第11話とある神様、秋と戯れる

 とある山奥の、とある古い神社に、とある神様が独りで住んでいた


今日は、秋もちょっとだけ顔をのぞかせたような、ちょっと涼しい日

神様はいつもと同じで、神社のベンチに腰掛け、お茶を飲んでいた

隣にはすずめとカラスが座ってのんびり神様のお相手、

おちょこでお茶を飲む、すずめとカラスだった


「それにしても、神様~涼しくなってきましたね」

すずめがそういうと、神様、ニコッとして語りかける

「すずめよ、秋じゃのう、ほれ、そこのすすきが綺麗じゃな」

神様達の目の前にすすきがさわさわと音を立てるようにたたずむ

「ああ、秋ですねぇ~」

カラスがお茶を飲みながら、ゆっくりと言った


「そういえば、神様、もうそろそろ山里で秋祭りをやりますね

楽しみですね。うふふ」

すずめが嬉しそうに話す。神様、お茶をグビッと飲むと、ひとこと

「そうじゃな、今年も祭の出店でヤキソバを食べるかな」

神様、食べることには目がない。神通力で食べ物を出せるのだが、

やっぱり、人に作ってもらったものは美味しい

神様、ヤキソバを食べているところを想像して、ずずずっとする

「神様、秋祭りは他の神様が主役ですが、神様はお祭りを主催しないのですか?」

カラスがそう言うと、神様、ニタッと笑い言った

「馬鹿者、私はもっと偉い神じゃ、お祭りなどという人間ぽいことはせん」

「え~、だったらなんで、お祭りにヤキソバ買いに行くんですか?」

すずめがそう言うと、神様、ちょっとすずめをつついて言う

「たまには人間共の生活を観察しに行かねばなるまい

ヤキソバはついでじゃ」

というと、いつも余計なことをいうすずめをまたちょんとつつくのであった


神様とすずめとカラス、秋祭りのヤキソバを想像しつつ、

涼しげな秋風にそよそよと吹かれるのであった

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