転生しようと思わなかったら…

かいとも

好きにならなかったら…魔神を討伐しようと思わなかったら…転生しようと思わなかったら…スローライフしようと思わなかったら…好きになったから…

「なあ…俺は…何がいけなかったんだ?

教えてくれよ…アリン…」


 <それは少し前の出来事が原因だった>


 んー!今日はくそだるい決闘か。

 だるいけど、やらないと駄目だしたな…


「ラシル、シズサ、起きろ!朝だぞ!

お前らも起きろ!」


「んー!もう朝なの?もっと寝ていたい!」


 <ラシル

 タイカの義理の弟>


「ラシル、分かるけど起きないと。

でも、眠いよー!」


 <シズサ

 タイカの妹>


「ほら!起きるよ!起きなかったら、決闘は負けた事になるんだぞ?」


「起きます!起きます!」

「起きます!起きます!」


「先に顔洗いに行ってて」


「はーい!」

「はーい!」


 はぁー、後はこいつらだな。


「お前らも起きろ」


「ヒゴはまだ寝ていたい!」


 <ヒゴ

 タイカの獣魔>


「ミゴもまだ寝ていたいなの!」


 <ミゴ

 タイカの獣魔>


「俺も寝ていたい!」


 <シゴ

 タイカの獣魔>


「うちも寝ていたい!」


 <イゴ

 タイカの獣魔>


「まだ寝たいのじゃ!」


 <コゴ

 タイカの獣魔>


「まだ寝ていたいよ!」


 <カゴ

 タイカの獣魔>


「僕もまだ寝ていたい!」


 <リゴ

 タイカの獣魔>


「まだ寝ていたいですの!」


 <ヤゴ

 タイカの獣魔>


「はいはい、俺も寝ていたいんだから!

顔洗って、飯食って、準備するぞ!」


「はーい」

「はーい」

「はーい」

「はーい」

「はーい」

「はーい」

「はーい」

「はーい」


 はぁ…これが毎日のルーティーン…

 俺だって寝ていたいのに…


「タイカやっと来たか」


 <アーラン

 ラシルのお父さん

 タイカとアスリの義理のお父さん>


「はい、こいつらを起こすのに、時間がかかりますから」


「ラシルもちゃんと起きなさいよ?」


 <スリサ

 ラシルのお母さん

 タイカとアスリの義理のお母さん>


「お母さんそれは嫌です!

タイカお兄ちゃんに起こされたいんです!」


「シズサもちゃんと起きなさいよ?」


 <アスリ

 タイカとアスリのお母さん

 ラシルの義理のお母さん>


「お母様それは嫌です!

ラシルと一緒で、タイカお兄様に起こされたいんです!」


「はぁ…」

「はぁ…」


「とりあえず、朝ごはんは出来ているから、食べる事にしようか」


「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」

「はーい!」


 <そして、皆が朝ごはんを食べ終わった。

 今から、どこかに出掛けるようだ>


「タイカ!タイカ!」


「どうした?ヒゴ」


「なんで、タイカはお着替えしないの?」


「今日は決闘の日だ、動きやすい服装がいいだろ?

たがら、寝間着だよ」


 決闘早く終わらせて、エイン様と、マルン様のお話を聞くか。


 <エイン

 火属性の神様>

 

 <マルン

 闇属性の魔神様>


 <タイカは、獣魔達と話していて、家族の着替えが終わった>


「タイカお兄様ー!」

「タイカお兄ちゃーん!」


「ちょっ、ちょっと待ってー!」


 このままでは、せっかく着替えた衣装が汚れてしまう。

 どうしよーお!俺が下敷きになっても、汚れるよな。


「シゴ助かったよ」


「助けれてよかったよ」


 <シゴは、タイカが地面に当たる前に、つるで受け止めた>


「ラシル、シズサ」


「はい…」

「はい…」


「なに言いたいか分かるよな?」


「はい…」

「はい…」


「いつも言っている事だけど。

飛び付きに来る時は、場所と今日の事を考えるんだぞ?」


「はい…」

「はい…」


「ほら」


 <タイカはそう言い、膝を曲げ、手を大きく広げた>


「飛び付かないのか?」


「飛び付く!飛び付く!」

「飛び付く!飛び付く!」


 (タイカ、優しすぎじゃないか?)


 (エイン様、そうですかね?ちゃんと怒りましたよ?多分)


 (多分じゃないか!)


 (それに…)


 (それに?)


 (可愛い孫だから、甘えたくなるじゃないですか!)


 (そうだったな)


 (それでなんで、テレパシー使ってるんですか?)


 (透明化を使ってるからな。

 今、アーランの後ろにいる!)


 (そのまんま、透明化解除しないでくださいね?)


 (分かってるよ)


「おはよう!」


「エイン様!おはようございます!」

「エイン様!おはようございます!」

「エイン様!おはようございます!」


「ラシル、シズサ、エイン様におはようは?」


 <ラシルとシズサは、エインのおはよう!には気付かなかったらしい>


「エイン様!おはようございます!」

「エイン様!おはようございます!」


「お前達は言ったのか?」


「タイカの獣魔達は言ってくれたが、タイカに言われてないんだが?」


「あー、忘れてました。

おはでーす!」


「タイカ!?俺神様だぞ?」


「知ってますよ。

それで、何の用何ですか?今から闘技場に行くんですが」


「はぁ、敬語を使って欲しいんだかな、ワープを使って、闘技場に行く為に俺が来たんだ」


「エイン様すみません、天使様が護衛として、来ると聴いていたのですが」


「あーそれね。

ワープ使った方が速いから、護衛じゃなくて、ワープになった」


「そうだったんですね。

分かりました」


「ほんじゃあ、もう向かうね。

ラシ達もいるしな。

ワープ」


 エイン様がワープと言った瞬間。

 白い光で包まれた。

 そして、白い光は消え、部屋の中にいた。


「タイカー!」

「タイカー!」


 <2人の美女が、タイカの名を言い、飛び付いた。

 その2人が、エイン国の王女姉妹だ>


「タイカ!今日の模擬戦勝ってくださいね!」

「タイカ!…今日…の…模擬…戦…勝って…くだ…さい…ね!…」


「勝つに決まってるだろ!」


「お父様、何があるかも分かりません!油断はしないでくださいね?」


 <マリン

 タイカの娘>


「油断は必ずしない。

皆と一緒に観ていてくれ」


「分かりました!」


「それじゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行っ…て…らっ…し…ゃい…」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃいなの」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃいじゃ」

「行ってらっしゃいよ」

「行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃいですの」

「行ってら」


 皆から、行ってらっしゃいを言われた。

 勝つに決まっている!

 待機場に行くとするか。


 <タイカが入る待機場に、男の姿があった。

 その男は、騎士団副団長カリム>


「カリムさん、おはようございます」


「タイカ、おはよう」


「ラシの所に居なくて大丈夫なんですか?」


「はぁ、タイカ、誰かが近くに居たらどうするんだよ…

ラシ様は、この国の王なんだぞ?」


「結界があるから大丈夫ですよ!」


「そうなんだがな…一様だぞ?一様。

そしてラシ様は、天使様が護衛に居るから大丈夫だよ。

そして、速く入って休憩しとけ」


「分かりましたよ。

カリムさんも入ります?結界がありますし」


「結界があっても、仕事だから、ドアの前で立っているよ」


「了解です」


 <なぜ、タイカが模擬戦をするのかは、もう少しで知る事が出来る>


 アリン…あの時にこの事が出来ていたなら、マルン様を討伐しようとしてなかったかな。

 いや…駄目か…この事がおきたのは、初めてだもんな…


「タイカ、模擬戦の時間だ。

出てきてくれ」


「了解です」


 <タイカは、部屋から出てから、一歩も動かなかった>


「どうした?タイカ。

速く行かないと、負けになるぞ」


「いや、カリムさん何も行ってくれないんだなーって思ってただけなんで」


「俺の頑張れ!っているか?」


「いるから、言ったんですけど?」


「タイカ、頑張れよ!」


「はい!頑張ります!」


 <この模擬戦が原因だ>


 速く模擬戦終わらせて、家でゆっくりしようかな。


「今日の模擬戦は、タイカが、ラシル、シズサ、エリン、アアリとの、結婚をするな!

という、人達が来ました!

ラシ王はどう思いますか?」


「娘達が結婚したい!と思った、タイカと結婚して欲しいと思います!

タイカ!必ず勝ってくれ!」


「そうです!結婚したい人となぜ、結婚したら駄目なのでしょうか?!

タイカ!必ず勝て!と思いますね」


 実況は、エイン様とラシか。

 まぁ、実況なんてさせないけど。


 <1万人VSタイカ>


「それでは!始め!」


 火魔法結界×1000倍 神速×10倍 浮遊


 火の玉×100倍


「試合終了!勝者、タイカ!」


「観ている、自分は全然分かりません!

他の人も分かってない顔をしています」


 <観客席からは、不正だ!と言う言葉が多く出ている>


「不正なのではない!タイカの力だ!

ただ、対戦相手が弱いだけだ」


「エイン様、対戦相手は弱くないですよ?

冒険者ランクBや貴族だっているんです」


「じゃあなぜ、Sランク冒険者がいないか知っているか?」


「クエストで忙しいからですか?」


「違う。

タイカに勝てないからだ」


「闘ってないのに分かるんですか?」


「元Sランク冒険者を数秒で倒した。

それも、ランキング上位だったパーティーがだぞ?勝てるはずがない。

タイカに挑戦をしたのは、強さもなにも分かっていない雑魚なだけだ。

そもそも、人の妻、夫を奪おうとするのは、クズがする事だ」


 エイン様…神様なのに、めっちゃ言っているな。

 クズだというのは分かるけど。


「エイン来たマル!」


 <上の方から声が聞こえた>


「おー!マルン!来たか!」


 <そういい、エインはマルンがいる場所まで飛んでいった。

 マルンが来て皆がびっくりしている。

 エインとマルンは、一回戦争を起こそうとしていた過去がある。

 その2神が集まっているのだ…>


 エイン様とマルン様の話か。

 いったい何を話すんだろうな?

 皆の所に向かいながら、話を聴きますかね。


「タイカ!」


「あれ?どうしたんですか?カリムさん」


「エイン様から、これをタイカに渡して欲しいって言われてな」


「薬ですか?」


 薬って…何かあったかな?


「エイン様からは、すぐに使う時がくるって言ってたぞ」


「すぐに使う時がくるですか…分かりました。

ありがとうございます」


「そういえば、エイン様とマルン様って何話すんだ?」


「何話すんでしょうね」


 そうか…エイン様とマルン様の話があるって知っているのは俺だけか。

 話の内容は知らないけどな。


「今日は、英雄の証について話す!」


 <画面で観ていた人間、魔人、そして、会場にいる皆がざわつきはじめた。

 英雄の証について話すのだから>


 <英雄の証

 それは、1人の人間しか貰えてない証。

 権力の話をするならば、王家の上。

 全国の王にもなれる証。

 そして持っている人間は…エインとマルンの戦争を止めた、ルランだけが持っている>


「英雄の証って…マリンのお父さんしか持っていない…あの…あの英雄の証ですか!?」


「ラシ、そうマルそうマルそうマル!

そして…天国からルランに来てもらうマル!」


 はあー!?ちょっ…え?どういう事です?マルン様!?

 え?俺前世の姿になれないよ?どうすればいいの?


「タイカ…ルラン様になれるのか?」


「なれるわけ無いじゃないですか!あと、様はつけないでください!

ルランって言ってください!」


「無理だよ!そんなの!我が国があるのは、ルラン様のおかげなんだぞ?!

タイカ様と言いたいぐらいだ!」


「無理です!ルランに様をつけるのは、諦めますが…

タイカに様だけは辞めてください!」


「分かりましたよ…それでどうするんですか?

前世の姿になれないんですか?」


「なれませんよ!なってるなら、もう行ってますし…」


「あ!」


「どうしたんですか?カリムさん」


「エイン様から渡された、薬飲めばよくない?」


「あ!…忘れてた!そうじゃん!薬あるじゃん!」


 <エイン様から、薬を貰ったのを思い出したタイカ。

 そして、その薬を飲むと…体が変化していった。

 それはまさに、絵本で書かれている、英雄ルランの姿だった>


「ルラン様を生で見れるなんて」


「生でそんなに見たかったんですか?」


 <声も、ルランの声になっていた>


「もちろんですよ!ルラン様の時は、この声だったのですね!

あと、ルラン様の姿でいる時は敬語は辞めてください!」


「えー」


「えーじゃありません!

それと、エイン様とマルン様の所に行かなくていいんですか?」


「あーそうだった、行かないと行けないのか。

それじゃあ、じゃあな!」


 透明化


 ルラン様が…ルラン様がじゃあな!って!

 あー!ルラン様とお話出来たー!

 タイカの姿で話もいいんだけど、ルラン様の姿になるともっといいよね!


 透明化解除


「おおー!来たマルね!」


「ルラン登場です!

それと、娘達の姿見ていいですかね?」


「英雄の証についての話が終わったらいいよ!」


「了解です」


「ルランって、声を大きくする魔法覚えてるマル?」


「いえ、覚えてないですね。

それがどうかしたんですか?」


「画面で観ている、人間、魔人、会場にいる皆に声が聞こえないからね。

覚えてないなら、付与したくマルよ」


 ルランに声を大きくする魔法お付与


「英雄の証の前に、俺の話を聞いてくれないか?」


「お前は誰マル?」


「ああ、すまねえ。

自己紹介がまだだったな。

俺は、闇ギルド長だ!」


「へぇー、君がギルド長か。

1人で来たわけじゃないんだろ?」


「当たり前に決まっているだろ?エイン。

お前ら!出てこい!」


 <そういうと、観客席に闇ギルド員が、100人以上現れた>


「100人以上はいるマルね」


「ああ、そうだぜ?

だが、女王達がいる部屋も観たのかな?」


 もしかして…


 <女王達がいる部屋にも、闇ギルド員がいた。

 数は10人>


「あはは、英雄観たか?観たよな!

話が変わるんだがな、お前の娘と孫可愛いよな。

あいつらが何するか分からないぜ?

まあ、貴族に売る商品だからしないと思うけどな。

だが、あんなに可愛い女がいたら、分からねえよな?」


「貴様ー!」


「おっと、まだ話があるんだ聞いてくれよ?

ま、話んだけどね。

家族を守ろうと、あいつらを殺しに行くのは辞めた方がいいぜ?

観客の奴等はどうなるだろうな?死、しかないよな?

画面で観ている、神と魔神どももだ!

助けに来たら、ここにいる人間を殺す!

1人でも多くな!」


 俺のせいだ…俺が…スローライフをしたいと思わなかったら…

 転生しようと思わなかったら…

 こんな模擬戦なんて無かったんだ…

 あいつらは…別の人間を好きになってもらえればいい…


「闇ギルドども!俺に勝てると思ってるのか?!この英雄に!

お前らは後悔するだろう!この模擬戦で、エイン家を連れていけると思ったお前らおな!」


「どうした?狂ったか?」


「狂った?そうかもな」


 神速×100倍 魔力結界100万


 <それは一瞬だった、この会場にいる闇ギルド員全員が、中央の魔力結界に入っていた>


「は?どういう事だ!何がおきたんだ!それにお前…」


 <ルランの姿は無かったが、タイカの姿があった>


「ああ、隠す意味はない。

俺の前世がルランだった、それだけの事。

簡単に死ねると思うなよ?」


 火属性結界1000倍 獄炎の炎


 <闇ギルド員達がいる魔力結界の上に、炎があった。

 その炎は、徐々に徐々に下がっていく>


「なあ、この炎って…」


「公開処刑だよ」


「そんなの…英雄がする事じゃない!」


「英雄がこんな事をしないって、誰が決めたの?

それにお前らは、人を殺し、誘拐をして来たんだ。

軽いもんだろ?」


「エイン様は犯罪者でも殺さない!

お前だって人を殺すんだ!犯罪者になる!

犯罪者になりたくないだろ?な?解放してくれよ!

俺ら足を洗うからよ!」


「犯罪者?別に犯罪者になったっていいよ。

お前らを殺せるならな」


 <闇ギルド員達は、自分達がもう少しで死ぬと分かった瞬間、結界を壊そうとする>


「お前ら貴族に言う事もある!

国民より上の人間だと思っていると思うが、お前らだって国民だ。

お前らの先祖が頑張って貴族になったんだ。

お前らはなにもやっていない、ただの人間だ。

天国でお前らの先祖と話し合っていたが、怒っていたぞ?」


 <そういった瞬間…闇ギルド員達が、悲鳴を上げた。

 死にたくない!嫌だ!と言いながら、その声も無くなっていった>


「貴族どもよ!次はお前らの番かも知れないな?」


「そして、これを観ている犯罪者!犯罪者になろうとしている者!

お前らは周りを観たか?犯罪起こす前に、相談できる人はいなかったのか?!

いなかったとしても、教会があるだろ!

天使が、相談にのってくれるって知らなかったのか!ちゃんと周りをみろ!」


「おい!どういう事だ!タイカ!」


「エイン様?どういう事って…

あなたの変わりに殺し。

あなたの変わりに貴族に言った。

それだけの事、あなたは優しすぎるんです。

闇ギルド員のせいで。

貴族のせいで。

犯罪者になった人間が沢山います」


「そうだしても、タイカがする事じゃないマル!

幸せな生活が消えるかも知れないマル!」


「マルン様…あなたが言う事ですか?

俺を間違って殺したあなたが!」


 <エインとマルンは、何も言えず黙っていた>


「我が名はタイカ!この呪文を使う意味を知っている。

獣魔の契約を破棄し、他の人間に獣魔の契約を譲渡する!」


「おい!待て!タイカー!」


「ヒゴ、ミゴをエリンに!

シゴ、カゴをアアリに!

コゴ、イゴをシズサに!

リゴ、ヤゴをラシルに!

犠牲にするのはこの命という事も!」


 <タイカが使ったこの魔法は、禁忌の魔法。

 1時間がたてば使用者がしぬ>


「おい…何をやったのか分かってるんだよな!」


「俺の手は赤く染まった…

俺は…あいつらを愛したら行けない人間になった…

俺は分かったんです…幸せになったらいけない人間なんだって」


 最後に…最後に…皆と話したかった…

 でも…こんな人間と話したら、不幸になってしまう…


 <タイカは飛びだった

 タイカが飛び立つ時に、1滴また1滴と水が落ちた>


 <この数時間の出来事が原因だった>


「こんな事言っても無駄だったな。

後もう少しで、そっちに行くよって言いたいんだかな。

禁忌の魔法を使ったら、何もない世界で、1人で生活するんだって…

ごめん…ごめんな…こんな夫で…ごめん…」


 ごめん…こんな人間で…


 魔力結界×1億倍


 寝るか…助けに来ないだろうが、念のためだ…

 ありがとう…この数十年間楽しかった…

 ありがとう…好きになってくれて…

 大好き!大好きだったよ!…

 さようなら…皆…大好きだよ…

 おやすみ…いや…永遠のおやすみ…


 なんで…


 <タイカは起きた、だが…それは見た事がある天井だった>


「タイカお兄ちゃんが起きたよ!

ラシル、エリン、アアリ」


「タイカお兄ちゃん!」

「タイカ!」

「タイカ…」


「なんで…」


「なんで…じゃないよ!バカお兄ちゃん!

なに勝手な事してのよ!」


「勝手に獣魔譲渡して、死のうとしないでよ!

バカお兄ちゃん!」


「本当です!大切な獣魔達を譲渡しないでください!

タイカ!」


「なんのために模擬戦したのよ!バカ!

私達と結婚する!って約束したじゃない!

嘘つきタイカ!」


「ごめん…ごめん…皆…ごめん…ごめん…」


 <涙を流しながら謝った。

 そして、英雄の怒りとして新たな絵本が作られた。

 こんな出来事が起きたが、タイカは英雄として思われている>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生しようと思わなかったら… かいとも @kaitomo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る