第64話

 10月6日金曜日。


美冬を学校に送り出した後、もう直ぐ埼玉の攻略が終わる南さん達のために、岩手県の攻略に入る。


ここのダンジョン入り口数は全部で194個。


北海道の5分の1以下とはいえ、日本で2番目に大きい県だけある。


もうユニークと金色の宝箱以外は、南さん達に任せるつもりでいる。


あれ?


ここ、ユニークが1体も居ない。


・・まあ、そういう事もあるだろう。


中尊寺、愛宕神社、戸隠神社、桜山神社、毛越寺、達谷西光寺、志賀理和気神社、榊山稲荷神社辺りの計8か所で金色の宝箱を回収して終わり。


2時間も掛からなかった。


中尊寺辺りには金色の他に銀色も2つあり、折角だから回収したが、どちらも数十キロの金塊だった。


金色からは『生命力増加』が出る。


他の宝箱の中身は『炎耐性(S)』が1つ、『良縁』が2つ、『子宝』1つ、『金運』2つ、『光魔法』の『治癒』が1つだった。


残る銀色21個と茶色43個は、市販の地図に印を付けて、南さん達のお楽しみに。


『子宝』だけポイントに替え、それが済むと、またアメリカに戻る。


魔物は200体くらいしか倒さなかった。



 10月8日、日曜日。


南さん達を岩手に送り、次いでロシアに跳んで、アマンダを召喚する。


Aランクの長剣を持たせ、ロシア人の軍人と、女性パーティーを襲う男、魔宝石が10万円以上の魔物を狩るように指示する。


ただ、30万円以上の魔物50体くらいは残すようにも伝えた。


そいつらにも強くなって貰い、彼女の手が回らない奴らを殺して貰わねばならない。


好物のチョコレートを数枚購入してやったら、喜んでキスをしてきた。


彼女の使役を維持するには、1時間ごとに2000の精神力が必要であり、中国に居る美鈴と合わせると1時間で5000になるが、今の俺は睡眠を全く取らなくても1日で18万以上回復するから、まだまだ余裕がある。


次にアメリカに跳び、狼を召喚する。


この狼には、眷族になっても名前がなかったので、美冬が『シロ』と名付けた。


真っ白い毛並の、奇麗な狼だからだ。


アメリカ全土で、魔宝石1万円以上、30万円以下の魔物と、女性を襲う男達を狩って貰うため、『自己回復(S)』『状態異常無効』『隠密』『破魔』『毒耐性(S)』『火魔法』の『火球』をポイントで買った。


それでこんな感じになる。


______________________________________


名前:シロ


生命力:27450


筋力:18220


肉体強度:19970


精神力:20870


素早さ:22450


特殊能力:『自己回復(S)』『状態異常無効・改』『隠密』『破魔』


魔法:『火魔法』


親愛度:35


______________________________________


『毒耐性(S)』は『状態異常無効』の中に、『火球』は『火魔法』の中に入っている。


好物は、何と小豆のおはぎだった。


3つ購入して、ゆっくり食べさせてあげてから、頭を撫でて送り出す。


自分も宝箱の回収を始めた。



 夕方6時に南さん達を迎えに行き、共に入浴して夕食を4人で取った後、今度は美冬を北海道に送る。


その間、自分はアメリカへ。


深夜1時に美冬を迎えに行き、彼女と一緒に湯に浸かる。


「最近さ、私もトイレが必要なくなったみたい」


対面の彼女がそう言ってくる。


相変わらず、時々おやつ代わりに能力値が上がる品を食べさせているし、つい先日も、『生命力増加』のアイテムを食べて貰った。


恐らく、既に各能力値が2万を超えているだろう。


「もう人間じゃないのかもね」


「酷い言い草だね。

僕はとっくにそうなんだけど」


「別にけなしてる訳じゃないよ?

ただ、僅か1年弱で、自分が随分変わったなあって思ってさ」


「もしかして嫌だっだ?」


「次に言ったら御仕置おしおき

そんな訳ないでしょ。

今の私は可能性の塊なんだよ?

和馬のお陰で、純粋な力も、お金という経済力だって持ってる。

足りないのは知力くらい?

やろうと思ってもできない事なんて、今の所、3つしか思い浮かばない」


「3つ?」


「和馬に勝つこと。

浮気すること。

お仲間の皆さんを嫌いになること」


「・・・」


「以前から他の男性には全く興味なかったんだけど、和馬とアレした辺りから、それがとみに酷くなってさ。

普通に見られる分には問題ないんだけど、厭らしい視線を向けられたら殺意すら覚えそうなんだよね。

『人除けのお守り』を貰ってるから実害はほぼ無いんだけど、もうそれを考えるだけでも嫌というか。

・・これで和馬に抱かれたら、一体どうなっちゃうんだろうね」


「さあ、童貞の僕には分らないね」


「・・してみる?」


「・・・」


「もう、良いよ?

卒業まで、あと5か月くらいだし、18歳にもなったからさ」


「・・・」


「南さんや美保さん、沙織さんも、大分焦れてるみたいだしね。

・・皆さん、私が済むのを待ってくれているから・・」


「まだ止めておくよ。

美冬が高校を卒業するまでは我慢する」


「どうして?」


「一度や二度で済みそうにないから。

きっと最初は1日中放さない」


「・・そっか。

私、壊されちゃうんだね。

フフフッ、楽しみ」


「そこで笑える君が凄いよ」


「だって和馬とだもん。

楽しいに決まってる」


「・・有り難う。

そう言ってくれると救われる」


美冬が膝の上にまたがってくる。


「身体が火照ったから、しずめて」


首に腕を回しながら、深く唇を重ねてきた。



 10月11日、水曜日。


「ダンジョンに行く前に、お二人にご相談があります」


目の前で着替え始めた理沙さん達に、そう声をかける。


「ん、何?」


「先日、アメリカのダンジョンで『アイテムボックス』を入手しましたので、どちらかに食べていただきたいのですが」


「え、ほんと!?

助かるわ。

活動範囲が広くなってきたから、いい加減、リュックは邪魔になってきたのよね。

美保に食べさせて」


「理沙が食べた方が良くない?

1兆円のアイテムだよ?」


「だからよ。

私は美保よりダンジョンに入る回数が少ないもの。

普段の買い物だって、美保に頼む方が多いんだし」


「ちょっと理沙、『アイテムボックス』はマイバッグの代わりじゃないんだからね。

そんな風に考えたら、貴重なアイテムに失礼よ」


「そう考えでもしないと、口にできないでしょ?」


「・・それはまあ、確かに」


「では美保さんにお渡ししますね。

理沙さんには、各能力値が上がる物を、1つずつご用意しますから」


「有り難う」


「いつも悪いわね。

今夜も美保と2人で、沢山愛してあげる」


「最近は理沙も積極的だもんね。

フフッ、嬉しいでしょ?」


美保さんが俺を見て笑う。


「・・ノーコメントで」


着替えを終えた2人にアイスティーを出しながら、アイテムを食べて貰う。


その後、奈良に送って行った。



 10月16日、月曜日


ダンジョン探索を終えた仁科さんと落合さんの3人で、業務報告を兼ねた入浴をする。


「北海道の件ですが、新たな20万坪の買い付けが終了し、これで合計120万坪になりました。

代金の支払いと同時に、登記移転も完了致しております」


前を洗ってくれている仁科さんが、俺の眼を見つめながらそう告げる。


「有り難うございます」


「渋谷のビルの改装工事も全て終わり、全フロアーが使用可能になりました。

外壁も塗り直したので、見違えるように奇麗になっています」


後を洗ってくれる落合さんも、そう報告してくる。


「マッサージ師の彼女からの要望はどうなりました?」


「柏木さんからの、フロアー内に数か所の仕切りを設けて欲しいというものでしたら、それも済んでおります。

その彼女ですが、助手を1人雇いたいそうです。

私達以外の、一般の方を相手に研修を積ませて、将来的には自分の店の従業員として働かせたいと・・。

その方の給与は彼女自身で支払うという事ですが、如何致しますか?」


「お仲間の皆さん以外を担当させるというのなら、許可すると伝えてください」


「畏まりました」


「北海道の土地ですが、必要なら業者を入れて、敷地内にあるごみや、不要な建造物を全て撤去させておいてください」


「はい」


「大木や、見栄えのする樹々はそのままにしておいて、あとの藪や雑草も除去をお願いします。

そうしてできた農地には、取り敢えず牧草を植えておこうと思います」


「承知致しました」


「有り難うございます。

お陰でさっぱり致しました」


身体を洗ってくれた2人にお礼を言う。


「・・あの、今日は摂取の方は宜しいのですか?」


仁科さんが上目遣いでそう尋ねてくる。


「若い男性は溜まるのが速いと聞きますし・・」


落合さんも、背後からそう告げてくる。


「・・では、一度お願い致します」


「「はい!

一度ずつですね」」


「・・・」

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