第13話 レンタル機体と高橋さん

 いよいよポーターを卒業して、1〜3階層の探索が許可された。

 ポーターギルドの雇用についてギルドで尋ねるとデータが一覧で送られてきた。

 一覧を見ると、安い人で数十万だ。

 高くなるにつれて、自分で戦える人であったり、キャリアの積載量が多かったり、機体の性能や腕前が良かったりと様々だ。

 1〜3階層では、そんな高額な人を雇う必要がないので、安い人を雇おうと思う。

 あ、この人いいかもしれない。

 30代男性で、評判のレビューも良い感じだ。


 俺は、ギルドで、その人を雇用することを依頼し、明日こちらに呼んでもらって顔合わせをするようにお願いした。


 次の日、予定の時刻になったので、受付に向かった。

 どうやら、ポーターギルドの人はもうきているようだ。


 個室に入ると、40代後半くらいの男性が座っていた。


「初めまして、最近ポーターを卒業して、正式にマーセナリーとなった田場湖ケイタです」


「これはこれは、どうも初めまして。自分はポーターギルド所属の高橋です」


「よろしくお願いします。俺のことは、ケイタと呼んでください」


「承知しました。しばらくの間、1〜3階層で活動すると伺っております」


「そうですね。コンバットシールドとハンドガンをいくつか確保しながら任務を受けていこうと思っています」


「おぉ、堅実ですね。自分はそういった人を好ましく思いますよ」


「ありがとうございます。高橋さんはどのような機体に乗っているのですか?」


「自分は、作業用ロボットに乗っていますよ。ただ自分は、あの機体をス○ープドッグと呼びたいところですがね」


「スコープドッ○ですか?」


「ご存知ないですか? あの機体のベースになったのは、昔のアニメなんですよ。自分それが好きで……作業用ロボットって大きく損傷したら直すより、新しいのが簡単に手に入るじゃないですか? それで乗り換えてって感じで。なんか自分が主人公になったみたいでグッとくるんですよ! だから、○コープドッグかせめて、総称であるATって呼びたいなって」


「へ、へぇ、そうなんですね。自分が好きな機体に乗れるのって良いですよね! それは分かりますよ」


「おぉ分かってもらえますか! ケイタさんはもう乗りたい機体が決まっているんですか?」


「はい、中量機体に乗りたくて、ひとまずは6階層の機体を目指しています」


「あぁ! あの機体も良いですよね! 3倍速くは動きませんがね! 自分はあの機体の旧タイプが好きですね!」


「そうなんですね! やっぱり好きな機体の話になると尽きないですね。今度飲み行きましょうか」


「これはこれは! 嬉しいお誘いですね! 任務終わったら行きましょう!」


「はい! じゃあ予定なんですが————」


 こうして俺は、2日後、高橋さんと2階層へ探索へ行く予定をたてた。

 

 2日後の午後、俺達は予定通り2階層へと向かった。

 俺はレンタル機体に乗っている。 

 シングルアイで、右肩には何も付いてないが、左肩にはトゲ付きのショルダーパッドがつている。カラーは緑。

 ベースになっているのは、ザ○Ⅱだろうな。

 これが6階層に出てくるらしい。

 自分の物になる時が楽しみだ。


 武装については、コンバットシールド、ハンドガン、腰に片手剣だ。

 基本的には近づかれる前にハンドガンで頭部狙いの予定だ。

 高橋さんのキャリアは大きいので、破損部位以外を全て回収をする予定となっている。


 2階層、最初の戦闘。

 片手剣の作業用ロボットだった。

 トレーニングした通りに機体を操縦する事ができ、頭部に2発弾丸を叩き込む事ができた。


「これはこれは、ケイタさんはよくトレーニングなさってますねぇ! 中にはトレーニングなんてしない実践あるのみだって人もいますから」


「そんな人もいるんですね」


「えぇ、まぁそういう人は、大抵胴体に何発も撃ち込んだり、外したりするんですけどね! ハハハ!」


 高橋さんは、話し笑いながらも、的確に回収作業をしてくれている。

 やはり手際は、ベテランだな。


 その後現れたシールド持ちに対しては、片手剣に持ち替えて、敵のサイドに回り込み頭部に剣を突き刺し倒すことが出来た。


 こうして、キャリアが満載になるまで探索し俺達は帰還した。


 高橋さんに報酬を支払い、俺達は飲みに出かけた。

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