第13話
「冊子を開いてね!ちょっと手短に説明するから!」
冊子を渡されて社務所の小さな会議室のようなところに案内されたかと思ったら、荒岩さんが冊子を開いて説明を始めた。
午前も午後も勉強かぁ。もう今日は勉強いいかぁ。
「とりあえず、基本的には神社のお掃除とか販売とかしてもらおうかな!接客のマニュアルみたいなのはこのページにあるから!」
相変わらず、荒岩さん元気だなぁ。
「だけど、武くんに期待しているのは肉体から切り離されて成仏してない魂や精神をあの世に返すことかな!基本は戦闘、その間に祓詞を読んで、成仏させるという流れだね!実際にやってみよう!」
そういうなり、徒歩20分ぐらいの道路の下道を通るトンネルに来た。近くには、横断歩道が増設されたのか夕方にもか変わらず使われている気配がほとんどない。少し不気味に感じる。
「こういう場所に魂が彷徨って魂がいるんだよ!モンくん!見してあげて!」
モンやケンは渋い顔をしている。この雰囲気もそうだろうし、それほど特殊なものが見えているのだろうか。
「じゃ、行くわよ…」
モンは渋々、俺の目を覆い、魂が見えるようにしてくれた。そこには大きなテレビのアマゾンで見るような蛇がいた。蛇の目は真っ赤に染まり、額にも目がある。口からは大きな牙が二つ上顎から伸びている。鱗は黒くなっている。大きく見開いた目と口でこちらを威嚇しているようだった。
「熊の次は蛇…」
俺がそんなことを呟いたその時。蛇は大口を開けて襲いかかってきた。蛇と俺の間にモンが素早く入り込んで、思い切りフルスイングで懐中電灯を蛇にぶつけた。蛇が大きく吹き飛ばされた。再び、口を開け襲いかかる体勢を整えている。
「武くん!蛇は生命力の象徴だから回復や耐久力はかなり高いと思うよ!危なさそうだったら助かるから思いっきり戦ってね!」
大きな声で荒岩さんがアドバイスをしてくれている。しかし、あまりの凶暴そうな風貌に冷静に聞くことができなかった。
「ちなみに!魂の攻撃は肉体に干渉するから!つまり、蛇の攻撃がモンやケンに当たっても武くんのダメージ!蛇の攻撃が武くんに当たっても、もちろん、ダメージとして残るからね!気をつけて!」
凶暴な風貌にも関わらず、冷静に聞き取ることができた。しかし冷静に反応することは出来なかった。やばすぎる。
「荒岩さん、ちなみに死んじゃったりするの…かな…」
荒岩さんは珍しく元気に言葉を返すことがなかった。荒岩さん、それは『はい』ということですね。怖すぎますよ。
「大丈夫!全力でサポートするから!」
荒岩さんの言葉に信用できないような日がこんなにも早く来るなんて。そして、蛇はさっきの何倍もの大きさに感じた。
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