4話 宮都へ
それから、冬を越し春になった。
誰の目から見ても
「
「わからんのです」
「おり(私)は、満月の映った川の水を飲んだのです。そのとき、みごもったとしか考えられん」
「……大概にせぇよ」
都から天命を受けた一隊が、
子供の父親は、その中の誰かに違いない。
たとい、
山里の結束は固い。
まずは、長老たちにお伺いを立てるところからだ。
死んだ
男の種とは、意味合いが違う。
「家を出て行け。恥知らず」
父、
(だがなぁ。そういう
(ないか)
すぐに結論に行き当ってしまったので、もう父のことは考えるのはやめることにした。それよりも我が身だ。どうする。このまま山小屋で暮らすのか。夏のうちはいい。でも、そのうち冬が来るぞ。
(どこかへ行かんならん)
それは、川に来た水鳥を見て、
木片が
「器用だね~」、心から感心する
「だてに
それから、
それきりだ。
(
そう思った時、〈都へ〉という思いがわいた。
(『
でも、あの
真面目な方の
だが、すぐに。
自分に近づいたのは、チャラい方だったと
そうと決めたら、すぐに動かなくてはならない。
雨が上がると、
意外と早く見つけた。
「じさ(じいさん)」
「おぉ。
と、こっちを向いた。
〈
「山の神さんは女だぁ。嫉妬するで、みだりに女が山へ入ってはいかん」
「女神さんが、おり(わたし)になんぞ嫉妬するわけなかろう」
「そやな」
納得が早い。早過ぎ。
「
「
「あんたらは、都へ?」
「そろそろ、行く」
「ちょうど、ええ。おり(わたし)を、いっしょに都へ連れて行ってくれ」
「造作もないが」
伐り出したヒノキ材を
「さ、のれ」
「さすがに……」
川に浮かべた
「女は
「おそらくちがう」
「これから都へ行って、
きびしい。
「のるよ。のりゃいいんだろっ」
「
ドッと
丸太に真剣にしがみつく
(おんのれらぁ、覚えてろよ!)
急流を抜けたら、川は、ゆうるりと広くなっていった。
今、
「しこめさん」
「
「
「
他の
きゅん。
なんだ、この
河港から材木は陸路を行く。日雇い労働者が集められ、材木を二人一組で引きずって行く。
行く先々で、
「
先んじて、
(どういう紹介)
さらに。
「不細工のうえに、渡来人の若いのに捨てられて、それを追っかけて都へ行くってよ」と、話に尾ひれがついている。
「まだ、捨てられたわけじゃ」
「まだ」
(しまった……。捨てられる前提を自分で認めちまった)
「しのぶぅ。捨てられるのか」
「
賭けまで、し出した。
(おみゃあら(お前ら)、絶対、何らかの形で復讐する)
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