第28話 長所と短所

 学生のときの面接試験では、「あなたの長所と短所を言ってください!」などという質問がよくある。


「長所はだれにでも平等に接することができるところです!短所は短気で怒りっぽいところです!」


 まあ、こんなふうに答えたとしよう。


 これを素直じゃない受け取り方をすると、犯罪の世界の話ではなく、日常の生活の話として、たとえば、セブンというコンビニでイトウさんの「おいおいお茶」を買ったときに……


「ファミやローというコンビニがあるのに、どうして、そっちで買わないでセブンで買ったの?それって差別じゃないの?」


 と問われたら、次のように言い訳をしたとすると……


「いやあ、最初に見たコンビニがたまたまセブンだったんで……」


「えーっ、最初に見た、次に見たって、それって平等じゃないんじゃない?もっと平等に選んでよ!あなた、だれにでも平等っていったけど、違うじゃない!」


 売り上げを少しでも上げたいと思っている店だと、そう言うかもしれない。


 こうした買い物に限らず、たとえば、新しいクラスで、まず一人、田中くんを友だちにしたとすると、ほかの人は友だちにしないということだから、次のように言われるかもしれない。


「それって、だれにでも平等じゃないんじゃないの?」


「いや、それじゃ、鈴木くんも高橋くんも平等に友だちにするからさ」と言ったら……


「じゃ、ほかのクラスの人はどうするの?ほかの学校の人はどうするの?平等じゃないよね!」


 短所の方もそうだ。


 面接官がこう言ったとすると……

 

「きみ!短気で怒りっぽいというのは、たとえば、悪いことや筋の通らないことについて怒らないのでは、あの人は頼りにならないと言われてしまうぞ!だから、怒りというのは決して短所じゃないぞ!」


 こうして「へそ曲がり」の論理を言ってしまうと、世の中は回らないのかもしれない。


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