第4話 廃品と購入品
会社に出社する前に、コンビニに寄り、シュークリームと焼肉弁当、お茶を購入して出社した。
オレンジのツナギに着替えて、第5サポート班の作業場へ。
「おはようございます!」
「ケイタ君、おはよう!」
「ケイタ、おはよ」
「あ、メイ先輩。昨日のお礼です」
「わ! シュークリームだ! ありがとケイタ!」
「お、いいね。私の分は?」
「え、班長のは無いですよ」
「なんで!?」
「いや逆になんで!? なんですが。昨日のお昼をメイ先輩に分けてもらったお礼ですから。そりゃ班長の分はないですよ」
「えぇそんなぁ〜」
「メイ先輩のように優しくしてくれれば、何か買ってくるかもしれませんけどね」
「へぇー、ふーん、ケイタ君はロリコンなんだ?」
「……それ、メイ先輩に失礼ですよ? メイ先輩は大人なんですから」
「班長、最低。後輩いい子」
あざまっす! 天使の微笑み頂きました!
「えぇ!? そんなロリコンのどこが!? ほら見てメイちゃん! 不審者のようなニヤけ顔だよ!?」
「……そうかしれないけど。班長のロリ発言よりマシ」
『ぐッ』
俺と班長はダメージを受けた。
休憩小屋には、冷蔵庫も電子レンジもあったので、昼飯は冷蔵庫に入れておいた。
……なんでビールがこんなに入ってるんだ?
ま、気にしたら負けだな。
「班長、昨日頼んだ物っていつ届くんですか?」
「あぁ、それなら昼過ぎには届くんじゃないかな。届いたら配送班が持ってきてくれるはずだよ」
「了解です。パーツとか駆動系とか制御系のも何とか手に入りませんか?」
「うーん……ならゴミ捨て場に行ってみる?」
「ゴミ捨て場ですか?」
「そうそう、この会社で古くなったパーツや部品とかを廃棄してる場所なんだけどね。案外、まだ使える物も捨てていたりするんだぁ」
「……なんでそれをメイ先輩に教えてあげなかったんです?」
「だって、エンジンしか聞かれなかったからねぇ」
「班長、嫌い」
「あーんメイちゃーーーん! ごめーんっ!」
「……フルーツタルト、ホールで」
「え?」
「フルーツタルトホールで」
「きゅ、給料出てからでいいかな?」
「フルーツタルトホールで」
「め、メイちゃーーーーん! ご慈悲をぉぉぉぉぉっ!」
嘆く班長の背中を押して作業場から連れ出し、ゴミ捨て場へ。
ゴミ捨て場は、第5サポート班の作業場から近かった。
こんな近くにあったんだ。
しかし、こんな量があるんだな。
ゴミ捨て場には、様々な部品やパーツが山のように雑多に捨てられていた。
「これは……あったとしても探すのが大変ですね」
「こんな危ないところにメイちゃん連れてくるわけにはいかなかったからねぇ」
「ちゃんと、そこは考えてたんですね」
「当たり前よ! メイちゃんに何かあったら、私はクビになっちゃうんだから!」
「……班長」
「あ、はは……メイちゃんごめんごめん」
「ん? まぁ気をつけながら、何か使えるの探してみましょう?」
そう話している間にも、ダンプカーがきて、廃品を捨てていった。
「おぉ! これ、ダンジョン産の腕部と脚部じゃないですか!? こんな良い物まで廃棄しちゃうんですね」
「そうなの? 私にはどれも同じに見えるけど」
「ここにダンジョン産のマークが付いてるじゃないですか」
「あ、それダンジョン産のマークなんだ」
「俺でも知ってるのに、なんで班長が知らないんです?」
「私も、知らない」
「め、メイ先輩はしょうがないですよ」
「班長である私との扱いが違くない?」
「メイ先輩を2年も教育していた人は誰なんですかね?」
「……私の無知は班長のせい」
「メイ先輩その通りです!」
「くっ、みんなが酷い! そんなこと言うなら申請した物資取り消しちゃうかもなぁ」
「それをしたら班長の立場が危うくなるかもしれませんよ? それでもいいならですけどね」
「ぐぅッ」
「メイ先輩、使えるパーツ探しましょうか」
「うん、探す」
「私、班長なのにぃ……」
俺達は、安全な場所で、パーツを探した。
汎用性の高い腕部1つ、使えそうな制御系、汎用性の高いブースターを見つけた。
先ほどのダンジョン産の逆関節の脚部パーツと腕部も持って帰るよう手続きをしてもらった。
昼食を食べて、昼休憩の後、ゴミ捨て場から手続きしたパーツと申請していた物資が運び込まれた。
その時、作業場にある搬入用の大型シャッターが物凄い音を立てていた。
「すみません。廃品と事務所に届いた品が確認出来ましたら、ここにサインをお願いします」
「はいはーい……これでいいかな?」
「はい、結構です。それでは失礼します」
「はーい。ありがとね〜」
配送班の人がサインをもらって出て行った。
「みんなぁ、昨日頼んだ品と、ゴミ捨て場のパーツ届いたよー!」
「凄いですね。もう来たんですね」
「私の2年……」
「あ、はは、今の時代は、頼んだら次の日には届くからねぇ。さ、足場も安全帯も届いたから、怪我をしないように気をつけて作業してね!」
「はい、わかりました!」
「私の2年……」
俺は、足場を組み立てて、動力部分とボックスの作業が出来るようにした。
ブツブツ呟いているメイ先輩に安全帯を装着し、足場に登らせて、安全帯のフックを足場の手すりに引っ掛けた。
ホイストクレーンという天井からのクレーンは、このボロボロの作業場にもあったので、それとチェーンを使って、動力部分を吊り上げ、数時間かけてメイ先輩と設置した。
「ふぅ……なんとか設置できましたね!」
「ところで、なんでケイタはそんなに詳しいの?」
「それは俺が浪人している時と大学時代に、こういう所でバイトしてたからですね」
「へぇ、そうなんだ。通りで手際が良いんだね」
「そう言ってもらえると報われます」
「はは……私の2年は報われないけど……」
鬱なんですか? そうですね!?
メイ先輩は、目のハイライトが消え俯いていた。
「さ、さあ、まだ時間はありますし、ボックスを外しちゃいましょう?」
「そうだね。外そう。私の2年の結晶を」
重い! 重いよぉぉぉぉぉ!!!
ホイストクレーンを使って、虚なメイ先輩とボックスを外して、今日の就業時間は終了した。
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