第7話:僕と君の話②
「......え?」
突然李乃さんは僕に『私の事好きでしょ?』
そう聞いてきた。聞き間違いじゃない。
『......郁は、どう思うの?』
「えっ...ど...どどう思うって....いいいきなり何言って.....」
『........私ね?嬉しかったんだ。昔学校行ってなかった事を郁に言った時、正直引かれるかと思ってた.....でも郁は引くどころか今まで言わなかった郁の過去を話してくれた.....嬉しかった.....私を呼び捨てでようやく呼んでくれたのも。』
そう言うと李乃さんは僕に抱き着いた。
『郁....私郁の事好き....大好き....好きで好きでたまらないの.....』
「李...李乃さっ.....なにをっ...?」
李乃さんが僕から離れたかと思ったら突然キスされた。
『郁.....好き...好きぃ....』
「っ!?」
子供のキスなんかじゃない。口に舌が入ってくる。
数秒が経った後キスは終わり、李乃さんは離れた。
『っぷはぁ......どう?キス、したことないでしょ?笑』
「...........」
何が起きたのか分からず言葉が出なかった。
『ねぇ...?家来ない?続き....しよっ...?』
「い...家....ですか...?ま...まだ早朝だし.....そ...それに....つ...続きって何を.....」
『分かってるくせに!笑 早く!行こっ?ね?私がリードするからさっ!』
李乃さんはそう言って僕の腕を引っ張り家へと連れ込んでいく。
初めての経験はずっと李乃さんがさせてくれた。
一緒に通学するのも下校するのも、ゲームをするのだって李乃さんが初めてだった。
少しづつ自分に自信がついた気がしてた。
初めて李乃さんと喋った時、あの心のドキドキは....確実に恋をしてた。
李乃さんに恋してた。でもそれを知られたら嫌われてしまいそうで言えなかった。
でもいつしか互いが互いを好きになってたなんて、身に余る奇跡だ。
あの時間の間は時間の感覚が無かった。気づけば針は昼の12時を指していた。
『ハァ——ハァ——ハァ——もう昼じゃん....私もだけどっ...郁っ....体力ありすぎっ.....犬じゃんっ...笑』
「っ........」
『.....ねぇ郁~...?こっちおいで...?あぁ服は要らないよ...!笑 裸のままでいいから、隣おいで?』
ベッドに寝そべり毛布をめくり自分の方に手招きする。
「し...失礼します......」
『にへへ~素直になってきたじゃ~ん笑』
恥ずかしくて李乃さんとは逆方向を向きながら添い寝すると、後ろから抱き着かれた。
『ちょっと~?こっち向いてよ~!こぉ~らぁ~!』
「だ...だだっ...抱き着かれるのは恥ずかしい....よ......」
『なーに今更女の子みたいな事言ってんの!笑 ほらこっち向いて?』
そう言われ渋々李乃さんの方を向くと、目を合わせた時———
「———っ...!」
『っ.....好きだよ...?』
キスをされ好きと言われた。
恥ずかしさの余り下を向いてしまった。
『いい加減慣れないと~駄目だよ?』
「い...今のは....なな...慣れてないとかの話じゃ......」
そう言いかけた時、李乃さんが強引に目を合わせてきて言った。
『じゃ、これからヤって慣れてこっか笑』
「っ.........」
もう言葉がその先は出てこなかった。
その日は15時に家に帰った。
帰り際に李乃さんが『これから学校含めてよろしくね!』と言って手を振っていた。
それに僕は大きく手を振り返した。
その夜、朝の自分の有様を思い出して一人部屋赤っ恥をかいていた。
—————————
「僕がいる」
そう言えば良かったのかも。
実際正解なんかわかんないけど、直接的な言葉で君を安心させてても良かったんだと思ってしまうんだ。
あの瞬間は大切な時間だった。時間を忘れてたのに大切だなんて変な話だけど、確実にそう言える。
あの情景.....思い出すだけで懐かしいなぁ.....君を手に入れたような感覚だった。
確実にあの瞬間だけは李乃さんは僕のものだった。
女性を物と思っていたり、男尊女卑の思想を持っているわけじゃない。でも確かに感じた.....「愛する李乃さんを手に入れたんだ」って......。
―————————
~《三学期のある日》~
最近李乃さんが学校に来ない.....LINEしても『体調が悪い』としか言わずそのまま。
今の季節はまだ花粉だとか、風邪が流行るような季節じゃないので、尚更心配だ......。
「李乃さん......大丈夫なのかなぁ......学校終わったらもう一度家行ってみよう.....」
そう思い学校が終わるのを待った。
そして数時間後に学校が終わり、支度を済ませ李乃さんの家へ向かった。
家の前につきインターホンを押す。
......がしかし応答はない。
「......寝てるのかな...?今朝は連絡ついてたのに.......あれ?」
そう呟きながらふとドアノブを引いてみたら、家のカギが開いていた。
ホントはダメだって分かっていたけど、心配だから入ることに。
「李乃....さん?お邪魔します.......」
家は特になんともなく、窓から日差しが差し込み部屋が凄く明るい。
リビングのテーブルには、ラップが付いたお皿が置いてあった。恐らく作り置きだろう。
「昼ごはんって書いてあるけど、もう16時......起きてから部屋出てきてないのかな...?」
一階を見渡し、李乃さんの部屋がある二階へと上がった。
部屋の前に立ち、ドアをノックする。
「り...李乃さん...?」
声をかけても反応が無い。
「お...起きてる...?心配してきてみた....んだけど....」
反応無し。
「李...李乃さん...?開けるよ...?」
ここまで反応が無い事に違和感を感じ、ついに扉を開けると———
「..........っえ」
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