漫画time②
昼食後リビングで漫画を描き続けていた俺は、ふと雅に声を掛けた。
「夕方の辺りに俺の友達が来たいって言ってるんだけど、誘っても大丈夫?」
「……別にいいですよ。でも、江馬さんにとって誘いたい人がどのような人なのか教えてください。江馬さんが誘うような人なので大丈夫だと思いますけど、関係性とか成り立ちを知りたいです」
「分かった、説明する」
説明すると流れで言ったはいいものの、こういう時は嘘をついた方がいいのだろうか。
関係性とか成り立ちとか急ピッチで出来上がったので話すことがない。前世の価値観で言ったら俺は二人の女性と関係を持っている訳で、二人とは正式に付き合っているとは言えないけど嘘をついた方が雅は嫌な気はしないだろうか。ドアを閉める瞬間の隙をついて部屋に侵入して来たとか言ったら、雅はそんな奴と関係を持ったことを怒る気がする。
江馬は正直に話すか話さないかで悩み少しの間沈黙すると、ここで嘘をついてもバレてしまうと正直に伝えることにした。
「凜と会ったのは配達員としてなんだ。ここ数日間外に出掛けることが出来なくて、通販を使っていたんだけど運んで来てくれていたのが凜だったんだ。凜とは昨日から体の関係を持っている」
「……昨日からだったんですね。他に江馬さんが関係を持っている人はいますか?」
「関係を持っているのは凜と雅だけだよ」
「そうなんですね」
雅は関係を持っているのが二人だったことに安堵の溜息をつくと、その場で握り拳を作った。後一日早ければ私が江馬様の童帝の貰うことが出来ていたのに。私が貰う筈だったのを盗んだ凜という奴をぶん殴ってボコボコにしたい。
でも、昨日関係を持っていたと言っていた割には凛と江馬様の関係は仲が良さそうで、そんなことしたら江馬様に嫌われてしまいそうなので出来ない。私と同じ江馬様の妻になるかもしれないし、敵対をしてはいけないか。……それに、江馬様がまだ一人しか関係を持っていない内に私が関係を持てたと考えると凄いラッキーだ。仮に二十人以上と関係を持っていたら人数が多すぎて勝てる気がしない。ライバルが少ない内に関係を持ててよかった。
雅はよかったと笑顔を作ると、作った笑顔を江馬に向けた。
江馬は握り拳を作ったままの雅がキレていると勘違いしていて、握り拳を作ったまま微笑む雅にびくびくとしていた。
少しの間二人に沈黙が訪れる。この話から逃れたかった江馬は話を変えることにした。
「話は変わるけど、俺の漫画で描いて欲しいシーンってある? 感覚で漫画を描き進めているからどの漫画のシーンが人気があるとか分からなくてさ。よかったら、教えてくれない?」
「描いてくれるんですか!?」
「あぁ、そのつもり」
興奮してその場で鼻血を出す雅。雅のそんな様子に江馬は雅に対するびくびくを少し弱めた。
★★★★★★★
「最高過ぎる。ライバルを倒す為に筋トレするシーンとかメッチャ可愛いし、本当にエロい。ひたむきに頑張る姿が本当に最高」
溜まっていた家事を終えて自由時間となった雅。
雅は江馬に描かせた筋トレシーンをベッドの上で眺めていた。見る度に興奮して、興奮しては妄想して、妄想が収まった頃にまた見て興奮するを繰り返していた。
雅は感情の高ぶりに時々足をバタバタと動かす。そうすると、連動して豊満なそれがぷるんぷるんと揺れる。
江馬は漫画を描きながらそれを見て心を癒していた。
「とりあえずこれくらい描けばいいか」
数時間描き続けて今日で三十ページ近く描き終えた江馬。椅子の上で腕を大きく伸ばすと 未だに漫画で興奮を続ける雅に近付く。雅は近付く江馬に気が付く様子が無い。江馬はそれをいいことに後ろから迫ると、雅に後ろから抱き着いた。
「ヒャッ!?」
「漫画を描くの頑張ったから癒して欲しい」
「……私は江馬さんの補佐なんですから、お願いなんてしなくて命じるだけでいいんですよ? ふふっ。朝のように疲れてしまっても知りませんよ?」
「あ」
「もう遅いですよ」
江馬としては雅を少しの間抱きしめたかっただけだが、思わぬ展開に転がってしまった。雅は逆に江馬を抱きしめて逃げられないようにすると、軽快な動きで無防備な姿になる。江馬に自分の武器を押し付けると、その勢いままベッドに江馬と一緒に倒れる。
小悪魔のように笑う雅に江馬は諦めたかのように笑って、雅の口元に唇を落とした。少しの間悶えると、目をとろんとさせながら江馬にキスを返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます