第9話  親父

「実はね、5、6年前位かな、君のお母さんのお墓を尋ねてきた人がいてね」


母のお墓に?誰だろ??母も身よりは無く私も兄弟のいないのに・・・

なぜか昭は胸騒ぎがし住職の言葉を待った


「君のお父さんだよ」


「え!!親父が」


「んん。君の事心配していたぞ」


「そうですか・・・・・色々ありがとうございました」


そう言うと逃げるようにバイクに乗り、道など考えずそのまま走りました

何で今頃、くそ親父が、俺たちを捨てて散々暴力をふるって

今更何で墓参りなんて、墓参りするくらいならもっと他にすることがあるだろう。

頭は怒りが一杯で、どこをどうやって帰ってきたのか分からないが

気づくと自分のボロアパートの前でした。


季節柄バイクでの走行は体が冷えて、部屋のドアを開けるときには

寒気さえ感じました。

直ぐに熱いシャワーを浴びあったまった部屋で寝転び天井を見ていると

母の顔が浮かぶと同時に、あの美和子の顔が浮かびました。


そうだ昨日のことを謝りに行かないと・・・


急いで着替えて地下鉄に乗りました。


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