥…ん?」
うん、もう一度読み返しても余計な物までリストに入っている。
これは天体観測に必要……な訳がない、明らかに舞ねえの個人の買い物だ。
「しっかし、これ買わないなら買わないで何言い出すやら……」
「よぉ、何ぶつくさ呟いてるんだ?」
俺は聞き覚えがある声に気怠そうに顔を上げる。
そこには入学してから出来た。友達の
「七海か、いやお前には何も……あー……お前も一応は天文部だっけか」
「幽霊部員だけど、なんだ?何かやるのか?」
「天体観測を今週の土曜日にやるんだよ」
やると決めたのは良いもののいつやるのかを聞いてなかったので聞いてみたら舞ねえもいつやるか決めていなかったらしく急遽来週の土曜日に決まった。
「おぉ、部活って感じがする」
「舞ねえの事情に巻き込まれたとも言うが」
「なるほどね」
「舞ねえの事情とは言え部活動には違いないし七海も来るか?舞ねえも了承すると思うぞ?」
俺はそう言うと七海は少し考えた後に首を横に振った。
「今回は遠慮しておくよ、舞夏さんと未央ちゃんと朝川だけで行ってくれ」
「いいのか?」
「幽霊部員だからね、それとオレには朝川たちの仲に今更割って入るなんて事はできないよ」
「それとこれとは関係ないと思うけどな」
俺は苦笑しつつも椅子立ち上がった。
「じゃ、七海、参加しない代わりに俺に付き合って貰うぞ?」
「その書かれてるメモの買出しにか?」
「あぁ、終わったらちょっと遊んでいこうぜ」
「いいね、行くか」
俺と七海は学校へ出る事にした。
紙コップ、割りばしは100円ショップでレジャーシートはホームセンターで買って来た。
残るは……
「朝川、何スマホをじっと見つめているんだ?」
「いやな……」
俺は七海に渡す、渡されたスマホを見た七海は苦笑しつつスマホを返した。
「舞夏さんらしいね」
「らしいと言えばらしいんだけどな……」
さて、どうしようか?そんな事を考えてると不意に通知音が入った。
今度は未央からのメッセージだった。
「また舞夏さんか?」
「いや、未央からだ」
タイトルは【買い物リスト追加】と書いてあった。
俺はメッセージを開いて内容を確認する。
「買い物リスト追加?どれどれ……」
『別冊トキメキ』 『ワタクシを置いて先にお逝きなさい!って言ったのに!3巻』『微笑みの貴公子 IN 金沢5巻』
「……」
「何が書いてあった?見せてくれよ」
俺は再び七海にスマホを渡すと内容を読んでこれもまた苦笑する。
「すごい、タイトルだねー」
「どっからツッコミを入れたらいいかわかんねぇ……」
っと言うか、どんなふざけたタイトルの漫画なんだよ……
笑わせるために悪ふざけで送ったのか?
きっと、そうに違いない、これは大喜利なんだろう
「ホントにあるみたいだね、その漫画のタイトル」
「マジか?」
「マジ、見て見なよ」
今度は七海のスマホを渡されて見てみると確かにそのタイトルが書かれてあった。
どっちも別冊トキメキに連載されている漫画らしい……
タイトルの割りには絵は普通の少女漫画に出てきそうな絵のタッチではあるが……
これ、本当に別冊トキメキから出てる?少女コミックに載ってなさそうなタイトルなのに?
そんなゲテモノに近い漫画は買いたくは無い……
買いたくは無いんだが……
「はぁ……買わないと何言われるか分かんないな……」
「舞夏さんや未央ちゃんには甘いよね朝川って」
「否定……出来たら良いんだろうけどな」
なんだかんだで二人のわがままを受け入れてしまうんだよなぁ……
「……本屋行こうぜ」
「そうだね、姉と妹思いのためにね」
「従姉と幼馴染だ!」
「似たようなもんじゃないか」
「舞ねえはともかく未央はちげーよ」
「傍から見たら間違いなくそうなんだけど?」
「勘弁してくれ……」
俺は両手を上げて降参のジェスチャーをする。
ホント、勘弁してほしい所だよ。
そう思いながらも俺は七海と本屋へ向かうのであった。
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