第5章 怠け者な幼馴染みと看病生活
第26話
その後、千紗は病院へと向かった。
担任の鈴木先生に事情を話し、僕も保護者代わりに病院まで送ってもらうことに。なにせ、千紗の両親は海外にいるからな。一人じゃロクに歩けないだろうし、家にも帰れない。
病院で診察してもらった結果は、ただの風邪だった。しばらく安静にしていれば治るらしい。
病院を出ると、僕は千紗を背負って歩いていた。彼女の鞄も一緒に持っているので、少し重い。
「志郎……ごめんね……」
しばらく歩いていると、千紗が熱い吐息を溢して言った。
「私がちゃんと勉強、教えてあげなきゃいけないのに……」
「何言ってるんだよ。体調を崩してるんだから、無理しなくていいって」
「でもぉ……」
千紗の言いたいことは分かる。僕は、今のままじゃ学年上位になんてなれない。千紗の体調が快復するまでは、自分一人で勉強するしかなさそうだ。
だけど、本当にやれるのか? 今までだって、散々頑張っても学年最下位から抜け出せなかったのに。
不安を感じながらも歩くこと十数分。
ようやくマンションへ到着し、千紗の部屋まで移動した。彼女を部屋のベッドに寝かせようとする。
「ま、待って……」
しかし、千紗が僕の袖を引いて止めてきた。赤くなった顔で僕を見つめてくると。
「着替えなきゃ、制服のままじゃヤダ……」
「あ、ああ、それもそうだな。じゃあ、僕は部屋から出るから……」
「……無理」
「え?」
千紗は潤ませた瞳で僕を見つめながら、言った。
「一人じゃ、着替えられない……頭、ぼーっとするし、手も上手く動かせないから……そ、その……き、着替えさせて」
「はぁっ!?」
いやいや、できるわけないだろ!
心の中で叫んだが、千紗は病人だ。無理させたくないし、着替えられないのも事実だろう。
千紗は昔から、一度病気に罹ると人一倍悪化してしまう。普通の人が二、三日で治るような風邪でも、平気で一週間ぐらいかかってしまうのだ。
そんな体質があるのも分かっているから、無理をさせちゃいけないとは思う。制服のまま寝ても、寝た気がしないだろうし……。
「…………わ、分かったよ」
苦悩の末、僕は千紗を着替えさせることにした。
千紗に部屋の片隅で脱ぎっぱなしにされたパジャマの位置を教えてもらう。ひよこ色のパジャマで、ふわふわとした布地が柔らかい。それを持って千紗のベッドへ再び移動する。
千紗はベッドに座ったまま、虚ろな目でぼーっとしていた。
彼女の隣に腰を下ろすと、千紗は僕に背を向けるように座り直した。制服の裾を掴むと、唾を呑み込んだ。
「い、いくぞ……」
「う、うん……お願い」
恥ずかしそうな声。
僕も心臓が破裂するんじゃないかって思うほど鼓動を早めながら、千紗の裾をゆっくりと持ち上げていく。
制服の下には何も着ていないようで、白い肌が露出した。細いくびれが露わになった途端に目を逸らしそうになる。しかし、ちゃんと見ていないとうまく脱がせられる気がしない。出来るだけ、身体を見ないようにしながら、制服をさらに上へと持ち上げた。
よし、このまま頭まで持ち上げれば脱がせられ……
――むにゅっ。
え……?
何だか、柔らかなものに阻まれてしまった。千紗は目を泳がせて、ただでさえ赤い顔をさらに真っ赤にさせている。
ええと、これってまさか……千紗のむ――
「し、志郎! 余計なこと考えたらゼッコウだから!!」
「か、考えてない考えてない!!」
僕は咄嗟に謝った。
てか、身長低いくせに、どんだけ成熟してるんだよ!
「じ、じゃあ、一旦腕を前にするからな」
このままじゃ脱がせられないので、制服の前側を持ち上げるために腕を移動させる。ちょうど、千紗を背中から抱きしめるような形だ。
「ひゃんっ! へ、変なとこ触らないで……」
「さ、触ってない!」
本当は、手の甲が少しだけ千紗の肌に触れてしまった。でも、気にしたら負ける気がする。何に負けるかって? 自分の理性だよ!!
僕は懸命に意識を逸らしながらも、制服の前側を持ち上げた。千紗の膨らみに手が当たらないように気を付けながら、慎重に上へと持ち上げていく。
やがて、水色のブラが見えた。
これって、この間僕が触っちゃったやつ……って、意識するなよ僕!
千紗は「うぅ……」と恥ずかしそうに呻きながらも、両手を上に上げて成すがままにされていた。制服が彼女の膨らみを通過し、あとは頭から制服を抜く。
制服が脱げると、千紗はすぐに胸の辺りを両手で隠した。それでも、千紗の細い腕では隠しきれないほどに、そこに実った果実は大きい。背中を向けていても、千紗の手で押しつぶされたそれが見えてしまった。
「は、恥ずかしいから……あまり見ないで……」
「わ、分かってる!」
もう見てしまったけど、こちらとしてもこれ以上は理性が抑えられる気がしない。
お互いに恥ずかしい思いをしながらも、今度はパジャマを着させていく。首のところから顔が出ると、服の中に入ってしまった琥珀色の髪を手で掬いあげるようにして外へ出す。
再度、膨らみで邪魔されたけど、何とかパジャマを着させることが出来た。
次はズボンだ。
千紗は足にも力が入らないようなので、僕が持ち上げることに。細い足首を軽く持ち上げて片足ずつ穿かせていく。
ズボンの両足を足首で引っ掻けてから、ズボンを持ち上げていく。しかし、千紗は座ったまま立てないので、太ももの辺りまでしか持ち上げられない。
「千紗、少し立てないか?」
「んっ……無理ぃ……」
「困ったな、どうしよう……」
「……太もも。触っていいから、持ち上げて?」
千紗が赤くなった顔で言う。こいつも恥ずかしがっているんだ。でも、やらなきゃ着替えは終わらない。
全身に力の入らない千紗の太ももを持ち上げ、体育座りのようにする。千紗の柔らかな太ももは、僕の指が軽く沈みこむほどだった。
「んっ……し、志郎の手つき、やらしい」
「そ、そんなことないからっ」
「う、嘘っ! 絶対、私の身体触って楽しんでるぅ……!」
千紗の言葉を完全に否定したかった。でも、実際に彼女の身体はずっと触って痛くなるほどだった。それでも、風邪気味の彼女にいつまでも恥ずかしい思いはさせたくない。
早く終わらせようと、何も考えないようにした。僕が触れる度に「んっ……」と千紗が熱い吐息を漏らすが、無視だ無視! 彼女の顔が赤いのも、きっと熱だけが原因じゃない。僕だって同じ気持ちだった。
何とか太ももまでズボンを穿かせると、最後は千紗を抱きかかえるようにして持ち上げ、腰までズボンを持ち上げる。最後にスカートを脱がせば、着替えも終えられた。
千紗を再び寝かせると、彼女は真っ赤な顔を両手で覆って「あぁあ……」と小さく呻いていた。
「こんなにいろんなところ見られて、触られちゃうなんて……お嫁行けない……」
「だ、大丈夫だって。千紗をもらいたい人はたくさんいるから」
「……やだ」
千紗は首を振ると、僕の手を掴んできた。潤んだ瞳で、訴えかけるように僕を見つめてくると。
「志郎が引き取ってよ……」
「っ……」
千紗の一言に、心臓がさらにドキッ、と跳ねあがった。
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