第12話 逮捕と3ヶ月
ギルドの居住区に入居して2日後、藤堂が捕まった。
都市から逃げ出そうとしたところを捕まえたらしい。
これで安心出来ると思ったが、藤堂の言っていた先輩は結局誰か分からなかったらしい。
借金をした人の中に、独立したマーセナリーもいたようだが、各ギルドが要注意人物としてマークしただけに終わったらしい。
ひとまずは藤堂の逮捕で落ち着いたので、俺達は今後の打ち合わせのために、いつもの個室に集まった。
「それでは、最後の1ヶ月について打ち合わせします。5階層は今までと違い、ダンジョン内が荒野になっています。広大な荒野で、複数のグループが戦闘をしますので、危険度が跳ねあがります。そのため、5階層以降は、事前に申請をしておかなければ探索をすることが出来ません。当日、ギルドで探索しているグループのデータを入手出来ますので、レーダーで識別することが出来るようになります。なので他ギルドのマーセナリーに警戒する必要はありません。ただ、評判の悪いマーセナリーがいた場合は、思い切って探索を中止することをオススメします。お2人も5階層以降を探索する際は、情報収集を怠らないように気をつけてください」
「わ、わかりました!」
「了解です」
「あと5階層に行く時は、ケイタさんのキャリアが少し変わります。予備の武装をつけていけるようになりますので、私とリンゴさん用のシールドを持っていってもらいます。回収作業中は私とリンゴさんがシールドを構えて、ケイタさんを護衛します」
「了解です。お願いします」
「敵機も今までと違い、カラーリングは異なりますが、リンゴさんの機体と同じ敵が出てきます。敵の武装は実弾のアサルトライフルです。連射速度は、ハンドガンより少し速い程度ですが、威力は上がりますので、被弾には十分注意してください」
「あの、それだと俺は的になりそうなんですが」
「なりますね。今まで以上にシールドが重要になります。ケイタさんも予備のシールドをキャリアにつけて持っていってください。敵を早く倒せば被弾の危険がさがりますので、私の武装もメインをライフルにします」
「私も、5階層のアサルトライフルにしますので、安心してください!」
「それなら、しっかりシールドで守っていれば大丈夫そうですね」
「はい。またここの機体を自分の機体として確保することも出来ますが、どうしますか?」
「そうなんですね……えっと、シュミレーションで中量機体がしっくりきたんですが、手に入れることが出来る階層ってありますか?」
「中量機体が出るのは、1番近い階層で6階層ですね」
「そう、ですか……」
ギリギリ行けない階層か。
ここで自分の機体を手に入れたい気持ちもあるけど、軽量機体で変な癖がついたら、中量機体を手に入れた時にミスしそうだな。
ここでは、アサルトライフルをいくつか手に入れておいて、中量機体をレンタルしてシールドとライフルで戦闘すればいいかな……。
「決めました。アサルトライフルをいくつか確保出来ればいいです」
「分かりました。今までより敵機が大きくなりますので、すぐにキャリアが満載になります。そのため回収量も減ります。弾薬費用もかかりますので、報酬は今までとさほど変わりませんので承知しておいてください」
「了解です」
「では、申請しておきますので、3日後いつもの時間に、ここへ集合してください」
「分かりました!」
「了解です」
俺は、自室へ戻り、機体のことを考えていた。
一回の探索で、数百万は手に入るけど、機体を購入しようと思ったら数億必要になるからな……。
軽量機体がしっくり来ていれば、リンゴさんのように機体が手に入ったけど、俺には合わなかったからな。
それに戦闘スタイルにシールドを入れたいから、積載量も問題があるしな。
レンタル代は、1回につき四十万くらいだったから、弾薬考えると百万くらいが報酬として手元に残る感じか?
購入資金が集まるまでより、6階層にいけるようになるほうが早そうだな。
レンタル機体を大破させたら、借金地獄だけどな……。
ポーター卒業したら、いっぱいシールド確保しよ。
5階層探索当日になり、俺達は個室へと集まり、打ち合わせを行い、準備を整えて、ダンジョンに向かった。
リフトから降りると、言われていた通りの荒野が広がっていた。
崖も見える。上から撃たれないように気をつけないとな。
レーダーに、他グループの反応と敵の反応があり戦闘中のようだ。
その他に、敵機が2体ずつ、2カ所に入るのがわかった。
『ここからは敬語や敬称をなくします。ここから近い敵機を狙う』
『「了解!」』
俺達は、近くの敵機を急襲した。
俺はシールドを構え、2人はブーストで近づきながらライフルを撃ち、あっという間に敵機を撃破した。
撃破したのを確認し、すぐに2人の近くに行く。
2人はキャリアからシールドを持ち護衛についてくれた。
シズクさんのシールドは縦長6角形だ。ベースはジ○のシールドだな。
リンゴさんは、コンバットシールドだった。
撃破した敵機を回収する。
2機とも頭部のみを綺麗に撃ち抜かれている。
やはり2人の腕が良いな。
俺は頭部を切り落とし、キャリアに積み込んだ。
その後も、順調に戦闘を行い、30分程で、キャリアが満載になってしまった。
そして帰還し、売却、弾薬の精算をした。
2人の腕が良いおかげで、弾薬も必要最低限だった。
シズクさんは減ると言っていたが、終わってみれば報酬は増えていた。
こうして、3ヶ月目が過ぎていき、最終日となり、任務を終了し、個室へと集まった。
これが、最後かと思うと嬉しいやら寂しいやら……。
俺は、2人に感謝と勉強になったことを伝え、お礼と打ち上げに飲みに行かないか誘ってみた。
2人は快く了承してくれたので、俺達は飲みに行った。
ギルドの中層部には、商業区もあり、外部の人がいないので、気兼ねなく飲みにいける。
2人にオススメのお店を聞いて、そこへ向かった。
そこは、落ち着いた感じのおしゃれな居酒屋だった。
俺達は、打ち上げを行い、またいつの日か飲みに来ようと話し合った。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、解散の時間となった。
俺達は、お互いの無事を祈り、再会を誓い、わかれた。
明日からは、1人で敵機と戦闘することになる。
気持ちを引き締めて、頑張っていこうと決意した。
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