第8話 いない

あの場所に戻ると少女がご飯の支度をしていた。


「美味しそうな匂い。」


僕はご飯を作っている少女の方へと向かっていった。


「今日のご飯は何?」


「鍋」


「そっか、鍋か。早く食べたいな。」


「もうすぐ出来ますよ」


少女達がテーブルにご飯、鍋、お玉、お箸、お皿を並べる。

僕は席についた。

みんなも席につき始めていた。


「あら?そういえば輝明くんがいないね。どこ行ったのかしら。」


ジョティーヌがそう言いながら周囲を見渡した。


「確かにいないですね。」


「あーまだ探索してるとか?」


周りを見渡すと、他の人達はどうでもいいという感じで、ご飯を食べ始めるのを待っていた。


「だとしてもライトがないのにまだ続けるって言うのはさすがに厳しいと思います。」


「あーそれもそうだね。」


「輝明くんなら大丈夫ねきっと。」


「ライトなら持ってる」


そういうと少女はライトを僕に渡した。


「ありがとう。」


「ご飯食べてから探しに行ってね」


「うん。わかった。」


僕がそう答えると、少女も自分の席についた。


「いただきます。」


鍋は体を温めてくれる美味しい料理。

心まで暖まるようだ。


「味の方は大丈夫?」


少女が僕に聞いてきた。


「大丈夫だよ。美味しい。」


「良かった」


相変わらず少女は表情を変えないみたいだ。

嬉しそうでもなければ、悲しそうでもない。

そんな顔をしている。



「ごちそうさま。」


僕は立ち上がり玄関の方に向かった。


「あー僕んも行くよ。どこに行ったのか気になるし。」


「鳶くん、ありがとうございます。」


さすが僕の相棒って感じだと心の中で呟いた。


「ワタクシも行きます。」


ジョティーヌが僕の前に立った。

相変わらず背が高く、美しさがある。


「じゃあ3人で行ってきます。」


少女に挨拶をすると僕達は暗闇の中を歩いていった。

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