スシ・テロリスト——例の事件における日本人の逆鱗・虎の尾・堪忍袋
たけや屋
今話題のスシ・テロリスト事件
今話題のスシ・テロリスト事件。
まあいろいろ言いたいことはありますよ。
かつて飲食店でバイトしていた身としては、迷惑客ってのは本当にどうしようもないのです。正論でねじ伏せようとしても、頭のイカれた連中ってのは対話不能で説得不能。叩き出したくともできない、下手に警察を呼ぶのも会社的に限りなくグレー(会社は世間体を気にしますからね)。
なので従業員としてはただ帰ってくれるのを願うことしかできないのです。飲食業の店員なんてただでさえ人数カツカツで忙しいってのに。
無法者を物理的に排除したら、なぜか法的制裁を受けるのがこちら——という非常に世知辛い世界が飲食業なのです。
なので一連の事件に遭遇してしまった各店舗の従業員さま方におかれましては、まことにお疲れ様でした。
◆ ◆ ◆
さて一連の事件はついに海外でも報じられ始めました。
欧米のニュースでは『おバカなスシ・テロリスト』扱いです。
国内の某著名人からは『殺人事件でもないのになんでこんなに騒いでるの?』みたいに言われる始末。
世間では『超高額の賠償請求なんて、未成年相手にここまでやる必要があるのか?』という風潮もあります。
しかしですよ。
個人的見解を述べさせてもらえば、被害会社の対応は至って適切。
むしろヌルいくらいです。現場でボコボコにブチのめされなかったのですから、随分甘い対応ではありませんか。コレ相手が相手なら●に沈められてもおかしくありませんがな。命があるだけまだ情があると思わなくては。
日本人にとって食品イコール神。
食い物を粗末にするやつには
◆ ◆ ◆
飲食業なんて食い物を粗末にしてる代表格だろ——という意見はあるかもしれません。
しかし少なくとも飲食業は誰かに提供するために食品を作っています。食中毒を起こさないように余裕をもって消費期限も設定して。消費期限を過ぎてしまった食品を『もったいない』からと誰かに食べさせては、結果的に誰かの健康が損なわれるかもしれません。
なので食品廃棄が発生するのです。
人類が社会生活を営む以上、これは必要悪です。決して出したくて出してるものではありません。なので食品の発注は『食品ロス』を無駄に出さないため、非常に気を遣います。
ですが社会とは、ある程度の無駄を一種の『余裕』として設定していなければ回りません。
これを会社組織にたとえるなら『誰かが休んだ時の予備人員』のようなものです。
人間ならいくらでも腐らず待機できますが(人によります)、食品には消費期限があります。それが過ぎたら廃棄せざるを得ません。
日本社会全体が常にカツカツの食糧事情になり、食い物を求めて人々が各店舗をさまよい歩くもことごとく品切れ……という状況になってもオッケーという人以外は、ある程度の食品廃棄は受け入れるべき。
食事とは人間を健康に育むもの。食べ物を捨てるのはもったいないからと腐りかけの物を無理に食べて、健康を害してしまっては本末転倒です。
食品廃棄は、食べ物を
◆ ◆ ◆
それに引きかえ、一連のスシ・テロリストたちは
まだ食べられるスシやしょうゆに対してツバをペロペロ、皿や湯飲みをなめなめ。
米のひと粒に神さまが宿るという日本社会で、米の塊であるスシにツバを付けたのです。これはまぎれもなく『食い物を踏みにじる』行為です。許されるものではありません。
『領海内にミサイルをいくら撃ちこんでも日本人は怒らない。どうすれば日本人は怒るんだ?』
『それは簡単さ。日本人の目の前でスシを投げ捨てて、踏み潰せばいいんだよ。そうすれば即日開戦だ。HAHAHA!』
というエスニックジョークで語られるのがジャパニーズです。
最近の研究では、縄文時代の土偶は作物を擬人化したものだという説もあります。つまり数千年以上の昔から、日本人にとって食品とは崇拝対象なのです。
日本人の逆鱗に触れるのは、虎の尾を踏むことになるのは、堪忍袋の緒が切れるのは、『メシを粗末にすること』に他ならない。
猛り狂うのも無理ないじゃありませんか。
まあ個人的には『世間は少々ヒートアップしすぎでは?』とも思うのですが。食い物を粗末にする奴への憤りや怒りは、個人の心の中に収めればいいのです。部外者には、加害者へこれほどの罵声を浴びせる理由が無い——というのが率直なところ。
もちろん、被害会社が粛々と法的措置を進めるってのは大前提ですよ。
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でも正直、今回の事件をきっかけに外食ちょっと控えようかな……と思ったのは自分だけではありますまい。
しかしどうか怒りに我を忘れることなど無いよう、冷静に★評価・感想などをお願いします!
スシ・テロリスト——例の事件における日本人の逆鱗・虎の尾・堪忍袋 たけや屋 @TAKEYAYA
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