葵さん!?

 数日間、部屋に籠り帝の座を奪い取る計画を企てた。

 そうして、葵と約束した日数よりも多く家に滞在した後、葵の家へと向かった。


 葵は怒るだろうか、呆れるだろうか。それとも泣く?

 どれにせよ、きっとその顔は俺にだけ見せてくれる特別なものだ。大切にしよう。


「ただいま――!?」

「ん〜〜〜〜!」


 葵の家に入るや否や、俺の腹に大きな何かがダイレクトアタックした。

 その何かの正体は、すぐにわかった。葵だ。

 藤とはまた違った女性特有のいい香りがする。

 葵は俺の腹に思い切り顔を擦り付け、スンスン、と鼻を鳴らす。


「もう帰ってこないかとぉ……!!」

「ははは、心配させてごめん」


 ようやく顔を上げた葵の顔は、涙と鼻水でとてもそれなりに身分のある女性とは思えないものになっていた。

 それでもやはり愛おしいと思うのは、転生前の葵に酷似しているからなのか。


「ほんとに心配したんですよ!二日で帰ってくるって言ったのに!」


 確かにそんな約束したな……夢中になって完全に忘れてしまっていた。


「……帰ってこなかった日数分、相手してもらいますからね!」


 涙ながらに訴えてきたかと思ったら、今度は顔を赤らめて目を逸らして恥ずかしそうに言う。


「……それだけでいいの?」

「……! もっと相手してもらいます!さぁ、私の部屋へ!」

「ちょっ……!?」


 細身の彼女のどこにそんな力があるのか、俺は袖を引っ張られて彼女の部屋へと連れ込まれた。


「アナタがいない間、少しだけ勉強もしたんです」


 そういうと、葵は俺の服を流れるように脱がす。おかしい、前はこんなに滑らかな手捌きじゃなかった。


「だ、誰かとしたの……!?」

「え? するわけないじゃないですか。不貞を働くなんて、姫のすることではございません」


 いやこんな無理矢理するのも姫のすることじゃない……!?


 俺を流れるように丸裸にしたと思えば、今度は俺の下腹部へと顔を運び、それを口へと運んだ。


「ちょ、ちょっと……!葵、あおいさっ……あっ!?」


 初めての時とは大きく違って、俺は完全に葵に弄ばれている。


「んふ、かわひーれすね」


 家に両親、侍従たちがいることも忘れて、俺たちは夢中になった。


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