第4話 キャンプ

「あぁ、もう!」工藤さんの機嫌が悪い。原因はというと…「一人でキャンプに行きたい、けど親が許してくれない」らしい。キャンプって言っても、ゆるキ○ン△みたいなものではない。カープ恒例の日南キャンプである。結論から申したい。無理である、多分。高校生が一人で行くのは不安だし、なんなら工藤さんはこう言ったに違いない。「一軍日程、土日だけでも全部みたい」狂気の沙汰だ。この人は土日の全てをここに費やそうとしている。テストなんて知ったこっちゃないだろう。親の判断は賢明である。そう考えている間に工藤さんは言った。「田中くんと一緒に行けば、親も許してくれるかも!」だからなんでそうなる。毒されすぎて脳の半分が赤帽子になっているのだろうか。ここまでやばいやつとは思わなかっ…あっ、失礼。本音が出かけてしまった。僕も言うしかない。「工藤さん、来年は受験だよ?勉強もしないと…」「うるさい。私は一応成績はいいんだから」実際工藤さんの成績は、いい。学年一桁もよく取る。悔しいが、僕がアドバイスする口はない。「分かったよ、工藤さん。だったら今度の土曜日だけ一緒に行こう?それだったら親も許してくれるんじゃない?」工藤さんの顔がみるみる嬉しそうになった。「約束ね!田中くん!」良かった、機嫌が治ったらしい。安堵の中、工藤さんは口を開く。「ところでさ…」工藤さんは続けた。「新幹線って、どうやって乗るんだっけ?」どうやら、一から教えなければならないらしい。

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