そこにいるのは誰?
星がほしいです。
星がほしいです。
……これで笑わなかったら星下さい。_(..)_
――――――
「また誘って下さいね。絶対ですよ。誘わないとまた侵入しますからね?」
「当たり前だよ、凜」
「絶対ですからね? ふりじゃないですよ。」
俺の言葉に満足したのか凜が心底嬉しそうに笑う。
あの後やることをやった俺と凜はセフレになった。凜は何故か一回切りの関係と思っていたようで、俺がセフレになってくれとお願いをすると凄く驚いていた。彼女になって欲しいと言わなかったのは、ちゃんともう少し関係を深めて言いたかったからだ。……過程ぶっとばし過ぎな気がするけど。
冗談だったら殺すと目を漆黒に染めて言って来たのが印象的だった。凜は明るいように見えてホラー気質もありそうだ。
凜に対しては敬語を使っていたけど、凜から他人行儀な感じがして嫌だと言われたのでため口で話すようになった。
「本当に、本当に、本当に残念ですけど、今日はここで帰りますね。バイバイ、江馬」
「じゃあな凜」
「明日も来ますから準備しといて下さいね」
「え?」
俺の聞き間違いかと思い問おうとした時には、凜は既に玄関の扉を開き家の外に出ていた。もの凄いはやさで出ていったので、元から問い直させる気はなかったのだろう。
別に来たければ好きな時に来てもいいのに。仕事とかなくて暇だし、いつ来てくれても大丈夫だ。爺さんは来て欲しくないけど。
そんなことを考えながら俺は玄関の鍵を閉めた。
「色々やったし今日は疲れたな。やることは無いし、今日はもう早く寝るか。」
歯を磨いて、コーヒーを入れる。
湯気の上がるコーヒーを飲んでふぅと息を吐くと、ふと考えが思い浮かんだ。
「そういえば、俺が描いた漫画の再生回数はどれくらいになったんだろう? 三千万辺りまで伸びていたりするか?」
昨日の夜に見た時は、八百万だった。
数時間ちょっとで八百万再生回数だったから、昨日から一日経った今は三千万くらいになっていたりしないだろうか。
興味を持った俺は、早速ニクニク漫画を開いた。
「ええと、再生回数はどれくらいだ。三千万くらいに伸びているといいけど。……思ったより伸びてないな。一千万でも普通に凄いけど」
再生回数の場所には102937828と書かれていた。無名の状態から始めて一日でこれなので凄い伸びだった。一千万でも十分に凄い。
気になったことも知れたので閉じようとしたところで、俺は違和感を見つけた。
再生回数よりもコメントの数の方が多い?
コメントの数の所には20192834と書かれていた。再生回数よりコメントの方が多いことなんてあるのか?
ぽんと出て来た違和感を解消しようと、俺は仮説を立てた。
もしかして一千万じゃなくて、一億じゃないかこれ。
桁が多くて数えるのが凄く面倒くさかったので、桁をしっかりと数えていなかった。
桁を数えると、俺の予想通り八桁じゃなくて九桁あった。百万が七桁だから、九桁は億の位だ。コメントの数の方は二千万で数え間違いは無かった。
いやいや、一日で伸びすぎだろ。
コメントを見ると「聖遺物を教えて頂きありがとうございます」や「あなたに救われました。これからもお救い下さい」とか宗教染みていたものが多数あった。普通の応援コメントの方が少ない。どうなってんだこれ。
この国以外の外国からのコメントも多数寄せられていた。見たことのない言語で全く理解できないが、祈るような絵文字が入っていたので同じように宗教染みてるような発言な気がした。
この国は日本語が使われていたり西京とか大坂とか似たような名前の都道府県だから殆ど日本だと思う。だけど、外国はもしかして地球の国と似てないのかもしれない。英語とかこの世界に来てから見てないし。世界地図は全然形が違っているので、違った歴史がこの世界では形成されている可能性がある。
歴史好きだし、明日にでも調べてみるか。
「……それにしてもこんなに伸びてるってことは、もしかして記事とかになっていたりするのか?」
ニクニク漫画と打って検索し、項目をニュースにして記事を探す。
俺についての漫画は、と。
検索結果にはいくつか俺の漫画について書かれた記事があった。
「嘘だろ、これ?」
俺は出て来た記事を信じたくなかった。
「颯爽と現れた謎の漫画!!ニクニク漫画の株価高騰!?」「街中が赤に染まる!? その原因とは?」「聖遺物現れる!? 聖遺物とは!?」etc……
日本語だけではなく、外国の記事もあった。内容がマジで分からない。
俺の漫画この世界でどれだけ凄いんだよ。株価高騰とか与える影響がでかすぎる。街中が赤に染まるって凜のように街中で鼻血を出したってことか? ……頼むから聖遺物とか記事に使わないでくれ。
嫌な未来予測が俺の頭をよぎった。
俺の漫画人気に乗っかってテレビ局が俺の家に凸りに来たりしないよな?
爺さんが言うには俺って戸籍がないし、政府にバレたら絶対面倒臭いことになる。
「……考えても仕方ないし、今日はもう寝るか。」
現実逃避をしよう。そうしよう。
何か対策を考えようと考えたけど、これといったのは思いつかなかった。数分ちょっと考えても仕方ないだろうし、尋常じゃないほど眠いのでさっさと寝よう。
大丈夫大丈夫と俺自身を思い込ませて、俺はベッドで寝た。
★★★★★★★★★★★★★★
セットしていたタイマーの音で起こされ、体を起こす。
時間は六時。
昨日の疲れがまだ残っているが、寝つきがよかったのか気分は悪くなかった。
うーーんと腕を伸ばすと、部屋に誰かいるのに気が付いた。
「起きましたか?」
「今起きた。おはようございます」
「っ"" !?……おはようございます」
時間もまだ早いし、もう一度眠りにつこう。
自分の好きなように眠れるのはこの世界に来てよかったことだ。時間もあるし、後二時間くらい寝るか。
タイマーを二時間後にセットしたところで俺は気が付いた。
俺が今話していたのは誰だ?
俺はこの世界に来てからずっと一人暮らしをしていた。同居人なんていない。心霊現象じゃないよな?それとも侵入者か?家に住んでいた人は自殺をしたって爺さんは言っていたし、もしかして前住んでいた人が化けて出て来たとか?
声のした方を振り向くと、そこには鼻を必死で抑える巨乳の女性が居た。
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