紹介
* * *
「なんとか片付いたわね」
計三体の〈カヴォート〉の
「意外としぶとかったわね。とくに最後の奴。ナイトの攻撃にも耐え抜いてたわよ?」
「はい。機属を完全に破壊するには核となっている“コア”を破壊するまでは油断できないとか」
「? なんでアンタがそんなこと知ってんの?」
「いやその、な、なんでかなー、あははは……」
まぁいいと言う風に肩をすくめるシスター・カナイ。
「カアスも、ひとまずお疲れ…………カアス?」
カナイの言葉に反応を返さず、銀髪紅眼の人物は一心にナイトの方を見やる。
そして、か細い声でたずねる。
「ナイトさま……先ほどの
「ああ、こいつは転移者なの。異世界転移者」
カナイが親指を突きつけて、あっけらかんと口にする事実に、ナイトは恐縮したように頭をかくしかない。
シスターは言葉を続ける。
「それで、異世界転移者であるナイトが授かった、というか発現した戦装、みたいな感じのやつが、さっきのやつよ。名前は『ジズ』」
「そ、そういうこと、らしいです」
自分で説明する手間が省けたことを喜ぶべきか嘆くべきかわからないナイトは、
「──」
カアスは無言を貫く。
銀髪紅眼は何度も目を瞬かせ、ついで、腰のスリットから太腿をのぞかせながら異世界転移者へと歩み寄る。
「な、何か?」
ナイトが疑問を呈する間もなく、カアスはその場に十字架を置き片膝をついて
震える声が暗くなった砂漠の砂の上に落ちる。
「では、貴方が、あなた様が、神に選ばれた存在、予言の体現者なのですね」
「え、選ばれた? 予言の?」
「顔をあげな、カアス。まだ、ナイトがそうだと、決まったわけじゃあない」
ですがと抗弁しかける後輩を、金髪褐色のシスターは眼の圧力によって黙らせた。
「なにより。ナイトは『元の世界に帰りたい』と望んでいるからな。『神に選ばれた』としちゃあ何とも言えん」
「そ、そんな! …………いえ、そうですね。転移者の皆さま方のほとんどが望むところは、そこなのですよね」
自分の中で納得を得たらしいカアスは、少しばかり気落ちした風を見せるが、すぐさま元の快活な調子を取り戻す。
「ナイトさま。あらためて御挨拶を。私は
「は、はい。こちらこそ」
「おなじ
「……え?」
「──え?」
日の落ち切った砂漠の底で、ナイトの絶叫がこだました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます