俺、女性談義に加わる②
「一つ例として」
左馬頭は語る。
「夫婦として前世からの縁に導かれ、そのままその
「しかしどうでしょうか、夫婦のありようを集めてみてみますと、そんなことはない」
「源様がたのような最上級の人たちは、どのような女がご満足されるのでしょう。顔貌が見苦しくなく、若く、互いに僅かな欠点もないような所作をし、文を書けば持って回った言葉を選び、その墨のつき具合も男心をくすぐらせるような、実際に会うとか細い声で言葉少なく欠点を隠そうとする」
「言ってしまえば『なよなよとした女性らしい女性』と言うものでしょうか」
「しかしこのような女性は、あまりに上辺ばかりで、調子を合わせようとすると浮つく。正直な話、このような女は遊ぶにはうってつけでありますが、妻とするにはよろしくない。このようなところを第一の欠点としましょう」
「なるほど、たしかに妻とするには頼りがないね」
確かに、話していて心躍る女性と、付き合いたい、結婚したいと思える女性には明確に差があるように思える。
地雷系の服装をした女の子が、見る分にはいいけど付き合うのはちょっと、みたいな感じに近いのかもしれない。
「特に夫である私達の世話はおざなりになられては困ります。例えば、不必要なまでに和歌を読んだり、気取った態度があったり」
左馬頭の言葉には所々ではあるが納得できる部分がある。
今のだって、たしかに高飛車でお高くとまっている女性は男性からはあまり好まれない。俺もそういうタイプの人は苦手だ。
「しかしながら、家事ばかりに夢中になって忙しく働き、化粧もせず、いつも所帯じみているのもどうでしょうか。特に源様のように風情のある御方であれば、その良し悪しを語り合い笑い合いたいものでしょう」
「そうだね、好きなもの、興味のあるものに関して語り合うことは好きだ」
「そうでしょう。しかしこのような所帯じみた女性にはそのような話をしたろことで楽しくない。これほどまでに残念なことはありません」
「ただ子供っぽくて素直な女を、なんとかして躾直し妻とするのが良いのではないでしょうか。頼りなくても、直し甲斐があります」
うんうん、と先程まで黙っていた大きく将中がうなずいて言った。
そんなことして何がいいんだ。女の子にはみんな別々で良いところがあるだろうに。というか、欠点のない女性、人なんていないというのに、さっきから何を語っているんだ。
うなりながら、左馬頭が話す。
「やはり困りものですな、妻というものは。とんでもなく嫉妬深かったり、風流のわかる女かと思えば――」
「以外に浮気な女だったり」
「そうそう、そうでございます。さすが式部様」
「なにかふたりとも心当たりがあるみたいだね?」
「ええ。ではまず私、左馬頭から昔話を一つさせていただきましょう」
女性談義は、各々の体験談へと移る。
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