第30話 コイツで終いだクソドラゴン

ドラゴンと戦っている3人のもとへ向かう。ドラゴンは俺の存在を感知すると、こちらに向かって突撃してきた。


「させるかよ!!」


「大防御!」


ヴァスコが大盾を構え、俺の前に割って入る。それをメリゴが防御力を高める魔法で援護した。


ドゴォォォオオン!!


という大きな音とともに辺りの空気が震えた。


「ぐぅ!!」

ヴァスコはあまりの衝撃に顔を歪めている。


「大丈夫か!?」


「ああ、何とかな。だがあと1回だ。防ぎ切れるのは次が最後だ」


「わかった!何とかする!」

太刀に冷気を溜める。奴隷商相手のときに使った『白魔はくま』と同じ要領だが、それではヤツを倒すには全然足りないだろう。10秒間の間に俺の全リソースを突っ込む!


「みんな!10秒でいい!俺が攻撃をするまでの間、ヤツから俺を守ってくれ!」


「ええ」

「おう!」

「了解だ」

「了解です」

「任されましたわ」


突進後の衝撃から立ち直ったドラゴンはまた俺に狙いをつける。一番に声を響かせたのはヘルベラだった。


大千本槍おおせんぼんやり!」

彼女がそう言うと地面から巨大なガーベラが立ち並び、壁を形成した。これによりドラゴンは行く手を阻まれた。だが……


「火炎ブレス!?」

ドラゴンは燃え盛る炎を吐き出すと、花の壁を焼き払ってしまった。そして突進を再開する。


「やらしゃしねぇよ!」

「大防御!」

「山彦【大防御】!」

再びヴァスコが盾を構え守りに入る。今度はエコーの秘術も合わさり二重に大防御がかかった状態だ。しかし……


「うぉあ!?」

ドラゴンはヴァスコの手前まで来ると、空中で前転し、尻尾を使って地面を叩いた。足場が崩れたことにより、ヴァスコは姿勢を崩してしまう。その隙にドラゴンは突進を再開した。


冷気が溜め切らないまま、ドラゴンが近づく。

クソッ!後少しなのに!間に合わないのか!?


ドラゴンが目の前に来たときだった。何もない空間にヤツがぶつかり、動きを止めた。どういう事だ?そう思っていると正面に緑の壁が現れた。ヘルベラの能力で作った壁を、ルーナエの透明化の能力で隠していたのか!


「ありがとな!みんな!お陰でバッチリ溜め終わったぜ!」

地面を力強く蹴り、飛び上がる。そのまま太刀を構え、ドラゴンの脳天に向けて急降下した。


「コイツでしまいだクソドラゴン!喰らいやがれ!『五月霙さみだれ』!!!!」

ドラゴンの額に冷気を纏った5連撃を繰り出した。ただ只管ひたすら速く、ただ只管に重い攻撃。己の限界を超えた攻撃は、5発目にしてドラゴンの頭蓋を叩き割った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る