第44話 政治の使命とは

 ある日のこと、テレビを見ていたら、都内の公園をバックに、知っている顔がインタビューに答えていた。


「あっ、この人、知り合いだよ!」 


「今日のホームレスのための炊き出しは、五百人以上にのぼりました……コロナに物価高、ますます、ホームレスの状況はきびしくなっていますが……」


 彼はホームレスの支援に打ち込むために、勤めていた仕事を早期に退職し、そうした現場に飛び込んだのだ。


 彼が言うには、ホームレスの問題というのは社会が許していることが問題だと言っている。


 社会が許すって、どういうことか考えてみると、そういう人たちが出ても仕方がない社会なんだという、あきらめに似た意味なのだろうか……


「子どもの貧困」ということばもある。


 現代の日本の社会に、一日一食であったり、いつも同じ服を着ていたり、学用品も買えなかったりといった子どもたちが、ただでさえ、出生率が低下して子どもの数が減少してるにもかかわらず、厚生労働省の調査では七人に一人という、おそろしい数字にのぼっている上、それが何年も続いているのだ。


 つまり、これも社会が許しているということになるのだろう。


 いったい、政治の使命というものは何だ?


 こうした「貧困」を真っ先に解決することが、その使命ではないのか!


 そして、その状態が何年も続いているということは、やり方が間違っているということに気づかなければならない。


 すると、きっとこう反論されるだろう。


「いや、やってますよ!そうした家庭にはお金を配ってますよ!ホームレスにだって、申し出てもらえば、お金や住む場所だってあげてますよ!だって、ほかの方法はないでしょう!でも、減らないんだよなあ」


 そうやって、お金をあげて解決?


 違うんじゃないのかな……


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