第15話 忘年会
翌日、会社に出ると忘年会の案内が掲示板に載っていた。
ボーナスが出た翌々日で、各部署ごとの忘年会だった。
忘年会が終わったら、年間の一大行事「ソープランド」に行こうと
自分で勝手に予定を組んだ。
忘年会は、総勢28名もちろん部署ごとだったので
上座には「川口」自分は末席に陣取りお酒の追加など
走り役に徹することにした。
場も盛り上がり、今年10月に就任した川口係長のお祝いもかねていたので
皆川口の所へ簡単な挨拶を兼ねてお酌をしていた。
自分は相変わらず飲み物の補充などをしていて、別に無視していたわけでは
無いが、どうも川口は気に入らなかったみたいで自分が呼ばれた。
隣に座ると、今年は仙台に来てよかった。地元でゆっくり出来たなど話していたが、ただ、今年はお前のために問題が多くて大変だったと
180度話が変わりネチネチと自分に説教を始めた。
あまり長い時間だったので、皆が何をそんなに話しているのだろうと
場は少し静かになった。
別にいつもの事なので気にはしていなかったが
高校の話になり、お前はどうして進学しなかったんだと言う話になり
あの高校なら成績が悪くても私立の大学くらいは入れるだろう
せっかくあんないい高校に入り親に申し訳ないと思わないのか親も親だよな。
そんなわがままなことをさせておいて
道路の交通整理なんて・・・
自分のことは自分で我慢も出来たが、親のことを言われると
何か自分の心の中で決断みたいなものが小さく動き始めた。
もうこれでいい。最後にしようと。そんな気持ちが
ビックバンのように心一杯になると
「今までありがとうございました。この場を持って辞めさせて頂きたいと思います」
一瞬場がシーンとなった。一斉に自分に視線が集まるのが分かったが
それでもひるまず、ゆっくりと自分のコートを羽織り深々と礼をして
会場を後にした。
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