第9話 ペラペラ人間と女子校生
小学校の合宿の時、夕飯前にカメラマンが自分たちの部屋に遊びに来て、自分が経験した怖い話を語ってくれました。大学生になった今でもその記憶が鮮明に残っているので、それを皆さんにも共有したいと思います。
カメラマンが大学生だった時、友達とよく2人でドライブに行っていました。どこか場所を決めてドライブすることもあれば、行き当たりばったりでドライブするということもあったそうです。
ある日の朝、いつも通り休日に友達とドライブに出かけました。行き当たりばったりのドライブだったようで、海でも山でもどんとこいという雰囲気で2人は出かけたそうです。
あてもなく道を彷徨っていると、昼頃になりお腹も空いてきたところでカーナビで近くのファミレスを検索したところ、検索中の画面のままカーナビが動かなくなってしまったそうです。
焦った2人は、携帯電話で検索するも何故か圏外表示が出て使い物にならなかったそうです。この辺は電波が悪いのかもしれないと思い直した2人は、とにかく適当にファミレスを探すべく車を走らせました。
車を走らせ続けていると、カメラマンたちは周りの風景に違和感を感じ始めたそうです。普通の住宅街が、何か30,40年くらい前の時代の住宅街のような感じになっていて、明らかに現代の雰囲気を失っていたそうです。
何かおかしいと思って、車をUターンさせたところ、背後には山が広がっていました。
「こんな山あったっけ」と友人たちと言い合ったそうですが、とにかく出るために車を進めることにしたそうです。
2人は精神状態が狂ってしまったようで、車の中は2人ともパニック状態になり、険悪な雰囲気になっていました。ちょうど広い道に出たところで、
「ここがどの辺りか調べてやる」
と痺れを切らした友人が言って止まらなかったので車を一旦止めて、カメラマンも仕方なく外に出たそうです。周りは、山の麓のような場所でただ風の音だけが気持ち悪くて響いていたそうです。
20分ほど車から離れて歩いたところ、山の方から何やらたくさんの人がワーワー叫んでる声が聞こえたそうです。
驚いてそっちの方を見てみると、たくさんの人たちが斧のようなものを持って奇声を上げながら走ってくるのが見えました。
最初は遠くの距離だったので普通の人が走ってきたのかと思ったそうですが、カメラマンは目が良かったので走ってくる人たちを凝視したところ、突如として震え上がりました。
その人たちは、普通の人間ではなく、紙みたいにペラペラだったそうで、風で全身が気持ち悪いようにペラペラなびいていたそうです。
急いで2人は絶叫しながら逃げて元の車の場所に戻ろうとしましたが、逃げる途中でセーラー服を着た女性が2人こっちに向かって歩いてきたのが見えたそうです。
急いで2人は
「変なペラペラした人間たちが追いかけてきてる!君たちも逃げるんだ!」
と女性2人に言ったそうで、4人で車を目指して全力失踪しました。その途中で女性陣が、
「もう疲れた。あそこに廃屋があるから隠れてやり過ごそう。」
と、指をさしながら提案してきました。2人が指の方向をみると確かにそこには小さな廃屋がありました。
しかし、友人が
「一時はやり過ごしてもあいつらが帰ってきて探し出して見つかったらヤバいよ!」
と説得し、男2人で女性2人の腕を引っ張って車まで逃げることができました。カメラマンが運転席、友人は助手席、女性2人は後部座席に座らせ、車を走らせようとしました。
車の鍵はかからない、ということはなく無事にかかり車を発進させました。
無我夢中でペラペラ人間たちが走ってきた方向とは逆の方向へ走る中、車の中は終始無言だったそうです。
走って少し経つと風景が現代の住宅地へと戻ってきました。そしてカーナビが復活し、現在地が正しく表示されたそうです。2人は急に涙が出てきて歓声をあげて泣いて喜んだそうです。すっかり安心した2人は車を近くにあったコンビニに止めました。
「飯を買ってくるから君たち2人は車の中にいて。」と、声をかけカメラマンと友人2人でコンビニの中に入りご飯を買いに行きました。
そして車の中に戻ると
いないのです。2人が。車の中はもぬけの殻でセーラー服の女性2人は忽然と消えていました。
2人は車を降りてコンビニ周辺を探すも、女性2人を見つけることはできませんでした。コンビニと家が近かったのだろうと思って当初は不思議な体験をしたな、と思ってその時2人は、気にも止めていませんでした。
その後カメラマンたちは何か引っかかったそうで、カーナビに出ていたそこの地域で起きた事件をネットでたくさん調べたそうです。
すると、30年ほど前に、女子校生2人が何者かによって小さな廃屋で惨殺された事件があったとヒットしたそうです。
カメラマンは、もしあそこであの廃屋に隠れていたら、元の世界に戻って来れなかったのではないかと語っていました。あのペラペラ人間たちの正体は未だ不明なそうです。
なんとも気持ちの悪い終わり方ですが、これが私が小学校の合宿の夕飯前にカメラマンから聞いた話の全てです。
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