第35話 ビデオ判定

「監督が飛び出し、主審へリクエストの要求をしました。審判員が集まって来ました。今からリプレー検証が始まります。審判員が見ている映像と同じものが、大型スクリーンにも流れています。多くの観客は立ち上がり、固唾を飲んで見守っています。何度見てもセーフかアウトなのか、判定は難しいですね。まもなく5分が経過します。今、主審が出てきました。

マイクを持ち、「ただいまの検証の結果、田村選手の手が早くベースタッチしたためセーフとなります。よってランニングホームランと認めます」



球場内は大歓声になり、

「田村のサヨナラランニングホームランです。ジャガーズの優勝です。何ということでしょうか? 川籐さん、奇跡ですね」


「だから、私は奇跡を起こすと言ったでしょ」と川籐が目に涙を溜めて言った。


「田村、チームの仲間に押され、ホームベースの近くへ戻ってきました。そして、全てのジャガーズのナインが集まり、田村に手荒い祝福をしています」


「打って良いとサインを出したが、ランニングホームランを打てとは言わなかったぞ」と平田は涙をため興奮をして話すと、田村の尻を大きく叩いた。


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