第25話 目が覚めた

「大丈夫ですか!?」


体は所々切れており血が流れていた。


「とりあえず連れていくかあ」


1つ結びの男はその子を抱えて歩き出した。

僕はこんな時に意外と優しい所もあるんだなと思ってしまう。



「救急箱くれえ」


1つ結びの男は少女に一言声をかけ、お風呂場へと向かった。


キュッキュ


どうやらシャワーで傷口を洗っているようだ。


「タオルくれえ」


僕がタオルを渡すと洗った場所を優しく拭き取った。


手当を終えたがキャップをかぶった子はまだ起きない。

何があったのか知りたいのに聞けない状況にむず痒さを感じた。


しばらくしてキャップをかぶった子が起きた。

時刻は深夜1時だ。


「起きましたか。良かったです。」


僕はそう言いながら水の入ったコップを渡した。


「ありがとう。俺気を失ってたみたいだな。」


彼は水を飲み一息ついた。


「それであの時何があったんですか?」


「あの時「起きたのか。大丈夫?」」


言葉を遮るように女雄がこちらに声をかけてきた。


「大丈夫。気にしないで。」


「もう今日は遅いからまた明日話せばいいよ。みんな起きちゃうかもだし。」


僕はこの時思った。

この子に明日は無いのかもしれないと。

女雄に殺されて明日には帰らぬ人になっているんじゃないかと。

そうならないように何とかしないといけない。


「そうですね。一旦寝ましょう。僕は隣にいますから安心して寝てください。」


「ありがとう。助けてくれたことのお礼もまだだったね。本当にありがとう。」


彼は僕に頭を下げた。


「いえいえ。無事で良かったです。頭を上げてください。」


彼は頭を上げるとニコッと笑った。


「無事で本当に良かったね。また誰か死んでしまったらと思うと怖くて怖くて仕方ないからね。」


女雄はそう言うと僕に引っ付いた。

怖いよと言わんばかりの表情を見せる。

これもきっと演技なんだろうと、僕はより疑いの目を向けている。


「大丈夫ですよ。きっと何とかなります。」


「そうだね。じゃあ部屋に戻るね。」


女雄は部屋に戻って行った。

これで一安心だ。

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