第8話 お寺のお祭り
僕が小学生の頃の話。僕の住んでいる地域にあるお寺は毎年1回、夜7時くらいからお祭りを開き、土地が広いので様々な出店を開く。
今もそのお祭りには顔を出して、馴染みの友達と再会しているのだが、小学生の時にだけそのお祭りで奇妙な体験をしたことがある。
自分の幼稚園時代の友達たちと毎年再開してお祭りで遊んでいるのだが、その年のお祭りもお寺でかくれんぼをして遊んでいた。
お寺には、出店エリア、本堂エリア、駐車場エリア、墓場エリアと様々なエリアがあり、広すぎるので場所を本堂エリアだけにしようと制限して隠れ鬼をした。
自分が最初の鬼になり、時間を数えて友達たちを探しに行った。その時は問題なく友達全員を見つけることができた。
そして、自分の隠れる番がやってきた。自分は本堂の裏の茂みに隠れたのだが、程なくして見つかった。
しかし、見つけたのは友達ではなかったのだ。自分より少し年下の着物を着た男の子だったのを覚えている。
「何してるの?」と話しかけてきたのだ。その子はとてもフレンドリーだったので、自分が友達に見つかった時、その子も仲間に入れて一緒に遊んだ。
その子にはどこに住んでいるのか、どこの小学校なのかなど聞いてみたが、
「あそこだよ!」などと言ってちゃんと答えてくれなかったのを今でも覚えている。しかし当時の自分は全く気にせず一緒に遊んだ。
夜10時くらいになって帰宅する時間がやってきた。友達と本堂エリアから出店エリアへと移動したが、一緒に遊んだ子とは途中ではぐれてしまっていた。
ひとりで勝手に帰ったのだろうと思っていたが、帰り道友達から衝撃的なことを言われたのを今でも覚えている。
「実は俺、屋台の方に向かう時あの子に止められたんだ。『まだ帰らないで』って。『いいものをあげるからついてきて』って言われて、仕方なく着いてったら、あの子お墓の中に入ってった。まさかと思い、あの子に気付かれないようにそっと逃げてきた。」
友達はこのままついて行ったらどうなっていたのだろう。今でもあの子の正体と目的が気になる。
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