第45話 老化

 交通事故のニュースで、年齢が出て来るまで見ていると、また七十歳代か……また八十歳代か……と、高齢者が多いなって感じるのは、気のせいだろうか。


 実際のところ、身近な道路を運転していても、ウィンカーも出さずにいきなり曲がる車があって、よく見るとおじいちゃんぽいなあと。


 ほかにも、後ろがつまっていてもなんのそので、お構い無くのんびり走っている車も、信号が変わっても何かしていてすぐ発進しない車も、交差点で右折車を十分待ちきれなくて、直進車をヒヤッとさせている車も、やっぱり、よく見るとおじいちゃんぽい。


 そういう年齢になると、ちゃんとした運転ができなくなる人が増える、つまり、老化して運転能力が落ちるってことなんだろうなと。


 だが、交通事故だけでなく、犯罪事件でも、おじいちゃんぽい人が刃物を振り回したりして登場するが、これも老化現象なのかな……


 その年齢になれば、仕事も定年を迎えて、孫に囲まれて幸せに暮らし、人生を満喫する境地に足を踏み入れるわけだが、それを大きく狂わすような事件を起こしてしまうのは、余計にやるせないものだ。


 老化、イコール、人生の終わりのため?


 老化は人生を終わらすためにあると考えるのは、人間の身体に限界があるからだが、植物や動物の場合、生きるのがこれで終わりなんて思ってやしないだろう。


 そこへもってきて、どうして自分が生まれたのか、どうして自分が始まったのかを知っている人がいるだろうか、別の言い方をすれば、人間はどこから来て何処へ行くのかもわからない。


 つまり、始めがわからないのに、終わりだけはわかるというのは、人間が勝手に決めているだけではないのだろうか。


 終活などという言葉が流行しているが、最後の一日まで終わってたまるかという気持ちでいたいものだ。

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