おまけ:強制ラブコメトラップ別ルートIf

※出てくる設定などは、その場の都合に合わせたものもあります。

 あまり細かいことは気にしないで読んでください。


☆強制いちゃらぶキス手錠:詩音×ころね


 ハルジオンところねに手錠をかけられてしまった。

 どうやらキスをしないと外れないらしい。

 さすがにカメラの前でキスはしたくなかった。

 二人は少し離れた場所に行こうとしたのだが。


「あっ……」


 ハルジオンがトラップを踏んでしまう。

 すると、


「な、なんでそうなるの!?」


 ハルジオンの姿が変わった。

 詩音のものに。


「あ、あれ?」


 どうやら変身が解除されてしまったらしい。

 いつもの普段着姿の詩音を見て、ころねは目を見開く。


「あ、あなた本物の詩音じゃ!?」

「ご、ごめん」


 ころねが胸倉を掴んでくる。


「つまりなに、私はさっきまでの恥ずかしいゲームをあなた相手にやってたの?」

「……そうなるね」

「うがーーー!!!」


 ころねは頭を抱えて叫ぶ。

 ひとしきり叫ぶと、落ち着いたようだ。


「だいだい、なんであなたはこんな状態になってるのよ!?」

「実は――」


 詩音は魔法少女スキルなどについて、ひとしきり話した。


「なによ魔法少女スキルって、意味わからないわ……」

「ボクもよくわかんない」


 なんだかんだと話した。

 そして、とりあえず手錠を外そうという流れになった。


「と、ところで、この格好についての感想とかある?」


 ころねが後ろで手を組みながら聞いてきた。

 その姿はふわふわの水着みたいな格好だ。


 真っ赤な顔をして、もじもじと恥ずかしそうにしている。

 どことなく胸を見せつけるようなボーズだ。


「えっと、カワイイと思うよ」

「そ、そう。それなら良かった」


 ころねが首に腕を回してくる。

 引き寄せられると、少しかがむような形になる。

 ギュッところねの胸を当てられた。

 柔らかい感触が伝わってくる。


「あの……」

「なにも言わないで」


 ころねの唇が触れる。

 とても不慣れなキスだった。

 付き合いたてのカップルがするような、甘酸っぱい味がしそうなほど。


「こ、これじゃあ、ダメよね」

「そう、みたいだね」


 再びキスが始まる。

 ためらうように、ころねの舌が口に入ってきた。

 ころねは顔を真っ赤にしている。


 それは背伸びしてる子供みたいだ。

 つい、詩音はころねの頭をなでる。


 睨まれてしまった。

 子供っぽく感じていたのがバレたのだろうか。

 しかし、ずっとなで続けると、その眼は柔らかくなっていく。


 ギュッところねを抱きしめた。

 ころねが幸せそうに笑う。


 ガシャン!

 手錠が外れた。


「終わり……みたいね」

「そうだね」


 ころねは恥ずかしそうにうつむいた。


「ね、ねぇ。あと一回だけ――」



☆強制いちゃらぶキス手錠:ハルジオン×カレン



「それじゃあ、ハルちゃん。いちゃラブキスしようね」


 他の二人からは離れた場所。

 ハルジオンとカレンは手錠でつながれていた。

 どうやらこの手錠は、キスをしなければ外れないらしい。


 カレンの顔が近づく。


「大好きだよ」


 そっと確かめるように、カレンの唇が触れる。

 グイッとハルジオンの体がカレンに引き寄せられる。

 カレンの舌が口の中に入ってくる。

 優しく、口の中の隅々まで味わうように撫でまわされる。


 まだ手錠は外れない。

 自分も積極的に動かなければならないのだろうか。

 ハルジオンは気づく。


 キスの仕方は知っている。

 昔、『紗耶』に教えてもらった。

 『恋人っぽく振舞うために必要なことだから!』と言われて。


 カレンの口に舌を入れる。

 そして一気にカレンの舌に絡みつけた。


 カレンの体がびくりと震えた。

 驚いたのだろう。


 強引にカレンの舌を撫でまわす。

 カレンの舌が逃げようとするが、無理やりに引き寄せる。

 カレンの抱きしめる力が強まった。


「んっ……んっ……!」


 カレンの瞳がとろける。

 うるんだ眼をジッと見つめる。


 そこで動きを止める。

 今度はゆっくりと、優しくなでるように舌を動かす。

 

 カレンがもっとして欲しいと言うように、舌をくっつけてくる。

 その舌の裏を、ゆっくりとなぞる。

 じっくりと焦らすように。


 カレンがくすぐったそうに体をよじる。

 その体をグッと引き寄せる。

 強引に、絶対に離さないと言うように。


 そしてカレンの口の中を蹂躙じゅうりんする。

 あらゆる場所に、自分の舌の感覚を焼き付けるように。


 カレンがギュッと目をつむる。

 強く、強く、ハルジオンを抱きしめる。


 ガシャン!

 手錠が外れた。


 ハルジオンが口を離す。

 カレンはドサリと座り込んだ。


「ハルちゃん、すごい……」

「大丈夫? 上手くできたかな?」


 カレンが顔を上げる。

 とろけきった目でハルジオンを見つめる。


「ハルちゃん、もっと先まで――」



☆愛してるゲーム:ハルジオン×SAYA



 愛してるゲーム。

 お互いに愛してると言いあうゲームらしい。

 ハルジオンとSAYAはそれをしなければ、先に進めないようだ。


「あ、愛してる」


 SAYAは顔を真っ赤にしながら言った。

 ずいぶんと緊張しているようだ。


「大丈夫?」

「え、ええ。もちろん大丈夫よ。さ、さぁ、ハルジオンさんも……」


 とりあえず言ってみるしかないか……。

 ハルジオンはSAYAを心配しながらも、口を開いた。


「愛してる」

「はぅ!」


 SAYAはかわいらしい声を上げる。

 ぼとりと、ウサミミが落ちた。

 代わりにSAYAの頭には本物のウサミミが生えている。


 がばっとSAYAが抱き着いてくる。

 はぁはぁと荒い吐息が耳元に当たる。


「だめ、だめなのに。違うのに……この子はハルジオンさんなのに……」


 SAYAがぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。


「好きな気持ちがあふれてきちゃう。すき、すき、しゅきぃ……」


 これ以上、続けるのはヤバいのでは?

 ハルジオンはSAYAを心配する。


「ねぇ、すきって言って。はやく、はやくいって?」


 なら、言った方がいいのだろうか。


「好きだよ」

「――――ッ!!」


 SAYAがびくびくと震えた。

 その震えが収まると、SAYAの首に首輪がつけられていた。


 SAYAが顔を上げる。

 その瞳はどこか虚ろで、ハルジオンでない物を見ているようだ。


「あれ、なんで詩音キミがここに居るの? ……なんでもいっか♪」


 SAYAはハルジオンを押し倒す。

 そして、熱いキスをされた。

 SAYAの中の熱を逃がすように、燃え上がった気持ちが伝わってくる。


「ねぇ、キミからもキスしてよ」


 そういわれても……。

 ハルジオンは困る。

 キスそれはゲームに必要な工程じゃない。

 偽物の恋人ですらない、ハルジオンがそれをするのは良くないだろう。


 ハルジオンの困惑が伝わったのだろう。


「なんで、してくれないの?」


 ぽろぽろと、SAYAの瞳から涙がこぼれた。

 ぽつぽつと雨のように、ハルジオンの頬に水滴が落ちる。


「なんで私のこと捨てるの? 私はキミのこと好きなのに、迷惑かけられたっていい。人生をめちゃくちゃにされてもいい。キミに愛してもらえるなら、なんだってできる」


 その瞳に暗雲が満ちた。


「邪魔されるなら、『あの家』の人間を皆殺しにできる」


 その言葉はゾッとするほど美しかった。

 名刀を見た時の感動に似ている。

 危うくも美しい。

 

 そっと、SAYAがハルジオンに顔を近づける。


「愛してる」


 耳元でささやかれた。

 ポンっとハルジオンの頭に猫耳が生えた。


 見つめられる。

 SAYAの暗い瞳に吸い込まれそうになる。


 キミにも言って欲しいと言う感情が伝わってくる。

 言ってはいけない気がする。

 それでも、その気持ちを止めることはできなかった。


「……愛してる」


 SAYAは穏やかに笑う。

 そして優しくハルジオンを抱きしめた。

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