第四章 トホカミエミタメ
第19話 ハサンを復活させよ
ハサンの亡骸は、オーサキ村の
共同墓地に丁重に葬られた。
聖騎士ハサンの訃報は全国へと伝わる。
『え?聖騎士死んだの?』
『まじで?何もしてないよね』
『アヤカシどうするんだよ』
当然、その民の声は領主ウェーダーと、
王都センダー国王
カンデンブルグ8世にも届いた。
「聖騎士は秘密に気付かずに死んだのだな」
カンデンブルグ8世は宰相マーデリンに
顔を背けながら呟くように話す。
「気づいていないでしょう。
三鈷剣は墓地に埋められています」
マーデリンは王に諭すように囁く。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
三鈷剣。祓いと邪を斬る
愛の剣。
その剣は、首の無い
ハサンと共に埋められている。
すると、三鈷剣から
不思議な挙動が起き始めた。
土中に埋もれている
三鈷剣が緑白色に光り始める。
この奇跡には、誰も気づく者はいなかった。
そう、誰も……。
セシアはあの日から気を病んでしまい、
立ち上がれなかった。
まさか世界を救う聖騎士が死んでしまうとは。
そして魔王スマターの従者である
三騎将の一人、魔将軍ザンの強さに打ち震えていた。
「アタイは、何もできない。
またドジをふんじまっただわさ」
涙が止まらない。
もう少し、何ができたかもしれない。
しかし、立ち尽くすことしか出来なかった。
それほど魔将軍ザンの力は
凄まじいモノだったのだ。
強烈な心的外傷(トラウマ)を
セシアに与えた魔将軍ザン。
当分起き上がる事も
出来ないくらいに衰弱したセシア。
やがて、うつらうつらと眠気が襲った。
どれくらい眠ってたんでしょうかね?
なんかね、声が聞こえてくるんですよ。
やだなー、怖いな、怖いなー
なんて思ってたら
「セシア、私だよ。ハサンだよ。」
夢の中で現れたハサン。
うわーー!化けてでた!
このハサンは、
この世の者では無かったんだー
と祈りながら成仏してください。
お願い致しますと祈るセシア。
「違うんだ。セシア。私は2度死んだんだけど、
マーラは魂の世界。
つまり、 死なないんだよ。」
ハサンは夢の中で話す。
「どういうこと?あなた死んだでしょ。
アタイみたもの。バーンってなったもの!」
返すセシア。
「もっと言えばマーラの世界の人は
皆死んで魂だけの存在なんだよ。
だから、アヤカシに殺されたと言うセシアのお母さんを始めとした、数多の人々はアヤカシとして生まれ変わるんだ。」
そして、ハサンはこう述べた。
『聖騎士とは呪い。成仏して、次の5次元へは行けない。マーラの螺旋と呪いを本当に打ち滅ぼさなければ。
セシア!三鈷剣を抜いてくれ。
そして唱えるのだ。
『トホカミエミタメ』を。』
トホカミエミタメ?
奇跡を起こす必殺の呪文らしい。
霊体のハサンは、
トホカミエミタメを……と言葉を遺し
姿を消した。
ハサンを復活させなければ。
セシアは三鈷剣と
遺骸を掘り起こすことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます