6話 多須奈と多須奈
夜、眠っている間のことだ。
朝と夜のあいまいな境目のように、眠っている時と目が覚める間、そういうときに頭の中で、
「どうするんだよっ」
「子ができていたとはなぁ。まぁ、ねっちりといたしたからなぁ」
もうひとりの
この二人は、
二人は四つの時に出会った。
山へ木を刈りに行った工人の一団について行った
とっぷりと暮れた山の中で、幼子は恐怖に
そこへ現れたのが、もうひとりの
『落ち着け。息を。息の仕方を、思い出せ』
はぁっ。すぅ。はぁっ。すぅ。
『木の
その声の通りに、する。
はぁ。すぅ。はぁ。すぅ。
『ここで、じっとしていよう。きっと、とぅさんたちが見つけてくれるよ』
『
そんなふうに、ずっと、その子は東の空が白むまで側にいてくれた。
「
「おーい」
父と工人たちの声がした。
それから、その子は
眠りに入るとき、眠りから覚めるとき、その子と話した。
「名前は?」と、
「
「同じ名前?」
「だって、お前だもの」
年経て、
とある日、少し熱が出て寝込んだ日の翌日。
工人たちは一つの里に住み、工人の子供たちも、一つの
なんだか、皆の態度が違う。
「もう、加減はいいの」
一つ上の子供たちの
「うん?」
今まで、こんなていねいな話し方なんてされたことがない。
通り過ぎるときに、いつも、小突かれるとか、そういうちょっかいをかけてくる男子だった。
おかしい。
切れ切れに、皆の言うことを繋ぎ合わせてわかったのは。
昨日、いきなり、
「ん-と。言おうと思ってたんだけど、お前、うぜってぇんだよ」と、
(覚えていない、けど)
今朝、起きたら右手が痛くって。
「お前が、やった?」
「んー、あいつ、うざったかったじゃん」
やっぱりだ。
「勝手に、やんないでよっ」
「わりぃ」
絶対、そう思っていない。
そうして、
「どうすんだよ。
「
「私は結婚できない。出家するんだから」
「ん-と。先に
「……え?」
「今までだって、そうじゃん」
「そん、なこと」
「そんなことだよ。お前、僧になるような
「うわぁぁぁぁ」
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