第16話 橋を渡ったら

「ネクタイのことはひとまず置いておこう、」


下がってきたメガネを正しい位置へと戻しながら、メガネは話した。


「この犯人をどこに置いておくか決めよう、」


このメンバーのリーダーになったかのように振る舞う姿に少しイラッときた。


「あーあの小屋なんてどうかな?」


鳶が提案した。

みんながいる前で彼が提案するなんて珍しく感じた。


「それはいい案だな、そうしよう、」


即答だった。

皆もまあいいかという表情をしていた。


ダッダッダッダッ


バタバタと何人かの足音が聞こえてきた。


「大変だよ〜!!!」


美少女がこっちに来た。


「女みたいな男どうしたあ?」


髪を1つ結びした男はそう言うと玄関まで歩き出した。

僕はこの人を少女と思っていたが、どうやら違ったようだ。

確かに少女はスカートだったのに対して、この人はズボンだ。


「大変なことになった…橋を渡った人が撃たれて死んだ。」


「どういうことだ、詳しく聞かせろ、」


メガネはそう言うとその女みたいな男に近づいた。


「橋を渡ろうとしたんだけど、女性が言ってた守ってほしいこと思い出して橋を渡るの止めたんだ。でも1人は渡ろうとして…止めたんだけど行くって聞かなくて…」


「それで橋を渡ったら撃たれたという訳か、」


「そうです。橋を渡ったから撃たれたのです。守らなかったから。」


女性が台所からリビングに来てそう言った。

一瞬どこか笑みを浮かべているようにも見えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る