第9話 探し物はこれですか?

ライトで照らされるのは、ほんの少し先まで。

だから慎重に行動しなければならない。


「こんなくらい中歩きますかね?」


「あーもしかして外で寝ちゃって、気がついたら真っ暗で迷うといけないから一晩その場所で待機してるとか?」


「それもありそうね。あの子バカそうだし。」


「「あー確かに」」


僕と鳶くんが同時に同じ言葉を発した。


「フフッ…面白いわ。2人とも仲がいいんだね。」


ジョティーヌの笑い声が何だか不気味だなと思いつつ、こんな誰もいない夜道を怖い思いをしなくていいのは有難い。

僕は意外と怖がりで、夜は怖いからいつも家族と一緒だったなと懐かしく幸せな記憶を思い出していた。


バタンッ


何かが倒れる音にビクリと体が動く。


「何だか怖いわね。びっくりする。」


そういうジョティーヌの方を見ると、特に驚いた様子はなく平気そうだった。


「あー早く探して帰ろう。」


僕達は奥へと進んで行った。



もう30分は経過しただろう。

僕達は森の近くまで来ていた。

だが一向に輝明の姿は見つからない。


「全くいないですね。もう帰っているんじゃないですか?」


「あー確かにそれはそうかも。もう帰ろうか。」


あれ?

ジョティーヌの姿がない…


「あーいなくなっちゃったみたいだね。ジョティーヌさん。」


僕達は一旦あの場所へ戻ることにした。

家の中へはいるとやはり2人は帰っておらず、もう時間も時間だという事で今日のところはひとまず寝ることにした。

どうか2人が無事でありますように。



翌朝、僕は誰かの悲鳴で目が覚めた。

立ち上がり、すぐさま声のする方へと走っていった。

死体というワードが頭を過ぎる。


誰かが見える。

あれは名足か?


名足がこちらに気づいたのか、顔を押えながらゆっくりと僕の方へと近付いてきた。


「俺ちゃんヤバいの見つけちゃった…」


名足がさっき立っていた所へと向かうと


そこには


輝明が首を切られて

血塗れな状態で

木にもたれかかっていた


そして


輝明の顔には「探し物はこれですか?」と書かれた紙が貼ってあった

まるで御札のように

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る