5話 尼さま
女帝の
その地は、
「道が、まっすぐじゃね?」
山しか見たことがなかった
「田舎もんが」
『不細工』と言われるよりは、断然いい。
さあ、問題は、
そこへ、一人の女に声をかけられた。
「あなたは、アマリベの里でいちばんの
「――
言わせねぇよ。
誰?
「われは
「妹」
それは知らなかった。
その女の年の頃は、
つるんとした肌の、お人形のような人だった。
ついでに、頭も、つるんとしている。
「いらっしゃいな。兄は今、われの寺に来ています。出家したいと言い出して」
「しゅしゅしゅ」
ヤマトの国に仏教を興そうというソガさまのお計らいで、十一歳の時に出家した。
仏教をあがめようとしたとき、それを守るのは巫女、つまり尼であると考えたのが、ソガさまだったと云う。
「やぁ、
久しぶりに会う
「
尼が、いきなり、ぶっちゃけた。
「出家どころではないのでは」
「――」
「――」
お互いが、お互いの出方を見ている。
それで、
(どうするか)
「この、お寺で働き手は、お入りようでは? おり(私)は丈夫です。お役に立ちます」
そして、「おねえさま」
翌日から、尼さまは
おかげで落ち着かない。
「
「そうは言っても」
尼さまは、
志乃布の腹は、くんとせり出してきた。
「私は、その
「はぁ」
あれは、真面目なほうの
(相当ショックだったってことか)
「当面は、ここで、お暮しなさいませ」尼さまの申し出に、「ありがとうございます」という言葉しか出なかった。
自分の身のふり方もだが、
「いや、何。
この寺には、
そして、
その尼さまたちの、お暮しはと云うと。
朝、四時に起床して瞑想。
五時から朝課の読経。
お堂などの掃除をすませ、二時間ばかり托鉢に出る。
八時に朝食。食事は、この一回のみ。
昼間は各自の修行にあてる。
気がついたところの掃除も含まれる。
十六時、お茶の時間。この時に、誰ぞがやって来て相談などを持ちかけられる。
十八時から夕課の読経。
で、二十時まで瞑想の時間。それから就寝。
ぎっちぎち。
「慣れれば、そうでもないのです」
尼さまは涼やかな、お顔で言う。
「
「かいりつ」
「〈
尼さまが、たたずまいを正した。
「
「……」
してはいけない、だらけだ。
「
「そうです」
尼さまは
「
「せっしょう、とうかい、じゃいん……」
「……じゃ、出家したら、結婚できねぇってことじゃ」
「あら、理解が早い」
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〈読んでくださる方へ〉
飛騨に伝わる二つの伝承を要約すると、
が、その
第1話のエピソード、時系列的に
すると、おじさまとアラサー女子の恋が史実?
作者が思ったより〈架空飛鳥物語〉になってしまいました。
お楽しみいただけたら、さいわいです。
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