足助守《あすけまもる》

1

夜に、珍しく家のチャイムが鳴る。


家に誰かやってくるなんてほぼない。荷物も会社で受け取るし。


インターホンを覗くと、なんと一番上の兄のさとし兄ちゃんだ。なんでここに?

とりあえず対応する。


「どうかした?」


「よぉ、守!遊びに来たぞ!」


画面をよくよく見ると、キャリーケースを持ってる。研修にしては、多い荷物。


「…もしかして、転職でもしたの?」


「おおー!さすが守!話したいこと山ほどあるぞ」


嫌な予感。


「明日早いから、もう寝ないと」


「…積もる話があるんだが」


「ごめん。今日は帰って」


「…わかった。守、また連絡するから」


「うん、バイバイ」


げー。

あれは絶対うちに住もうとしてる。

それは嫌だな。

そして、1人ということは…

もしかして別れた?


電話してくれたらいいのに。


気になるし、確認の電話を隆兄ちゃんにする。


「おう、守」


「敏兄ちゃんは、別れた?」


「え?」


全然話してないじゃんか。


「転職したみたいで、東京にいるよ」


「は?何も聞いてない…」


「わかった。また確認する」


めんどくさいなぁー。あと誰に聞こうかな。息子のすぐるの連絡先知らないし。嫁の連絡先も知らない。

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