第8話 お風呂場でえっちなのはだめです
◇◇◇
寿司屋を出てから、俺たちは駅前で買い物をした。
まあ、女の子と暮らすというのはいろいろ必要なものが出てくるわけで……3時間ほどかかってしまったが、その間、花音ちゃんは日本の建物やお店が珍しいのか、終始楽しそうだったので、こちらも楽しかった。
夕方16時頃、昼食を取った寿司屋で澪ちゃんへのお土産と俺らの夕食を買い、家に向かっていた。
花音ちゃんは澪ちゃんへのお土産を大事そうに持って、今でもスキップしそうなぐらいご機嫌だ。
そうして、買い込んだ荷物を両手で持ちながら、自宅マンションに到着した。
「政吉さん、私お寿司に合うおつまみ作るね!」
「ありがとう。あんま気を使わなくてもいいぞ?」
「いーえ、気を使っているわけじゃなくて、私が作りたいだけだから、政吉さんはぜーんぜん、気にしなくてもいいの」
「お、おう……」
俺としてはありがたいし、本人がやる気になっているならいいか。
と、そんなことを話ながら、家に着いた。
家の中はシーンとしており、人がいるように思えないが……まあ、澪ちゃんは家に引きこもってるのか?
というか……家を出る時も気になったが……澪ちゃんの靴が見当たらないんだけど……家を出る必要がないからか?
「政吉さん、荷物もってくれてありがとう。食品関係は私が片づけるから、タオルとかシャンプーとか、脱衣所に置いてもらえる?」
「ああ、わかった」
聞いた話だと、花音ちゃんは家事全般は万能らしい……どんだけ、スペックの高い小学生なんだよ……。
マジで将来、とんでもなくいい女になりそうだ……。
とか、考えながら、脱衣所に入る。
すると、脱衣所と風呂場には既に電気がついていた……。
「あれ……? 消し忘れたか?」
俺はそんな風に考え、新しく買ったタオルを脱衣所に置き、シャンプーの類を置くために、風呂場を開けると……
「え……………?」
俺は固まった……。
だって湯船にはやたら長い金髪が湯船にぷかぷか浮き、その金髪の中には人が……。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
めっちゃ悲鳴を上げた。
嫌だって、これどっからどう見ても幽霊じゃん!!! いや、呪いか!? 悪霊か!? とにかく、現代に居ちゃいけないものだ……って……
「あれ…………」
髪に埋もれていて気が付くのが遅れたが……髪の隙間から、白く透き通るような肌と、大きな胸と細い腰が見える……さらには洗面台にはピンクのカバーのスマホとタオル、ペットボトルのお水、タオルが置かれていた。
「……………………」
もしかして、澪ちゃんか? そ、それはそれでまずくないか!? 風呂場でのぼせたのか!? 失神してる!?
俺は澪ちゃんの肩を掴んで揺さぶろうとしてる。
「お、おい、澪ちゃんしっかり……」
その時、俺の悲鳴を聞きつけて、花音ちゃんが風呂場に飛び込んできた。
「政吉さんどうしたの!? 人が死んだみたいな悲鳴だったけど……」
花音ちゃんは澪ちゃんの肩を掴んでいる俺を見て固まる……そして、やがて……苦笑いフルスロットルで、どこか照れたようにもじもじしながら……。
「政吉さんって……意外とえっちなんだね」
「あほ! そんなこと言ってる場合か! 意識がない! 早く救急車を呼んでくれ! くそっ、こういう時どうしたらいいんだ?」
「あー、政吉さん、心配してくれてるところ悪いんだけど……大丈夫、大丈夫。お姉ちゃん、お風呂大好きなんだけど、すぐお風呂場で寝ちゃう悪癖があるの」
「え……? ね、寝てる? 俺の悲鳴でも起きなかったけど……」
「お姉ちゃん、よびかけてもラグがあるから。でもそろそろ……」
『うーん、うるさいなぁ。もっと寝たい……』
その時、澪ちゃんの声が髪の中から聞こえた、そして……横たわるようにしていた体の上半身を起こす。
大事な部分は髪で隠れているが……その……それでもスタイルがよく、エッチだ……。
「ん……? あれ? 花音? ……それと……」
やたら長い前髪に隠れている顔を俺の方に向け、目があった気がした。
「きゃ、きゃああああああああああ!!! で、出て行って! 出て行って! 出て行け!」
そして、スマホやタオルを投げつけられて、俺と花音ちゃんは風呂場を追い出された。
「………………」
「………………」
俺と花音ちゃんは無言で見つめあう。
そして花音ちゃんが『やれやれだぜ』みたいな感じで、肩をすくめ、悪戯っぽく俺の方を見る。
「政吉さんは気にしなくていいよ? お風呂場で寝るお姉ちゃんが悪い。ふふっ、でもラッキーだったね。お姉ちゃん引きこもりのくせに筋トレを日課にしてるから、スタイルものすごくいいんだ。えっちだったでしょ?」
「………………」
いや、役得だとは思うけど……この後どうするんだよ……
関係修復不可能なんじゃないか……これ?
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