第23話 ジョティーヌの過去

「全く分からない、」


あたりはすっかり夜になっていた。


ガチャガチャガチャ


少女がお皿を運んでいる。


「そうですね。もう一度死体を見ても手がかりありませんでしたし。」


「あー自殺って可能性はあるのかな?」


「それは無ないわ。あんな高い木で自殺したなら脚立が置いてあると思うからね。実はワタクシが小さい頃に父親が自殺したの。」


ジョティーヌは自分の過去について語り始めた。


「父親はロマンスアロマの社長でね。ワタクシが中学生の頃から経営が上手くいかなくなってきて、あの日は中学の卒業式が終わって家族みんなでご飯を食べようって母親と話してたの。それで父親を呼びに部屋に入ったら首を吊ってた。」


ジョティーヌの目には涙があった。


「父親を助けようと倒れていた脚立を立て直して、ハサミで切ろうとしたけど中々切れなくて、走って母親を連れてきて初めて救急車に連絡して。これは夢だと思うながらその日は寝たの。」


「そうだったんですね。」


僕はいつも癒しオーラを出しているジョティーヌの過去を知ることが出来て良かったと思う。

少しでも他人を知ることが出来るただそれだけで、分かり合えそうな気がするからだ。


「ごめんなさいね。こんな話をしてしまって。」


「いえいえ。気にしないでください。話を聞けて良かったです。」


僕の言葉の後に鳶くんとメガネが頷いた。


「ありがとう。父親のことを話さなくなると記憶の中から消えちゃう気がしてね。だからつい話してしまったの。」


そう言うとジョティーヌは笑った。

その笑顔には悲しさが現れていたことに、このグループ全員は気づいていた。

もちろんジョティーヌ自身も気がついているだろう。

隠しきれない悲しさは存在するんだと改めて感じた。

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