番外編 映画プリキュアオールスターズF を観に行ってきたよ

 注意:まえがきメチャ長くなりました。感想だけ知りたいって方はこの段落を飛ばしてください。なおチョーゼツネタバレなので未視聴の方は閲覧注意ね。


 プリキュアのメイン層は子どもです。オトナの男性もターゲットにしてるんだという冗談やある画像が根拠に挙げられたりしてますが『プリキュアは子ども向けアニメ』です。


 よく言われる「20代30代の男性をターゲットにしてる」というのは『パパ』的な意味です。子どもが給料もらって自らプリキュアグッズ買うわきゃないでしょ? 子どもの「ねぇ~コレかってぇ~」言いながら塗り絵やら絵本やらをねだられてパパ(あるいはママ)が「しかたないぁ~」言うて買ってあげる。こういう意味での20代30代男性です。


 たまーに「ねぇ~コレ(だっこしておせわしてプリンセスエルちゃん おでかけワンピーススペシャルセット:価格:税込10,230円)かってぇ~」とかねだられてパパママが冷や汗を流す場面もありそうですが、基本はそういった意味でのターゲットだと認識いただければ幸いです。くわしくは以下のページがよく調べていますね。ちなみに、上記エルちゃんセットは11月4日販売開始予定です。


プリキュアの数字ブログ

ttps://prehyou2015.hatenablog.com/entry/precureotona

ttps://prehyou2015.hatenablog.com/entry/taishou


 おもちゃらやグッズやらなにやらはバンダイさんから出されてます。バンダイはをターゲットにしてるのでそちらの総会では「フィギュアとか売ったほうがいいんじゃね?」っていう意見もあるようです。が、あくまで『プリキュアは子ども向け』です。もちろん、いわゆる『おおきなおともだち』向けのイベントやらなにやらを開催したいなら公式は「協力する」と言ってるようですが、基本は子ども向けに全力で製作してるってのが結論。インタビューやらなにやらでもたびたび言及されてるようだからね。


 ――抱きまくらとか売ってたなぁ。


 グッズを買うのは子どもではなくおとなパパママです。だから彼らにとって魅力ある作品である必要があります。ママにはパッと見かわいい印象を受けるとか、パパには子ども向けだけどアツくていいお話だとか……オトナに媚びず、しかし魅力はキッチリ伝える。それら両輪をしっかり固められたからこそ20周年という節目を迎えられたのでしょう。そういった意味で、もうすぐ公開される『キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~』は当時視聴していた子どもたち向けになっていると考えられます。あれから時が経ったけど「のアナタはどうですか?」的なエッセンスで。


 わたしのような層は『プリキュアというコンテンツに』だけにしか過ぎません。だからこそ、わたしはなるべくレイトショー的な時間帯で視聴することを選んだし、もし子どもたちがたくさんいるとしたら、そのジャマをしないよう静かに視聴してるつもりでした。


 まあ、さすがに7時前の時間帯だと子ども率は少なかった、というかゼロだった気がする(わたし調べ


 ってことでまあ、今回奮発して映画館へ赴き視聴してきたのでその感想を書き書きしていきたいと思います。




 わたしは『おおきなおともだち』枠なのでね、あまり家族連れのジャマしちゃ悪いと7時前の時間帯をチョイスしてみたら案の定ご家族さまはいらっしゃらず、わたしと同じ属性っぽい方はオトナの女性のみなさまが視聴しに来ていましたね。


 しっかし映画1本2000円の時代になったかぁ。昔は(ry ――早めにチケットを購入して席を確保する必要もないくらいゆったり視聴することができました。んじゃ早速感想をば書いていきましょう。


 ソラ氏、いきなり異世界転移してた件。


 そっかープリキュアも異世界転移する時代になったかーなんて思った矢先早速「ぷりきゅあぁ~~」言うて襲ってくるナゾの黒いヤツ。子ども向け作品は敵味方の判別がわかりやすくて助かる。


 でもってソラのピンチに駆けつけたのは我らがキュアサマーとキュアプレシャス。見事にパワータイプでござる。ソラを心配して下がっててぇ言うおふたり、が、安心してください、ソラちんもプリキュアなんです。


 ってことでキュアスカイの変身シーン入りました! これは勝ち確。やっぱ女のコは変身シーンないとアカンよね? ってことでキュアスカイはフル演出です。なおプリズムほかプリキュアはスキップされた模様。


 スカイの変身シーンを眺めつつ(そーいやはじめ「初音ミクかな?」なんて思ってたなぁ~)と物思いに耽るオッサンでした。初音ミクに似てない?


 一段落したところでみんなの自己紹介。子どもたちにわかりやすいよう、彼女たちのアップに合わせて『シリーズ名:キャラ名:プリキュア名』も紹介されてました。これは親切で助かる。わたしも歴代のキャラ名記憶から抜け落ちまくってるからしてありがたやでした。


 んでさっそくわれらが腹ペコ女王和実ゆい氏の「はらぺこったぁ~」でタイトルコール。決まりました(なにが?


 初っ端からイベント早送り&詰め込めまくりだけど、まあ子ども向けアニメなので2時間とかやってらんないよね。とりあえずナゾの黒い敵が退散間際に残した「アーク様に報告だ!」というセリフ、そして遠くにあるナゾのお城。このヘンが物語のカギになりそうです。




 ところ変わってましろが浜辺にぽつり。目の前には人魚がいました。


 ローラ相変わらずで安心した。尾びれで頭くいくいする姿めちゃかわいかったです。「人違いでしたサヨナラ~」と退散しようとするローラをがんじがらめにするましろん。そーら彼女を船にして旅へ出発じゃぁ。


 道中、なにやらバトルの声が轟いてきました。ふと見ると離れ小島にてキュアフィナーレが戦っているではありませんか! ってことでローラとましろんが変身!! そしてみんなでおやくそくの「「「ええ! みんなプリキュアなの!?」」」という流れ。


 しかしここのフィナーレ最高だったわまじで。プリズム、ラメールと会話しながらそのついでにヒジ打ちかます姿めちゃツボった。あのヒジはガチだ(なにが?


 で、このタイミング(だった記憶)でキュアナゾの妖精『プーカ』登場。無事プリズムチームに保護されまいsた。ちょっと引っ込み思案で人との接触を避けてるように感じた。これはプリキュアのやさしさが必要やなぁって。


 さらに所変わってツバサチーム。こちらははじめから自己紹介済みだったようで、ツバサくんはトリ公モード、みんなではーちゃんのほうきに乗って悠々とお城めがけていたようです。


 途中でキュアフローラの戦闘シーンに遭遇。作画がメチャ気合いはいっておりまして、舞い散る花びらのなかキュアプリンセスが華麗に舞い、華のように必殺技をぶっ放しております。攻撃を受けてコケッとするところもご愛嬌。


 無事倒したところにツバサ一行到着。んでいきなり「プリンセス!」とか言うてるツバサくん、ああそうかキミプリンセスジャンキーだったね。しかもプリンセス言われたはるか氏満更でもない顔をしておられる。


 あの「ぬふぅ~」っていうキュアフローラの表情、かわいかったです。


 さらにさらにあげはチームの描写。雪山のなかはごろもフーz、じゃなくて羽衣ララがツンデレネコ琴爪ゆかりの単独行動を批難しております。年長者というかオトナのあげはが場をおさめようとしてるものの、ゆかりは結局別行動をとる選択をします。その様子を、地球レベルの包容力風鈴アスミが物憂げに見守っていました。


 ぬるっと動いてあげはおねーさんにブーたれる宇宙人系少女がかわいかってです。




 それぞれの場面を把握したところで、それぞれが例の『お城』目指して旅路を行きます。ましろ組が3人で砂漠を歩いているシーン。キミらもうちょっと薄着してもよくない? とくに生徒会長さんその服装は暑すぎだろ、脱げよ(不審者的な意味じゃなく)。


 せっせと砂地を歩いてると、運良くオアシスを見つけ出すことができました。ほんと偶然だね。んでそこの水をごっくんしてるところどこぞで「生きてるってかんじぃ~」とまた聞き覚えのあるセリフ。そこには病弱系ヒロインのどっちがいらっしゃいました。


 あれ、キミそんな声だったっけ?


 いやでもまあ、久しぶりに彼女の声を聞けてよかったです。コロナ禍にて医療を扱ったプリキュアだけに当時は話題になりましたね。実際、医療現場におけるトリアージの概念をしれっと盛り込んでたり、病原菌は問答無用で身体に入れちゃダメなヤツなんだよと教えてくれたり、わりとガチな教養がふんだんに挿入されていた気がします。


 ソラチームはパワータイプの特色を活かしキノヴォリ。おめーらサバンナの中心でも余裕で生きていけそーだなオイ。たださすがにどくどくしいキノコはご法度でお願いします。


 夜になり、ふとソラの心に心配事が浮かびます。自分やほかの『プリキュア』がここにいるってことは、もしかしたらキュアプリズム = ましろがこの世界にいるかもしれない。そう考えると居ても立ってもいられなくなり、はやくみんなを探しに行かなければと気持ちがはやっちゃうんだね。


 その気落ちもわかるし、まなつたちの言うことも理解できる。そういった悶々はみんなで分け合って、みんなで乗り越えていきたいよね。アナタもそういう絆で結ばれたともだち、いるでしょ?


 力は合わせ味噌にしてこそよりよいパワーが引き出されるのですよ。


 なんて言ってる間に例の映画専用プリキュア『キュアシュプリーム』がナゾの黒いヤツを滅多打ちにしていましたよ。いやマジでそんなニュアンス。滅多打ち。


 プリキュアがやる「はああ~~!!」ズドン! ――的なあれじゃなくてね、ガチで殴りにかかってるというか無言で「おら◯ね」みたいな勢いのヤツ。ちょっと『プリキュア』とは趣きが違ったのでわたしはこのヘンで「プリキュアにしては暴力的だなぁ。それとも男の子プリキュアだっていう伏線?」的な妄想をしていました。


 なお、シュプリームは[ Supreme ]となり、日本語訳は『最高』となります。ランキング的な意味での最高、並外れた力量をもつ、権力がある的な意味で、たとえば[ The supreme court ]で最高裁判所、また[ The supreme commander ]で最高司令官的な意味にもなります。


 シュプリームの戦い方はというと――元来、プリキュアは『倒す』ではなく『浄化する』的なアレだよね。だけどシュプリームの演出はガチで『倒す』でした。っていうかぶっちゃけ『消滅』レベル。今回の戦闘シーンは通して気合が入ってるだけに、なんかシュプリームの異様さが突出してる気がしました。


 相手のもなんかおかしかったしね。でもまあ、わたしは個人的に「かっけぇ」と思いました。この時点でわりと『シュプリームくん説』を推してましたわ。


 そういやおまえ『キュアピース』と攻撃パターン似てるな。


 当然ながら、一行はシュプリームとの出会いを果たすことになりますが……ここまでに妙なシーンが連続します。いつ、どうやってここに来たかのナゾカケがあったり、ソラがまなつと手を繋いだ時、そのタイミングで妙な感覚を味わったり、シュプリームがソラたちを見て「おぼえてないの?」と意味深な言葉をつぶやいたり……なんじゃこれは?


 ここに来て、わたしの心のどっかで抱えていた「こいつほんとーにプリキュアか?」という想いが膨らんでいきました。




 それぞれの旅路は続きます。別行動をとってたチェシャ猫のおツンデレ具合はサイコーだったね。ツンツンしてるように見えて心の奥底でキュアショコラを想い、犬であるラテにその姿を重ねる。いやまあ犬っちゃ犬だけど髪の毛赤くねーだろ。


 にしても寒い! どうにか寒さをしのげる場所はないのか! ――ってところで都合よく足湯なんてのがあるの草。オアシスといい都合良すぎだろと。ってかアスミちゃん寒さもヘーキとか羨ましすぎる。


 さらに、アスミは地球意志を感じるというかそういう設定もあります。そんな彼女が周囲を見てを感じてるんだよねぇ……あのさぁ。


 ここはほんとうに異世界なの? もしかして『合成された世界』じゃね? そんな考えがわたしの中でうまれました。




 シュプリームあらためプリム、さっそく体育会系プリキュアの洗礼を浴びておりました。あっちこっちドッタンバッタン大騒ぎなソラ一行。変身してくるみ割りとかわたしもやりたいわぁ。しかしプリムくんやたらクールに動じずその様子を見守って――いや淡々と見つめている感じ。


 夜、薪においしいごはんを囲みつつ、プリムはこんなことを尋ねました。


「プリキュアってなに?」


 ソラたちはその疑問に首を傾げます。さて、自分たちはどうしてプリキュアになったのでしょう? 自分はヒーローになりたいと強く願って、おいしいごはんを守りたい、今やりたいことをやりたい――それぞれの強い想いが思い出されていき、わたしもなんだかしみじみとした心持ちになりました。


 が、そんな様子を見てもプリムくん「ふぅ~ん」って感じ。なんてイベントをこなしつつ、ソラだけでなくほかのみんなもデジャビュるようになっていきます。


 それぞれの夢が語られ、最後にはーちゃんの「ぜったいに忘れない!」という言葉、どうやらこれがキーになりそうだが果たして?




 城への旅路は続く。砂漠のなか都合よくあった電車に乗ろうとするましろ一行。が、電車いま走っとる最中やねん。ましろはソラに鍛えられて、ローラは気合いで、あまねは持ち前の運動神経で軽々と電車に乗り込みますが病弱系ヒロインのどっちは悪戦苦闘。ローラが尾ひれを伸ばして掴ませようとするもののこのままじゃ間に合わない! ――ってタイミングでまさかのラビリン登場! 尾ひれとのどっちの手の架け橋となってくれました。


 首尾よく電車に乗り込んだのはいいが運転手いなくね? まあいいや。ラビリンとの再開をよろこんだりなんだっったりしてるうちに、話はプーカについてになりました。


 プーカ、なにやら他者と手をつなぐことを避けてるように見えます。なにかあんのかと思った矢先にさっそく電車をぶっ壊しやがったぞこの妖精。どういうこっちゃ?


 プーカの記憶の断片には、自分を突き放した手と、冷たい視線で見つめるキュアシュプリームの姿がありました。いやこれ子どもたち泣いちゃうぞぉ? プリキュアがそんな目ぇしちゃダメだぞぉ?


 ――どうやらプーカはシュプリームの妖精であって、シュプリームとなにかあったようです。手に破壊のちからをもつ妖精とかユニークすぎるのですがそれは。


 拒絶の反応を見せるプーカ、しかし、そんなプーカに癒し系ヒロインのどっちはやさしく手を抱きしめるのでした。




 そっからはダイジェスト形式でお楽しみくださいという作画。とりあえずドラゴンを手懐けたツンデレネコ系彼女ことゆかりの手腕に惚れたとだけお伝えしておきます。ただまあ、徒歩でお城を目指すよりプリキュアになって行ったほうがはやいと思うのはわたしだけでしょうか?


 いやきっとプリキュアのちからで部屋掃除をしようと目論んだ某キュアマリンだったら同意してくれるはずだ――でもまあ、効率よりみんなの友情を深めたほうがいいよね! ってことで、はい。むしろ体育会系キュアは変身しないほうが効率良いかもしれない。すぐはらぺこったぁ~ガソリン切れになるだろうけど。




 いきなり街があって草。いや人間いたんかーいって。


 が、こいつらどこか某RPGのNPCキャラのごとく「ココハ、〇〇デス」とか「マヲウ、ヲ、タヲシテ、クダサイ」みたいなセリフしか言わんとのこと。ドラクエかな?


 このタイミングでソラとましろが再開を果たしました。ずっと心配してたんだよ的な感動シーンになるんやろなぁ……っと思ってたらコレだよ。


 硬直して一点を見つめるプーカ、その先には……キュアシュプリーム。そして、彼はこう口にするのでした。


「なんでここにいるの?」


 プーカの心の奥に潜むナニカが爆発しました。強力な破壊の力をもつ両手を地につき、ましろたちは地中奥底へと沈んでいきます。


 せっかくの再開もまた離れ離れになるふたり、しかしましろは「お城の中で会おう!」と言葉を残し穴の中へと消えていきます。その言葉を信じ、ソラは気持ちを城へ向けます。


 悪いイベントばかりじゃなく、さらにあげはグループとの再開も果たし、ソラはあげはからの熱烈はぐを頂戴しました……そうだね、あげはさんもやっぱ心細かったんだよね。このシーンだけであげはの心がわかるのほんっとエモい。


アスミ、さらにナニカを察した模様。これはもう確信ですわ。


 地中深くに落とされたましろたち。プーカは自らのちからを恐れ、よりみんなを拒絶するようになります。それでもやっぱりのどっちよ、彼女の包容力は世界一だってはっきりわかんだね。とりあえず、彼女たちは独自のルートでお城を目指すことになりました。




 展開速くお城へ到着したソラたち。話し合いでなんとかしたいなぁという意見を交えつつ、まるで道場破りのごとく正面突破を試みるソラ。まあ、アークさんも熱烈歓迎だよね。


 ってことでいざ戦闘開始! 爆発からの総力戦は映画ならではの迫力だよね。んでもって地下をたどってお城の床をぶっ壊したキュアフィナーレさんまじでフィナーレ。なーにが「加減をまちがえたか?」だよおめーキャラ前面に出まくってるな! もしかしてFはフィナーレのFなの?


 当然キュアシュプリームも戦闘に参加するわけだけど……なんだろう、足音が特殊というか気配がプリキュアしてないというか存在そのものが不安定に見えるというか……ここに来たらさ、もうお客さんの半数以上が「こいつプリキュアじゃなくね?」って思ってたと思う。もう男女とかどーでもよくなてて、キュアシュプリームの正体がどんなんかってのを考えてたよね。


 それもこれもラスボス『アーク』を倒せばわかることでしょう。ってことでいざバトルぜ!! ――っと思ったら終わってました。


 いやマジで。別ルートでやってきたらしいツバサチームがアークとやりあってて、っていうかキュアフェリーチェの必殺技イッパツでどうにかなってた感じです。


 あっけな!?


 え? これでおわり? まだうん十分も残ってるけど? ――ってタイミングでとうとうしっぽを出しましたよ。シュプリームくんが不満そうに「自分が倒す予定だったのに」と言って、あろうことかアークの身体をバラバラに消し飛ばしたじゃありませんか。


 ここまでの伏線が一気に回収されていきます。都合よくあるオアシスや足湯、アスミが感じた違和感、ビーチ、砂漠などそれぞれが狭すぎる地域、そして街の人がドラクエモードの理由――それらはすべてひとつの理由に収束します。


 キュアシュプリームがこの世界を生み出した、いや『合成』したということ。


 シュプリームが一度地球を破壊しつくし、いまソラたちのいる世界を合成、再構築していたのです。そしてさらに衝撃的な事実が明らかとなります。


 プリキュアはこのキュアシュプリーム……『シュプリーム』との戦いに一度負けていたのです。そして、彼女たちは消された。そしてなぜかは知らないけど、この再構築された世界のなかにふたたび現れた。




 シュプリームは『強さ』を求める存在だった。別作品でいう『ワンパンマンのボロス』的な存在です。ひたすら強さを求めていたところ、地球に存在する『プリキュア』なる存在と出会った。シュプリームはプリキュアと戦い、その強さを認め、自らのもつ『破壊の力』を使った。この力を使わせたのはプリキュアがはじめてだという。


 シュプリームは『プリキュア』の強さに興味をもった。なぜ彼女たちはこうも強いのか? シュプリームは地球という舞台を使って実験をすることにした。プリキュアの強さのヒミツとは? シュプリームは地球を再構築し、自らも『プリキュア』として再構築することでその強さのヒミツを知ろうとした。


 ある時、シュプリームは消したはずの『プリキュア』と出会った。自分を忘れているプリキュア。都合良いことだと、シュプリームはプリキュアと同行することにした。するとどうだろう? 強さなどとかけ離れた体たらくで、みんなとともに笑い、遊びほうけているではないか。


 これのどこに『強さ』があるというのか。シュプリームはこの世界を破壊することに決めた。




 いやぁ、なかなかスケールの大きな物語だったようです。そしてまさかのプリキュア敗北スタートという重たい展開。プーカはプリキュアが連れている妖精を模して生み出したのですが、言葉を喋れず(ピカチュウ形式)存在意義を見いだせないことから見捨てたようです。それがプーカのトラウマになってるんだね。


 敗北してたってのは衝撃だけど、それをイチバン気にしてたっぽいのがキュアウィングだったのがとても趣き深いなぁと思いました。キュアウィングの「ボクたちは――負けたんだッ!」っていうセリフ、勝ち負けにこだわる男子ぃの心がよく汲み取れると思います。そのあとみんなを逃がすために地面パンチからの突進はまじオトコノコしてたわ。


 えーシュプリームがくんでもちゃんでもなかったというオチは置いといて、とりあえず地球がピンチですプリキュアさん! ただキュアアースさん曰く「まだ地球の意志を感じる」そうなのでワンチャン。破壊された世界を再構築できればまだチャンスはありそうです――おんやぁ?


 どこぞにいたなぁ? シュプリームと同じく世界を破壊したり再構築できたりするパワーをもつ存在がなぁ(チラッ


 まあ歴代プリキュアも地球再生したり地球規模の必殺技ぶっぱなしたりしてたけど今回はゲスト妖精プーカちゃんに任せましょうね。


 ちなみに、キュアマジェスティさんちょっとだけ仕事しました




 シュプリームの強さは圧倒的でした。プリキュアは今でこそマイルドな表現になりましたが、初代やスプラッシュスターそこらではガチに地球を破壊しつくしてた描写がたっぷりあり、その当時のオマージュというか、ソラとプリズムがそのヘンを意識しれ描写されてたような気がします。


 とくに彼女たちが地面に倒れ伏し会話するシーン。彼女たちの決意表明っていうか意志の現れっていうか、このへんはもう感動の嵐だったよね。もう幼児向けアニメで涙ちょちょぎれるおっさんがいるよね。


 ふたりの絆、そしてプーカのちからにより希望が差し込みます。シュプリームは一瞬、プーカが破壊の力を使ったと勘違いしましたがそれは間違いで、プーカは今ある世界を破壊し、それらが『元』にもどる手助けをしたに過ぎません。


 そして、プリキュアたちの『思い出』が蘇ってきました。歴代プリキュアの追憶、名シーンのオンパレード、オールスターズならではの演出、復活していくひとりひとりのセリフが心に染み込んでいき、視聴していた当時の記憶が蘇っていくようでした。


 これは『おおきなおともだち』も納得の感動ですわ。とくにキュアハートがレジーナに語りかけるシーンを見てテレてる姿、グッときました。


 復活していくプリキュア、しかしそれでもシュプリームは破れません。弱いから集団になるのだというシュプリーム、ブラックだかブルームだかの「ひとりじゃなにもできないの何がいけないんだ!」的なメッセージ。激しいバトルを繰り広げていく中、とうとう地球が元の姿を取り戻し、シュプリームは地球をバックに勢ぞろいしたプリキュアを睨みつける。


 この画、すげーイイ。そしてなにより本当の意味での映画限定プリキュア『キュアプーカ』の爆誕。見た目はキュアシュプリームに似てるけど細かいところでぜんぜん違う。破壊と再生を司るプリキュアとか胸熱なんだけど? しかも喋れるようになったぜ!


 ラストバトルはもう大乱闘であっちこっち大騒ぎのなんなのって、ラメールが人魚つながりのキュアマーメイドと共闘したり、姫つながり、バタフライとドリーム、そのほかほんっとイロイロなリンクというか組み合わせを意識した共闘シーンがあって、これ子どもたちわかんねーだろマジ『おおきなおともだち』向けだとと思いつつ、激しい戦闘シーンに胸を踊らせていました。


 ここから情報量多すぎて追いつけないわ。えーっと歴代キャラ全員登場したしオールスター専用キャラも登場しました。地球が復活したってことでみんなが応援してるよ! 的な演出で、たとえばサブキャラの満・薫も登場したし歴代妖精も全員集合、もちろんモフルンとかはキュアモフルン形態でな。ブラペとかマリちゃんもいたような気がするしもうこのヘンは確認する時間がなかった!


 とにかく『全員集合!!』って感じ。よぅあそこまで書き込んだわ。個人的にいちばんうれしいのはオールスター限定の『キュアエコー』の登場だね。シュプリームくんきっと「戦わないプリキュア? 却下で」ってなったのかもしれない。


 ちなみに、今回一部のプリキュアが戦闘中『P座』なる新しい星座を生み出しました。ってことで天文学者の方は覚えといてください。


 バトルシーンすげーって書いてるけど、プリキュアの意義は勝利ではなくあくまで『わかりあうこと』なんですよ。ってことで、今回のプリキュアもみんなしてシュプリームに言葉による精神攻げ――愛と友情の大切さを説いていきます。その度にシュプリームくんは拒絶するんだけど、だんだんと余裕がなくなるにつれ「だまれ!」的な態度へ変遷。ところがどっこい、なったプリキュアはもう歯止めが効かんのですわ。


 ってことで、えーシュプリーム氏、ドボンです。




 まばゆい光に包まれたシュプリーム。次に目を開いたとき、そこには平原が広がっていた。


 プリムの姿となった自分に困惑するシュプリーム。声がした方を見てみると、そこには変身を解いたプリキュアたちがいるではありませんか。


 かつて自らを負かし、消滅させた存在。そんな自分に手を差し伸べてくる。シュプリームはわけもわからず訊いた。そして、ある言葉が帰ってきた。


「同じ釜の飯を食った仲」 ――傍らにいたキュアプーカに連れられ、シュプリームは『プリム = キュアシュプリーム』として新たな一歩を踏み出したのでした。




 エンディングはキュアスカイはじめヒロプリ勢といっしょに歴代名シーンを巡っていきながら、最後は歴代プリキュア全員でダンシングという流れ。シュプリームやプーカわぁ……いたっけな?


 歴代キャラ全員ダンスとなると規模がデカくてねぇ、もうヒロプリ以外のキャラが遠くて小粒にしか見えないの草。いや映画館規模だからまだマシだけど、これ地上波とかテレビで観たらぜったいアレよ? 砂粒よ?


 とりあえずプリキュアダンスに心あらわれて「あーおわったぁ」感に浸ってると、まさかの『プリキュア新作映画 2024年製作決定!』とのテロップが。


 これは朗報。次プリキュアへの期待高まるなかで映画が終了。ライトが照らされていく空間のなか、わたしはパタリとメモ帳を閉じるのでした。




 いやーいい作品でした! 最後のシーン、ふたりのカラーリングが黒と白で初代を彷彿とさせるのもニクい演出だったね。キュアシュプリームが本性を表したとき黒にフォルムチェンジしたのこーゆ理由だったのかと妙に納得しちゃったよ。


 ひととおり観終えた後、率直に覚えた感想は『オトナファンに向けたプリキュア』って感じでした。いや、まあまえがきで書いたようにプリキュアは子ども向け作品なんだけど、どこか旧来からのファンに向けたサービス精神を感じるというか、あるいは『プリキュア好きなスタッフがプリキュアのための作品を全力で生み出した』的な、そんな味を感じます。


 シュプリームという存在、まさに『最強』の名にふさわしい演出がされていました。シュプリームが一度プリキュアを倒した、という回想シーンにて、シリーズでも最強レベルと名高いミルキィローズが散っていく場面から始まったのが印象深く、また歴代最強とまで言われるブラック、ホワイトのを離させるなどまぁやりたい放題。これは一部幼児たち泣いちゃったんじゃない?


 アークは『プリキュアと戦う敵』として想像され生み出されたからこそ、ソラたち『プリキュア』をターゲットにしていた。そういった意味で、キュアシュプリームも正真正銘の『プリキュア』とすることもできるでしょう。最後はキュアプーカといっしょに尊いシーンを演出してたしね。


 ――なんだろう、キュアシュプリームとキュアプーカがこのさきどうなっていくのか、すごく気になり始めちゃったわ。実は来期プリキュアがソレなんですよ、なんてオチがあったりしませんかねぇ?


 そもそも『来期プリキュア』があるのかどうかっていう話。現状オトナプリキュアが10月、魔法使い2が2024年の深夜枠として予定されてるようですが、次プリキュアの情報はまだ出ていませんね。言うて今出すには早すぎるし、えー例年だと晩秋からクリスマスシーズンに来期用の特許をとるはず。その時までいろいろ楽しみにしておきましょう。


 オールスターズF、正真正銘のオールスターすぎて1回見ただけじゃ全部把握しきれないほどギッチギチでした。まさか歴代キャラほんとに全員出すとは思わなくて、バトル描写もメッチャ激しいし動きまくるし展開速いしでまるで追いつけず、かろうじてあのキャラとこのキャラが共闘してるなとかこの技出したっぽいな的なのがわかるくらい。合体技もどんな組み合わせだったのかがよく認知できませんでした。


 これ、ガチ勢の方は2回3回数と観に行くのでしょうかね? ――わたしはもうお腹いっぱいなので思い出を胸にしまいつつ、もしかしたらブルーレイとか出たら買うかもしれません。


 今作、プリキュアファンならぜひとも観ておくべき素晴らしい作品となっております。ヒロプリ映画としての側面をしっかり残しつつ全キャラ活躍、緻密なストーリーを子どもたちが飽きない時間に収め、ほんとうに1から10まで"空き"や"飽き"のない密度でした。


 一連の物語、ひと言であらわすなら『シュプリームの実験』でしかないわけです。プリキュアの強さを知ろうとして自らがプリキュアになり、自らプリキュアの強さのヒミツを解き明かそうとした。そのなかでリアルガチに『プリキュアがいる』事実は予想外であり、これは文字通り奇跡という現象なのかもしれません。


 シュプリームというキャラクターは、やたら時短や効率をうたう現代に「ちょっとまって、もっと大事なコトあるじゃない?」というメッセージを投げかけてるようにも感じられました。アナタはどうですか? 効率よく活動するのはとても大事なことですが、効率をもとめ過ぎて『たいせつな時間』をきちんと過ごせてない、なんてことはないでしょうか?


 一見ムダに見えて、実はソレがかけがえのない時間だったりします。シュプリームはプリキュアと出会ったことで『自分自身の孤独』を感じたようです。うらやましい、と彼は言いました。けど、今のシュプリームにはキュアプーカがいるね。きっと、彼はプリキュアとして少しずつ絆ってのを学んでいくのでしょう。


 ――いやまあ、個人的に申し訳ないけどシュプリームくんが「ぼくはこうしてプリキュアになったんだ」って説明するシーンでノリノリで決めポーズやってる時点で「おまえけっこー気に入ってるんじゃねーか」とツッコミ笑ってしまったのだけどね。


 あれ? 今回ミラクルライト使うシーンあったっけ?

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