第2話:俺にとってはいつもの世界

俺は今日起こることを知っていた。なぜならいつもの事だったからだ。だが、回収人がそろそろ来るのでマスクとゴーグルを外し眠った振りをした。ドアの開く音がした。

(やはりショーか、でもなぜこいつらが巻き込まれてんだよ。)

目を瞑っているとだんだん眠くなり、この後は何も起きないことを知っていたため、己の睡眠欲に従い眠りに入った。目が覚めると見覚えのある部屋の中に居た。当然、クラスメイトたちも一緒に居た。催眠ガスを吸ったクラスメイトは深い眠りについていた。正直なところ一緒に行動したくない。なんならひとりで先に行こうかと考えていると深い眠りについているはずのクラスメイトが一人起き上がった。

「え、もう起きてきたのか。」

「ねぇ、これはどういうこと、なぜ私たちが誘拐されてるの。」起きてきたのは寒波さんだった。

「俺も知らない、てことで俺は先に進む。お前はそこのヤツらを起こしてみんなで先に進め。」最低限の助言を残し、部屋にある恐らくいちばん弱い武器をひとつ取りいつしかないドアを開けようとすると寒波さんはドアの前で立ち塞がった。

「傀儡君、催眠ガスのこと知ってたよね、マスクとゴーグルつけてたし、何か知ってるんじゃないの。」

「じゃあ、悪いけど殺して進ませていただくよ。」殺すつもりはないが、脅せばどいてくれると思った。

「殺せばいいじゃない、ただ、私が叫んでみんなが起きてもいいのならそうしなさい。」

勘が鋭いし、こんな状況でも冷静に判断出来ることに素直に褒めたくなった。

「わかったよ、それで何が聞きたいんだ。」恐らく、起きてもクラスメイトくらいなら余裕で殺せるだろうが元々殺す気はなかったのと寒波の度胸に免じて、聞きたいことを話すことにした。

「傀儡君が知ってることを全て話して。」

「わかった」こういう場合の心得を傀儡は持っていた。少し情報を素直に教えてそれが全て思い込ませるのが1番だということはこなしてきた修羅場から学んでいた。

「これから言うことはまず信じれないだろう、まず、20年前ほどから殺人鬼救出ゲームとか言うものが少し話題になったの知ってる?」

「ええ、まだ犯人も犯行手順まだ分かってないやつでしょ。」

「ああ、そうだ、でもなこれは一部嘘なんだ。」

「どこが嘘なの。」

「犯人も犯行手順もわかってないってところだ。」

「どういうこと?警察が嘘をついてるって言うの。」

「だいたいそうだが少し違う政府が嘘をついてんだよ。これは上流貴族どもが楽しむゲームなんだよ。」

「じゃ、じゃあ、なんで私たちがここに連れてこられたの。私たちは犯罪者じゃないでしょ」

「そんなの簡単だろ、数が足りないからに決まってるだろ。」

「なんでそんなこと知ってるの?」

「それも簡単だろ、俺はプレイヤーだからだよ。もうじき、クラスメイトが起きたら説明してくれるはずだ、俺はゲームを早く終わらせるために先に行く。」

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意味なんてないさただの八つ当たりだよ @akusa614

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