第16話 ハデルの初クエスト
気づいたら、なんか違う世界にいて、
面食らってたら
変な女が「召喚したんです」って言ってる。
何これ?早く元の世界に返してくれよ。
俺には妻や子供が帰りを待ってるんだよ。
え?死んだ?
嘘だろ?
聖騎士?何それ、ふざけんなよ。
メリーとかいう女に、
色々喚いて見たものの、
肉体の冠城武徳はもう死んでるから、
元の世界には戻れないらしい。
ここはマーラという魂だけの世界なんだと。
え?匂いも、感触も、息遣いも、
全てがリアルに感じてるのに、
これが魂だけの世界で肉体は存在してない?
信じられるかよ。
もうやだ。帰りたい。
妻と娘に会わせてくれよ。
俺は泣いた。
人前も、
メリーは寄り添ってくれた。
ありがとう。
「でも、メリー。なんでお前は俺を呼び出したんだ?
聖騎士とは何だ!」
メリーはアヤカシと魔王スマター、
そして聖騎士を巡る覇権争いが各国で
起きている事をハデルに話す。
「武徳。あなたはもう、武徳ではない。
聖騎士ハデルなのだ」と。
知るかよ、俺はハデルじゃない。
武徳だ。何とか元の世界に戻る方法を見つけてやる。
それまで、この聖騎士の力を利用してやる。
何としてでも帰るんだ。
元の世界に。
愛する我が妻子のもとに。
ハデルは剣を振るう。
しかし、当然敵を倒すだけでは
レベルは上がらない。
この世界では感謝力が、
ソウルパワーを上げていく。
武徳、ハデルは気付かない。
闇雲に敵を倒すだけ。
ここはミャーギ地方から遠く離れた国、
カントン国。
カントン国のシンセイ地方で
召喚されたハデルは、
メリーと共に旅に出る。
本当に、ハサンは死んだのか?
パティーンは言った。
聖騎士が二人揃った時に、奇跡は起こる。
因果律の封は解かれ、
古の呪いと災の螺旋から解放されるのだと。
ハサンが生きていて、聖騎士が力を合わせて
魔王スマターを倒せば何かが変わるかもしれない。
メリーに諭され、
てハデルこと武徳は旅に出る。
目指すはセンダー国、ミャーギ地方。
例え、ハサンが本当に死んでいても、
魔王スマターを倒せば元の世界に
帰れるかもしれないのだ。
焦るハデルを尻目に、
メリーは従者としてサポートすると誓う。
元来、被召喚者である聖騎士は召喚者に
逆らえない契約を施された意のままに操られる。
しかし、ハサンもハデルも
イレギュラーで召喚された為、
制御が効かない。
メリーは、直感でハデル=武徳ならば
やってくれるとそう信じてきた。
私達の世界の邪悪なアヤカシを封じるため、
根絶やしにするため、
ハデル様と共に剣を振るうと。
ハデルの剣は破邪の剣。
炎を纏う霊剣である。
「ここいらの雑魚相手になら苦戦しないぜ!」
ハデルは回復魔法は覚えないが、
耐久性に秀でている。
ファイヤーフレイムと言う炎熱殺法で
敵をこんがり焼いちゃう。
正に焼き場要らずなのだ。
ある日、ハデル一行は、
とある名も無い村に着いた。
すると村長から、『井戸の魔女』
を倒して欲しいと依頼がくる。
「旅の冒険者様、報酬は払います。
井戸の魔女を倒してください。
井戸の魔女は夜になると実体化して、
村人を襲うのです。お願い致します。
井戸の魔女アレッサを打ち滅ぼしてください」
メリーはハデルに問う。
「どうしますか?私達には
先を急ぐ理由があります。
この者達の依頼を受けている暇はありませぬよ」と。
しかし、メリーさ。
こんな困ってる人の依頼
スルー出来なくない?
俺やるよ、やるやる。
それが聖騎士の力を持つ
俺の使命なんじゃないの?
義を見てせざるは勇無き也、
って言うじゃないか。
だから、俺は受けることにした。
初めての聖騎士としてのクエストを。
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