足助隆《あすけりゅう》

1

息子のみのるが離婚することを、両親のりゅうさんと僕の姉の愛に直接会って話す。


「…なんで、そんなことに?実、仲良しだったんじゃないの?ねぇ?」


姉は何もわかってない。


「悪いけど、僕から見たら…実が一方的な、一方通行に見えてた」


「そうなのか…」


隆さんは落ち込む。


「もう別れるしかなさそう。あちらのご両親も納得してるし」


「実は…俺たちには相談してくれないのか?」


「…そうですね」


年頃の時からずっと子育てしてない、この人たちに実は嫌悪感を抱いている。ほとんど僕が育てたと言っても過言ではない。


「実は、今どこに住んでるのかしら?」


「今も同じところに住んでる」


「うちに来ていいのに」


「それはないだろ」


「ねぇ、多喜ちゃんからお願いしてみてくれない?」


「嫌だね。そんなに心配なら自分で家訪ねるか職場に行ってくれ」


「でも、そんなことしたら私のこと嫌いになるかもしれないじゃないの」


「はぁ、そんなの知らない。勝手にしてくれ」


なんなんだよ。

勝手なこと言って!


「多喜ちゃん、実のこと…これからも気にかけてやってくれ」


「もちろんです」


隆さんもそう。

僕に実を任せっきりだ。

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