第31話 観光

「どこか行きたいなー!」と


 今年も、連休や長い休みを使って、どこに行こうかなとワクワクしながら計画を立てている人たちがたくさんいるに違いない。


 仕事を忘れてリラックスし、たまった疲れをすーっと癒して、リフレッシュして帰って来れることは何よりも有難い。


 だが、その一方で、「何でも値上がりで、そんな余裕はあるわけないだろう!」という家庭も、これまた、たくさんあるに違いない。


「昔の親なんか、どこへも連れて行ってくれなかったぞ!」


 そんな話もたまに耳にすることがある。


 観光に行くというのは、考えるだけでも気楽だし、楽しい気分になるわけだが、やっぱり、精神的にも経済的にも余裕がなければ、どう考えたって無理なことだ。


 一方、ここ最近、コロナでダメだった海外からの観光客が、とたんに、どっと押し寄せてくる姿を目にして、あらためて、観光がおっぱじまったなって気がしている。


 それは、当然のことながら、日本には、文化面でも自然面でもたくさんの観光資源と言うか、観光遺産があるってことだが……


 ただ、観光遺産が、もっとたくさんありそうなギリシャやイタリアがヨーロッパでは貧しい国になっているという事実がときたま、頭をかすめることがある……もちろん、そうした原因はさまざまだろうが……


 まさか、国民がみんな、観光遺産に頼って、そろって、そんなに働かないってことはないだろう。


 とは言え、観光にやって来る人々が、遊びとしての浮かれた気分を運んでくることは、まさしく間違いないことであるから、それらが広く蔓延してしまうことを心配するのは、鳥越苦労ってやつかな……


 親の遺産は三代で無くなるということばがあるように、親の遺産を食いつぶすようなドラ息子になるわけにはいかないからね。


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