第29話 意外な提案
「やばいぞ誰か来る」
「そんなの分かってますよ。」
「まだこの森に犯人が残っているのかもしれない」
「それを先に言えよ」
眠くんは金髪のほっぺたを抓った。
「イテテテッ」
タッタッタッ
「どんどん音が近づいてきますね。」
「これはやばいな」
「優志どうする?」
「うーん…足で勝負するか?」
「一か八かで勝負か悪くないね」
「ちょっと待ってください。僕にいい考えがあります。」
僕はトランシーバーを投げた。
タッタッタッ
足音が投げたトランシーバーの方へと向かっていく。
「今のうちに逃げましょう。」
僕達は無事に森から出ることに成功したのだ。
「そういえばトランシーバー無くなったって言ってませんでした?」
「無くなったんだけど、さっき森の中に入っていく途中に落ちてて拾ったんだ」
「そうだったんですね。」
「それも罠だったかもしれないけどな」
眠くんはまだ浮かない顔をしている。
犯人が見つかった訳では無いからだ。
「きっと俺を誘き寄せる罠だ」
「というより2人とも誘き寄せたんだと思います。」
「確かにな、もし俺が目的ならトランシーバーで「来ないと親見を殺す」って脅せばいい話だ」
「2人ってそんなに仲良かったのか?」
こっちをじーっと見つめる金髪。
「「…」」
「なんか言えよっ」
金髪が僕と眠くんの肩を掴んだ。
「ごめん、なんかな」
「なんかですね。」
「仲良いかよっ」
あの家が見えてきた。
鳶くん達はどんな話し合いをしているのだろう。
「俺達と同盟を結ばないか?」
足を止めた眠くんがそう言った。
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