第49話 キュアスカイと最強の力

 力こそすべてである。


 これは正解ではないでしょう。しかし、数ある『理』のひとつではあります。


 人は大昔から戦争、つまり武力によってあれこれをつけてきました。現在は武力による衝突は悪とされ、話し合いで解決しようとする方向性に向かっています。


 まあ、実際は現在もあちこちでドンパチやっているのですが――ではここで本題。全世界で浸透しつつある『話し合い』ですが、これほんとうに話し合いなのでしょうか?


 話し合いとはなんでしょう? 一方が欲している答えを避けもう一方が望む文言を用意したり、ある発言をすると責任問題になるからと玉虫色の解答にしたり、あるいは不用意な発言によって瞬く間に大きな損失を被ったり、もしくは膨大な利益を得たりする。


 これは『話し合い』なのでしょうか?


 口がうまい方が勝。これもある種の『力』と言えるのではないでしょうか? ――などと哲学者ぶるつもりはないので、早速プリキュアを視聴していきましょう。




 前回、衝撃の一撃とアンダーグな展開にて幕を閉じました。やはりラスボスはおまえかハゲとツッコミを入れたい一方、まさかカイゼリンそのまま終了ってワケじゃないよね? と若干の焦りを感じます。


 さて、スキアヘッドは訳知り顔で「父親と同じ最期を遂げることになったな」と言いました。はいはい知ってましたよどうせアンタがカイゼリンの記憶をいろいろ弄ったんでしょと。


 事の真相。これから『平和な時代の歩き方』を探そうとしたカイザーに背後から不意打ちし、そしてカイゼリンの記憶を消したのはほかでもないスキアヘッドだった。


 そして偽りの記憶を与え、これから平和への道を歩もうとしていた両国の絆を断ち切ったと。プリキュアは幼児向けなので思い展開にならぬよう意図して作られています。ただ設定とか話自体は、そこらへんの青年向け作品並みにズッシリしていたりします。


 カイゼリンとの会話中、カイザーさんこんなこと言ってましたね。


「これからは何を信じて生きていけば良いのか、探していかなければならない」


 人は『信じるモノ』を求めています。大なり小なり信念を持たない人間はいません。日々ふらふらーっと生きてるように見えるあの人だってしっかりとした信念を持っています。


 人はそれを『当たり前のもモノ』と考えているかもしれません。他者に親切にして当たり前たとか、学生の本分は学業に決まってるとか、仕事は自分自身の成長のためにあるべきだとか……そういった心をもとに、人は様々な行動を起こし、モチベーションを維持しています。


 おそらく、スキアヘッドにも同じことが言えるでしょう。さて、彼の目的はいったいなんぞや? 知識の宮殿がどうの言うてたからそのヘンがヒントになるのかねぇ。


 プリキュアって子どもたちに洗脳属性でももたせるつもりなんかねぇ……歴代でも他人の記憶を弄るアレコレ多いしほんとスタッフ業が深い。




 スキアヘッドの正体はアンダーグエナジーの化身『ダークヘッド』でした。その目的はアンダーグエナジーの入れ物をつくること。そのためにあえてプリキュアに敗北し続けカイゼリンをじらし、自ら負のエネルギーを増幅させるよう仕向け、そしてアンダーグエナジーに身を捧げさせようとした。


 用意周到なことねぇ。しかし彼のセリフを聞いて納得させられることがありました。


 力は『概念』でしかないのです。力は使い手がどのような意図や用途で使うかによって方向性が異なります。


 たとえば『ドローン』なんてどうでしょう? ドローン技術を使えばエキサイティングな撮影が可能になり、自転車や犬のうしろを追いかけるなんてこともできます。


 ではドローンに銃を装備させ、それを人に向けてみたらどうなるでしょう? ――力はあくまでスカラー。そのベクトルを定めるのは人間の手によるものなのです。




 愛さえも偽りだった。その言葉にショックを受け自棄になりかけたカイゼリンをプリキュアの言葉がせき止めました。


 騙されていたとはいえ、本来のカイゼリンは『力』をそのようなコトに使わない。キュアスカイの堂々たる態度にダークヘッドは「良い入れ物を見つけた」とまあ悪巧み。


 これはプリキュア大ピンチからのキュアスカイいじめからの大逆転フラグですねわかります。案の定というか、アンダーグ帝国に招待されて早々仲間と分断するイベントが発生しましたね。


 あ、でもちょっと待って。キュアウィングのセリフに胸キュンしちゃったんだけど? オトコノコとか関係なくヨシヨシしたくなっちゃったんですけど? あ、もういやだ、ちょっと近くのぷにバード族もふもふしてくる。


 キュアウィング、バタフライ離脱。続けて巨大ランボーグに追われキュアマジェスティ離脱。おそらくプリズムもどこかで離脱するでしょう……っと思ったらふたりでダークヘッド戦か。


 しっかしダークヘッドさんどうしたらキュアスカイを「力を求め破壊のために使うもの」と評価できるん――あ、そういや巨大な岩を北斗の拳スタイルでぶっ壊してたな。




 さて、いよいよラスボス戦と参りましょう。すばらしい連携により順当に追い詰めていく名コンビ。これは予想外の楽勝パターンか? なんて『プリキュア』が許してくれるワケねーじゃん?


 ほら始まったよラスボスの絶望モード。最近の、というワケじゃないけどプリキュアってわりと命張らせるよね。


 ごめん、スカイがアンダーグエナジーぶつけられて「うあっ」って声出したのちょっと笑っちゃった。


 しかしアンダーグエナジーぶっこまれてもキュアスカイはヒーローのままだと思うが果たして? ――えっ。


 あらやだかわいい。ってかマジで? あらやだこれ、光堕ちキュアならぬ闇堕ちキュア誕生の瞬間ですか?


 長いプリキュアの歴史のなかでも『プリキュア対プリキュア』ってのは珍しくもあり、珍しくなくもない感じですね。初代の映画でをやったら子どもがギャン泣きしてから自粛してる系。それを今回封印解除したのかな? ――っと思ったら戦闘シーンには移行しなかったようです。


 あくまで『キュアスカイに乗り移ったダークヘッド』的なニュアンスね。そしてプリズムに一撃食らわそうとして、やはりそこはヒーローガールですわよ。しっかりダークヘッドの支配を乗り越えていただきましたね。


 あ、でももうちょっとだけダークモードのスカイ見ておきたかったかも。っていうかバリエーションのひとつとしてアンダーグモードなんて有りじゃない? ――だめですかそうですか。


 都合いい感じにカイゼリンの傷も癒やされましたね。まあマトモに考察するならスカイに乗り移ってたアンダーグエナジーが爆発した時いい感じに作用したって感じになるでしょう。あとはカイゼリンちゃんをこちら側に引き寄せるだけだね。


 キュアカイゼリン参上! みたいな?


 いい感じに終わりそうになったところで離脱した仲間たちが合流。みんなきちんと? あちこちに戦いの跡をつけております。


 いい最終回だった。いやまだ来週まであるねん。ってことでオマケ的な扱いになっちゃったダークヘッドさん登場。なんか大蛇っぽい姿になって「ダイジャー!」言うてるしウケる。


 じゃあ、さっさとやっちゃってくださいよプリキュアさん!




 次回予告。ダークヘッドさんのヘビ形態は『ダイジャーグ』だそうです。さて、次回いよいよ最終回となりますが、これまでの登場キャラクターが勢ぞろいしてまさに『プリキュアの最終回』的な演出でいいね!


 それとは別に、なにやらソラちゃんがひとりでいるシーンが……うん、別れがあることは知ってるけどやっぱり悲しいものは悲しいね。アニメの中の世界だけじゃなく、ひろがるスカイとの別れも近づいています。これまで視聴してきた思い出込みで寂しさ無限大だけど、それと同じくらいのゲンキももらったからね。


 このゲンキを胸に、また一週間おもしろおかしくやっていきましょう。アナタの人生に幸あれ!

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