第18話 アヤカシの正体

「ゲド。お前は俺と来い。

謝るんだ。許しを乞え。

そして自らアネッサに首飾りを渡すんだ。」

ハデルはゲドにさとす。


「い、いやだー。俺には

妻も子もいるんだー。

今更会えるわきゃないだろう。」


ゲドは頑なに拒否する。


2時間、いや3時間俺はゲドを説得する。

そして最終的にこう告げた。


「お前は、毎日ぐっすりと眠れてるのか?」


ゲドは涙を流した。

あれから、まともに一度も眠れない。


何故化けて出るのか。

アネッサに対して逆恨みまでしたゲドだった。


「この返還の儀は、

アネッサを救うだけじゃない。

『お前も救う』のだ。」


ゲドは、アネッサに会うことにした。

許しを乞うために。

アネッサへ別れを述べるために。


アネッサは午前0時00分に現れる。


アネッサは現れる。

井戸から黒い瘴気と共に、

『カェセー』と断末魔のような

恐ろしい叫びを上げながら。


ゲドは近づく。震えながら。

その側にはメリーと、ハデルが護衛につく。


窪んだドクロの目、

長い爪がゲドを刺そうとした瞬間、


守りの指輪に気付く。

ゲドとアネッサが二人の結婚式にと

作成した悲しい首飾り。


ドクロの幽鬼の姿から、

あの美しかった生前の姿へと戻るアネッサ。


「ゆ、ゆるしてくれ。俺が間違っていた。

お前を裏切ったのは俺だ。」

守りの首飾りをアネッサに差し出すゲド。


アネッサは再び怨嗟の声を上げて、

生前の美しい姿からアヤカシへと姿を変える。


「あなたを愛してたのぉぉーー」

ゲドに襲いかかろうとした時、


ハデルは破邪の剣を構えて、こう言った。


「アネッサ!迎えが来ている」

アネッサの上には神々しい光に満ちた

アネッサの母がいた。


「神に還れ、迷えるアネッサよ!

破邪ーー!」

破邪の剣がアネッサの心臓を貫く。


すると、アネッサは

光の姿に生前の美しい姿に変わった。


「ありがとうございます。聖騎士様。

心が浄化され、本来の姿に還れます。

私は母と共に、5次元の神の世界へ還ります。

ありがとう、ゲド。

あなたとの暮らしは楽しかったわ。

忘れない。ありがとう。」


アネッサは消えた。


アネッサは会いたかったのだ。

愛した男に。


愛を求めるが故に、愛に彷徨した。

その悲しい愛は怨嗟となり、

アヤカシとなった。


そう、アヤカシの正体は

マーラの人々の愛を求める姿に他ならなかった。


そして、アヤカシを操るのは魔王スマター。

戦いは始まったばかりである。


アネッサが天に召された時、

ハデルは経験値が爆上がりしてるのに気づく。

敵を倒す(祓う)より、感謝される方が

大きく経験値が上がる。


そういう事なのか。

ありがとうございます、この気付きに感謝。


また経験値が、ちょっと上がったハデルだった。


次回へ続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る